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傾国の白馬ファルキリー  作者: 水色十色
《☆PART5 過酷な地下迷宮探索》アラビアーナの地下迷宮
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《☆~ キャロリーヌの決意(一) ~》

 この数ヶ月、キャロリーヌとショコラビスケは、探索者イクスプローラとして上達するために、厳しい訓練を重ねてきた。元から冒険を生きる道に定めていたショコラビスケは別として、虫に触れることすら怖いような、公爵家ご令嬢のキャロリーヌには、過酷な日々だったに違いない。

 彼女の持続的な努力があった結果、オイルレーズンの率いる新しい四人集団(パーティ)も、今では「少数精鋭の中級ミドル探索者集団」と呼べるまで、なかなかに実力を上げていると言えよう。

 そんなキャロリーヌたちが、今日から九日間、予定していた通り、パンゲア帝国で滞在できるようになった。目的は、竜族兵を縛る魔石を見つけ出し、それを粉砕すること。いわば「謎と危険に満ちる帝国王室の()()」という任務で、誰一人として欠けずにローラシア皇国へ帰還するところまでが、この集団の果たすべき仕事ミションである。

 兎も角、宿所となる部屋の準備が終わるまで、四人は上級要人ヴィーアイピー部屋(‐ルーム)で待たなければならない。

 ベイクドアラスカは、先ほど「長くじっとしているのが退屈なら、パンゲア帝国王室が誇る、広く美しい敷地を、ゆるりと散策して楽しまれるがよい。あとでサトニラに、先導リーダを務めるよう命令しておきましょう」という言葉を残し、第一ファースト王妃(‐レディ)の間に戻った。

 ショコラビスケが目を輝かせて、オイルレーズンに呼び掛ける。


首領キャプテン!」

「なんじゃな」

「ゆるりと敷地を散策するより、第一女官のミルクドさんから場所を聞いて、さっさと魔石を壊しに行きましょうぜ?」

「戯け!!」

「がほっ!?」


 一喝された理由の分からないショコラビスケである。


「大切なことをすっかり忘れておるのう」

「なんですかい?」

「シラタマジルコに会うことが先じゃよ。呪いが解ければ直ちに逃げるよう、話しておかねばなるまい。それを他の竜族兵たちにも伝えて貰うには、少なからずこくを要するからのう」

「シラタマのあねさんたちに伝えるのは、魔石を壊してからでも、よくねえですかい?」

「なにも分かっておらぬな。シラタマジルコは、普段どこにおるのじゃ?」

「いやあ、さすがに俺も、そりゃあ知らねえですぜ」

「そうじゃろう。せっかく呪いを解いてやっても、あたしらが彼女を探しているうちに、あのベイクドアラスカめが、また別の魔石を使って、呪縛の魔法スペルを施すかもしれぬのじゃ」

「そんなことされると、俺たちの作戦が、なにもかも水泡に帰すことになってしまいますぜ?」

「じゃからこそ、先にシラタマジルコに話さねばならぬ。ショコラにも、それを説明したというのに」

「おうおう、教えて貰ったような気もしますぜ。だけどなあ、俺さまは一晩ぐっすり寝ると、たいていのことは、綺麗さっぱり忘れてしまうのでさあ。がほほ」

「笑いごとじゃないわい! まったく、救いようのない戯けじゃ」


 オイルレーズンはそう言うけれど、竜族というのは、昨日聞いたばかりの話題でも、特に強く印象が残らない限り、それの細かい部分は眠ると忘れてしまう。だからショコラビスケが、今日になって覚えていないのも無理はない。

 ここにキャロリーヌが口を挟んでくる。


「では、シラタマジルコさんも、魔石のある場所へお連れしますのね」

「いいや違う」

「えっ、違いますの?」

「彼女には、いつも通り過ごして貰う。魔石を粉砕できたら、シルキーに伝書を運ばせて知らせる。それが一番早く伝える方法じゃからのう」


 使い鷲のシルキーは、いつ「呼び笛」を鳴らされても、オイルレーズンの元に飛んでくることができるように、そう遠くない位置で待機しているという。

 一方、伝書を届ける相手を見つけるには、その者と場所を知っている必要がある。だから、まずはシラタマジルコのいるところへ行って、彼女をシルキーに覚えさせなければならない。

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