第53話
朝起きて俺はまとめていた荷物を抱え引っ越し作業に入る。
『ワタツミー、俺たちはサクっと作業終わらせてみんなのお手伝いだぞ』
『キャン』
まあそうはいってもワタツミはタエさんを和ます応援しかできないだろう。
家を出るとギョっとする光景が待っていた。
屈強な方々はすくなくとも20人ほどスタンバっているのだ。
『おはようございます、今日はお手伝いに参りました』
その中からジンさんが出てきてそう伝えてきた。
冷静に考えたらこれ国策みたいなもんだもんね、そりゃ手伝いもくるか・・・。
俺はそんなに荷物がないのでキショウ達の手伝いを頼みワタツミと引っ越し作業をする。
釣り具道具類を運びこみ、一階の冷蔵庫などを稼働させて問題ないようなので保存していた海産物を運び込む。
ルカとサージャの二人もそこまで持ち込む物がないとのことで昼までには引っ越しを終えてしまったので時間が生まれてしまった。
それならここで扱う海産料理の説明会でもやりますかという話になり、俺の図鑑ノートをもとに今扱える食材と料理法などを教えていった。
城で働く本職の料理人なので技術力は高く、俺が言うこともすぐに理解して知識を吸収していったので、お店が本格的に稼働するようになればほぼお任せで俺は食材確保係になるだろうと思えた。
この日の夕食はルカ&サージャの作るとても豪華な料理を皆で楽しむのだった。
翌日から料理を一通り作ってみたのが、先日感じたように技術力があるのですぐにマスターしてしまってやる事はなくなった。
これなら在庫を増やすために釣りにでも行こうかなと考えてると、どれぐらいの量をいくらで売るのかという経営面に参加させられてしまった。
そこらはお任せ案件だと思ってたのにワタツミを抱えたタエさんに肩を掴まれ参加を要望されてしまい逃げれなかったのだ・・・。
はっきり言って簡単に釣れてるが、このサイズのアジだと日本で買うならスーパーで安くても一匹400円、しかもこのおいしさだからすぐブランド化され価格は跳ね上がるだろう。
だがそんな金儲けに走るのが目的ではなくあくまで海産食文化を広め発展することが目的だ。
それなら居酒屋レベルの値付けでいいんじゃないかと思い、一皿、一品価格を~300円ぐらいにしてプレオープンはすべて100円でどうだろうかと提案するとそれでいきましょうとまさかの採用だった。
そこで俺は解放され、あとは海産以外の料理などの話し合いへと移行していった。
開店前日の最後の打ち合わせや確認を行うのでそれまでは自由行動で良いとの事なので、俺はアジ、イカ、アサリ、キス、エビの確保をまったりとしていった。
今までため込んだ在庫からして十分だろうと思えたのだが、初日にそれは甘すぎる考えであったと知る事となる。
前日に料理の前準備、お釣り準備、食器類準備など考えれる事はすべて終え、明日はどれぐらい売れますかね?とみなで談笑し眠りについた。
:::::::::::::
ガヤガヤガヤ
一応かなり早めにセットしてた目覚ましが鳴る前になにやら外の騒がしさで目が覚める。
ん~何事?と若干寝ぼけつつ窓から見た光景に俺は固まってしまう。
店先には人の大群が開店まだかなー、楽しみだねーと談笑しているのだ。
俺はすぐに着替え他の人たちの部屋をノックしていく。
みんなまだ寝ていたようでどうしたんですかと尋ねてくるので窓から外を確認してくれと言いみなを待つ。
ドタドタと走り気味に部屋から出てきてあれはいったいとみな思ってしまったようだ。
とにかくすぐに料理に取り掛かろうと号令を出して俺、タエさん、ルカ、サージャ4人で料理作製に入って行く。
キショウにも手伝いに入ってもらい店先で後1時間ほどで開店する説明を頼んだ。
『しかし、こんな早くからあんなに大量に何故お客が来たんだ・・・』
俺の呟きにみな、そうですよねと不思議がっていた。
だが答えはすぐに帰ってきた。
『説明と同時に聞いてきたら理由は簡単だったよ、仕事や準備でこもりがちだった私たちが知らなかっただけで、王様が宣伝をうってたみたいだよ、開祖様時代の伝説の海産料理が蘇る!ってかなり煽ったみたいだよ』
と苦笑いしつつキショウが俺たちの疑問の答えを持ってきた。
説明してる最中にも人はどんどん増えて来てたよと聞きたくない追加情報も教えてくれたのだが、あの人数に対してこの人数ではどうにもならないと思いタエさんへ城へ応援を呼びに行ってもらうのだった。




