第80話
『ふむ、そんなふうになっておったか五郎の祖国は・・・お主の話を聞く限りそんなに信念があるような人材は消えて行ってるようじゃな・・・・残念じゃ』
まあ正直日本て昔の作った強固な土台を食い散らかして、いまではどこもかしこもボロボロになりつつあるからな・・・・。
今のままだと緩やかに転げ落ちる未来しかないだろうな。
『まあ遠い世界の事を憂いても仕方ない・・・次は我と五郎の事を話して行こうか』
おー五郎さんの話が詳しく聞けるんだ、これは楽しみだ!
・
・
・
・
なんて思ってた時期がありました。
色々と難しい話から始まったのだが、少しすると五郎さんへの愚痴話へどんどん変わって来たのだ。
終いには次第に五郎さんの事が良いなと淡い恋心も持って再度ジパングに会いに来たら姫様と良い仲になって結婚すると聞かされた話が出てきた。
『あの時は泣いたの~・・・・』
えーと俺は何を聞かされてるんだ・・・・。
その・・・護衛の方々・・・助けて・・・と目線をやってみたのだがスっとそらされてしまった。
その後も延々と愚痴を聞かされたが、最終的に五郎さんの死去とともにジパングへの来訪は次第に無くなって行ったとの事だ。
『五郎の子孫がおるとはいえ、もう来ることはないと思っておったんだがな・・・・ぶっちゃけるとジパングに忍ばせてる者から新たな渡り人が現れたと聞いてな!』
えーとこの人、今かなり重要な事ポロっと語ったけど大丈夫なんか?と護衛の方を見ると一人は両手で頭を抱えてるし、一人は私はしりませーんとばかりにそっぽを向いている・・・やはり重要案件しゃべったのね・・・。
『それでの!お主楽しい事をしてるそうだな!』
『えーっと釣りの事ですか?』
『うむ、実はな我も釣りをするのだよ!』
えっ釣り文化途絶えてたんじゃ???
『五郎とよく釣りに行っててな、エルフ船で沖に釣りに行ったりもしたんだぞ、あの時は楽しかったな~』
『その時何も言わずに二人で行ったもんだから大問題になったんですがね』
ボソっと護衛の方が付け足した。
なにやらはっちゃけた過去があるらしい。
『あの・・・今船作ってるんで出来たら釣り行きますか?』
『それは楽しみだな!そして船を作っているのか・・・よし我がその船に祝福をかけてやろう!!案内せい!』
祝福ってなんなんだろ?ただ護衛の人がギョっとしてるしなんかスゴい事なんだろうな・・・。
まあ移動するかな、とドアを開けて覗くと外でキシさんがいたので説明をするとこちらもギョっとした顔をする。
ブラウンさんの元へ移動し説明すると私が作った船に祝福を・・・と言った後に思考停止のようになり固まる。
少ししてなんとか持ち直したが滂沱のごとく涙を流しユキさんに感謝を述べている。
あーこれは俺が思ってたより大事なんだなと実感できた。
そして船作成所へとやってきた。
『おお、小ぶりだが良さそうな船だな、どれどれ』
と船へササっとのりこみあちこちを見て行く。
いろんな所をみては、ふんふんと頷き何か納得したような感じで見ている。
ここはこういった考えでつくっているのであろう?となにやら正解をいった用でブラウンさんは頷いているのだが、ならこうすればもう少しよくなるぞといわれてブラウンさんはハッっとした顔になる。
えーそんな事わかるの?って顔になってるとユキさんはドヤ顔でこちらを見る。
『あのお方は多才ですから・・・ジブンノ船などは設計もおこなっていますし』
護衛さんが説明してくれた・・・マジか・・・。
『うむうむ、この船なら問題なかろう、出来上がったら我が祝福を施すからな!あー楽しみだ』
何やら合格点をもらえたようだ。
落ち着いていたブラウンさんがまた感激して泣き出してしまったのには困ったね。
2020年の書き納めです。
応援ありがとうございました!
来年も応援よろしくお願いします!




