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傾国の白馬ファルキリー  作者: 水色十色
《☆PART1 キャロリーヌの運命》没落へと向かうメルフィル公爵家
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《★~ 過去(一) ~》

 キャロリーヌが、まだ十三歳だった頃のこと。

 父、グリル‐メルフィルは、一等調理官と呼ばれる、宮廷で働く調理官の長官を務めていた。その等級グレイドを持つ者は、ローラシア皇国でたった五人しかいない。一等というのは、調理官にしても、他の宮廷官職にしても、その中で一人だけに与えられる、とても誉れ高い地位ポジションなのである。

 この当時、メルフィル公爵家は全盛期にあった。


 調理官は、皇帝陛下、並びに皇族の賄いをすることに加え、他国から訪れる要人たちを食事でもてなすという、とても重要な役目を担っている。

 そういう特別なキャリアを目指したい者は多い。

 しかしながら、昔からずっと、信用のおける皇族と貴族だけに、その機会チャンスが与えられるという、いわゆる「狭き門」であり続けてきた。


 グリルが指揮する調理官三十人が、立食会で振る舞われる数々の品を準備した。

 この会は、隣国、パンゲア帝国から訪れている皇太子をもてなすために、ローラシア皇帝陛下が年に一度だけ主催する、最重要の国家行事なのであった。

 大役を担っている調理官の中に、グリルを深く妬み、その地位から引きずり下ろしてやろうと企てている曲者がいようとは、その輩を除く三十人の中に、誰一人として知る者はなかった。


 あらゆる準備が滞りなく済み、立食会を開始する予定の刻限を迎えた。

 一等政策官という、いわゆる「内務大臣」の立場にある者の挨拶によって、会が始まることになった。

 この場に、皇帝陛下の姿があったことは、もちろん当然である。主賓であるパンゲア帝国の皇太子を、陛下がもてなすという体裁をした会なのだから。

 調理官たちは給仕するのに忙しく、少し慌ただしいものの、貴族らしい優雅な所作で動き回っていた。

 ところが、少しして皇国を揺るがすような「大事変」が起こるのだった。


 パンゲア帝国の皇太子が苦しみながら倒れ、間もなく死亡。

 華やかで楽しげな空気の満ちていた大広間が一転、俄かに騒然となるのだった。

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