表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傾国の白馬ファルキリー  作者: 水色十色
《★PART4 パンゲア帝国の脅威》竜族を救い出す新しい任務
163/438

《★~ ショコラビスケの男気(五) ~》

 今から三年と数ヶ月前、ローラシア皇国の護衛官のうち、三千の竜族兵がパンゲア帝国に贈られた。その際に退官リタイア給金(‐ペイ)として、金貨四百枚が与えられた。パンゲア軍での待遇は評判が高かったこともあり、全員が喜んで帝国へ向かったという。

 けれども、彼らが不当に扱われている現状が明るみとなっている。そのことでオイルレーズンも気に病み、どうにかできないものかと、これまで深く考えを巡らせてきた。

 魔石を壊す方法について、オイルレーズンは一つの策を持っている。それには危険が伴うため、話すことに躊躇逡巡ヘズィテイションを感じていた。

 しかしながら、ショコラビスケが「自らの命に替えてでも仲間を救いたい」と本心で思っているのだと知り、オイルレーズンは、少なからず心を打たれている。


「キャロルや」

「はい」

「ショコラが命を落とさず魔石を壊すことができるとすれば、たとい危険があっても、それに挑む勇気があるかのう」

「え、どういうことですの!?」

「あたしが以前、八百万呪(ミリアド‐カース)の制裁でも、純粋な心を持つ人族なら許して貰えるという話をしたことは、今も忘れておらぬか」

「はい、覚えています。それから、あたくしは、魔女の存在がほとんどなく、人族に近いというお話も」


 キャロリーヌは、自分なら魔石を破壊しても死を免れると思うのだった。


「あたくしが壊すことにすれば、よろしいのですね?」

「いいや違う」

「えっ、違いますの!?」

「キャロルの腕力で魔石は壊せぬ。じゃが、ショコラなら容易いこと」

「でもそれでは、ショコラビスケさんのお命が、奪われてしまいましてよ?」

「いいや、そうならずとも済む方法がある。どうすればよいかのう」

「ええっと……」


 キャロリーヌは少し考えてみるけれど、思い当たらない。


水鏡アクワミラじゃよ」

「あ!!」

「分かったかのう?」

「はい、分かりましたわ! あたくしに、水鏡でショコラビスケさんの印象を映すようにしますのね?」

「そうじゃとも」

「水鏡ってえのは、一体なんですかい?」


 突如、ショコラビスケが問い掛けたので、オイルレーズンが説明する。それは彼にとって、少なからず難しい話だった。


「よく分からねえが、水鏡とかいう魔法を使って壊せば、この俺は死なずに済むのですかい?」

「そうじゃよ」

「おうおう、それなら遠慮なく叩き壊してやれるぜ!」


 意気揚々と叫ぶショコラビスケ。

 その一方で、キャロリーヌは、気掛かりな様子を見せている。


「キャロルや、どうかしたかのう?」

「あたくしは、その先の生涯、ずっとショコラビスケさんの印象が映ったままとなりますのね……」

「その点の心配はいらぬ。効果が数日で消えるようにすればよい」

「えっ、そのようなこと、できますの!?」

混成ハイブリド魔法(‐スペル)じゃよ。純水ウォータ系統とムーン系統、二人の魔女が詠唱することで、刻限を定めた魔法を施せるのじゃよ」

「まあ、それなら安心ですわ」

「キャロルに、死ぬまでショコラの印象を背負わせるなぞ、そんなに酷なことをする訳には、いかぬからのう」

「おうおう、俺の印象がそんなに嫌かよ!」


 抗議せざるを得ないショコラビスケである。


「あら、そういう意味ではありませんのよ。あたくしのように非力な人族には、お強いショコラビスケさんの印象が、不釣り合いに思えましたものですから」

「そうだったのですかい。誤解しちまって悪かったなあ」

「いえ、お気になさらずに」

「おうよ。そんじゃ問題はなにもねえぜ!」


 ここにオイルレーズンが口を挟む。


「ショコラや、まだ一つ残っておる」

「がほっ! そりゃあ、なんですかい?」

水鏡アクワミラでショコラの印象をキャロルに映すには、ショコラに強い感情を持っている者から、その思いを奪わねばならぬ。魔石の呪いを向けさせるのじゃから、ショコラのことを激しく憎んでおる者を選ぶ必要があるのじゃ」

「おう、それなら心当たりはありますぜ。昔馴染みで、ちょっとした諍いから大喧嘩になったのですが、ガイは、今でも俺のことで怒ってやがる」

「ふむ。その者に頼むとしようかのう。金貨一枚でなら、どうじゃろうか?」

「あんな奴に、お代を渡すのですかい?」

「協力して貰うのじゃからな。しかも、それでショコラに対する怒りも消え、仲直りができるわい。ふぁっははは!」

「そりゃあ、まさに一石二鳥ですぜ! がっほほほ!」


 自分にとって、あまりにも都合のよい方向へと話が進んだので、この上なく喜ぶショコラビスケである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ