表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾国の白馬ファルキリー  作者: 水色十色
《☆PART7 危険な金竜討伐探索》金竜の棲むアイスミント山岳
263/438

《☆~ 謎の待ち構える中腹門 ~》

 アイスミント山岳に棲む金竜は、灼熱の業火フレイムを吐き、上級(ハイ‐)探索者イクスプローラですら怯えるような、最強の討伐対象種と呼ぶに値する、おそろしい凶竜きょうりゅうである。その逆鱗げきりんは、幻の秘薬と呼ばれる万能の特効薬になるため、まさしく最高級(トプクワリティ)の品目(アイテム)として、古くから探索者の間で広く知られてきた。

 山岳の奥地にあるシシカバブ湖が、金竜と遭遇する絶好の箇所ポイントだけれど、その辺り一帯は、「大陸の屋根」という言葉が示す通り、グレート‐ローラシア大陸内で最も高くに位置している。しかも、不浄な泥と酷く冷たい氷水が覆う、危険極まりのない地帯ゾウンである。このため、金竜討伐に挑もうとする者たちは、相見あいまみえる前に、数多くの難所を通過クリアしなければならない。探索者を最初に迎える難所が、山の中腹に配置された「謎の待ち構える中腹門」という名称の入場門である。

 山道を歩きながら、キャロリーヌがオイルレーズンに問い掛ける。


「一体どのような謎が、待ち構えていますの?」

「訪れるごとに異なるのでな、さすがに今は分からぬわい」

「まあ、厄介ですわねえ」

「そうじゃのう」

「謎が解けませんと、山奥へは入れませんのね?」

「いいや違う」

「え、違いますの?」

「たとい謎を解けずとも、一人につき金貨百枚ずつ支払えばよいのじゃよ」

「あら、そうですのね」


 オイルレーズンに代わって、マトンが説明を加える。


「入場門を営むのは、アイスミント山岳民族だよ。彼らは、奥地へ入る探索者から金貨を得て、自分たちの領土を保全するために使っている。だから、彼らに渡すお代は、探索者が山から獲物を貰うのに必要な()()という意味になるのさ」

「保全と獲物を得るためでしたら、やむを得ませんわね」

「うん、その通りだと思うよ。なにしろ僕たちは、獲物の肉を食すことで空腹を満たしたり、役に立つ収集品アイテムなら街で換金もできるからね」

「要するに、持ちつ(ギヴ・)持たれつ(アンド・テイク)という道理じゃわい。ふぁっははは!」


 ここへショコラビスケが横から口を挟んでくる。


「だけどよお、獲物が一つもなかったら、俺たちは酷い損害を被りますぜ?」

「そうかもしれないね。だからこそ、探索者は腕を磨いておく必要がある。獲物を得るだけの実力がないうちは、奥地に入らないに限るってことかな。あはは」

「ショコラや、よく聞くがよい」

首領キャプテンオイルレーズン女史、なんですかい?」

「たとい獲物が一つとしてないにしても、アイスミント山岳で訓練を重ね、探索者として腕を上げるのは、獲物を得るのと同じように貴重なのじゃよ」

「おうおう、いいことを教えて下さる! さすが()()()()でさあ。がほほ!」


 話しているうちに、一行は入場門に辿り着く。

 門番を務める人族の老男性が、オイルレーズンに問い掛ける。


「あんた方は、同じ探索者イクスプローラ集団(‐パーティ)面子フェイスか?」

「そうじゃとも」

「ならば、わしが謎を用意するためのお代として、十枚ずつの金貨、合わせて五十枚を今すぐ支払いなされ」

「ふむ」


 オイルレーズンは、巾着パウチの中にあるローラシア金貨、五十枚を数えて渡す。

 キャロリーヌが、ふと思った疑問を口にする。


「四人分なら、四十枚ではありませんこと?」

「鳥も一人に数えるのでな、シルキーの分が入っておるのじゃよ」

「あらまあ、知りませんでしたわ!」


 驚くキャロリーヌに、老男性が優しく話し掛ける。


「お嬢ちゃん、奥地には初めて行くのかい?」

「そうですのよ」

「危険が沢山あるぞ?」

「ええ、重重に承知しておりますわ」

「それならよい。早速、謎を話そう。十分刻(ミニト)のうちに正しく答えなければ、五百枚の金貨を支払って貰う」

「分かりましたわ」


 キャロリーヌは、首を一つ縦に振った。


「七日前、わしに孫が生まれた」

「おうおう、めでたいことだぜ!」

「竜族の若造、黙っておれ」

「がっほ??」

「わしが謎を話している間、誰も口を挟んではならない。そんな無礼をもう一度しでかせば、追加で金貨五十枚を支払って貰う。分かったな?」

「お、おう……」


 ショコラビスケが黙り、老男性は改めて謎を話す。


「七日前、わしに孫が生まれた。今は違うが、十年後には孫と同じになる。()()はなんだ? さあ、よく考えて、正しく答えてみろ」


 こうしてキャロリーヌたちが謎解きを始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ