第72話
『ビャク、次の釣りなん
『行くのだ!』『行くわよ!』
ビャクの部屋へ通されたら親子が待っており、俺が言い切る前に返答が帰ってきた。
『あの、今度の釣りはちょっと特殊で投げ込んだら30ほど待つ釣りなんですよ、まあその間に別の釣りをと考えてますけど前回のサバ釣りのような連発で釣れるって感じじゃないですけどいいですか?』
『行くのだ!』『行くわよ!』
どうやら考えは変わらないようだ。
そういう事ならと日程を決めて、俺の方でまた子供達を誘っておくことにした。
『ところで今度はどういった物を釣るのかしら?』
『メインはカニという物を釣るのですが、あー今日試しに釣ったものがあるので見てみますか?それともその時の楽しみにしておくか・・・』
親子は真剣な顔で考えはじめなにやらブツブツいっている。
『我慢するのだ』『そうね、やはり楽しみはとっておくほうがいいわね』
どうやら結論は出たようだ。
当日を楽しみにしてるわねと別れの挨拶を済ませ次にブラウンさんを訪ねた。
『頼まれてた殺菌器と強力冷凍庫が出来ております』
おお、進捗状況を聞きに来たつもりだったが完成していたとは。
別の部屋へ通され完成したものを見せてもらう。
殺菌器は回らない寿司屋のガラスケース内でネタが見えるのを参考に伝え作ってもらった。
『このケースにいれて10分ほどで殺菌される仕組みとなっています、それ以降も入れ続けても問題はありません』
殺菌が続くのでネタの持ちもよくなるであろうと考えられる。
これがあれば生魚が完全に受け入れられた時には寿司屋も出来るだろうとほくそ笑む。
『お次はこちらの強力冷凍庫です。マイナス20度以上ということで強力な動力がいる為に現状ではこのサイズとなってしまってますが改良が進めば小型化も可能でしょう』
見た感じは業務用の大型冷凍庫って感じだな、まあ使うのはお店が主になるし何も問題ないね。
近いうちにお店に配置するので使ってみて欲しいとの事だ。
『次から次へと色々作ってもらってありがとうございます』
『いやーはじめ殿のおかげで色んな新しい物を作れてとても楽しいのですよ、なんでも言ってくださいね!』
『ははは、ありがとうございます、いずれは漁船とかも頼むようになる日が来るかもしれませんね』
俺は冗談ぎみで言ったのだがこれにブラウンさんが喰いついてしまった。
『ほう・・・漁船ですか・・・・ちなみにそれはどういったもので?』
ブラウンさんの目がキラキラしている錯覚が見えてしまう・・・。
『えーっと、色々あるのですが個人で持つとなると普通サイズで長さが6m弱ぐらいで横幅が2m弱ぐらいの船ですね、そこに釣りに役立つ機能を取り付けたものです』
『そのようなサイズでよろしいのですか?』
『ジパングにある巨大貿易船?のような船はもっと大きな店や国などが扱って漁をすることもありますね』
そこからブラウンさんはブツブツと独り言を言いつつ考え始める。
予算をー、人手をーとなにやらすでにやばい方向へ走り出してるようだ。
『あのブラウンさん・・・漁船はいずれですね・・・・』
俺の言葉にハっと考え事から戻ってきたようだが顔はニヤけたままだ。
『ハジメ殿、その漁船とやらの構造をもっと詳しく教えてもらえますか!ちゃんとした予算見積もりを作り王達から予算をもぎ取ってみせますよ!』
あかん・・・もうやるき満々だ、これは俺には止められない。
王様、シキさん・・・すみません。
俺とブラウンさんは魔道車の時のようにアイデアをだしてはそれを詰め込み、僕の考えた最強の漁船のデザイン設計を進めていくのだった。




