第45話
昼食を終えワタツミと遊んでると迎えがやって来た。
御者にはいつものジンさんがいて馬車から降りてきたのはキシさんだった。
『先日、王が言われた通り今日は3店舗回る予定なので気に入った所があれば言って欲しい』
それに頷き馬車へ乗り出発する。
まずは一店舗目、城から近く治安も良くお勧めとの事だ。
だがついて見たものは超豪邸だった、庶民感覚でいわせてもらえば100人ぐらい住めるんじゃと思えるほどだ・・・さすがにこれは無いと辞退し次へ行く。
2店舗目も大きいが先ほどと比べるとかなり常識的な大きさだ。
3階建てで1階を店舗にしても十分な広さがあるし、大きな庭付きだ。
これも俺には手に余る物件だなと次へ向かう。
3店舗目は若干大きめだが許容範囲内だ。
2階建てで2階に5部屋もあり小さな庭も付いている。
これならワタツミも遊べるし魔道車を止めることもできるだろう。
3店舗の中ならここが気に入った事を伝えるとキシさんが手続きをしてくれるとの事だ。
次に内装の相談だ。
2階に関しては何も問題が無いと伝えるとクリーニングだけしておきましょうとなった。
1階のお店に関しては不定期ですし、お店で食べるというより持ち帰りメインの方がいいんじゃないでしょうかという意見を聞き入れてもらえ、調理場や保存倉庫場所を大きめに作ってもらう事とした。
海産物食材をゆっくり揃えるので急ぐ必要もないと話すとそれでも1月後には完成するとの事だ。
ちょくちょく覗きに来て何か要望があればその場で伝えて欲しいと言われたので了承する。
話し合いも終え夕方には家へ戻り、1月後あたりに向こうへ移ることを伝える。
タエさんがすごく悲しそうだがアレはワタツミと離れるからだ、俺は勘違いしないぞ・・・。
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それから俺は開店へ向けて食材をGETしていっている。
アジ、イカ、アサリの3種をメインとしている。
1週間ほど流れ作業のごとく頑張ったのでこれらの在庫は豊富だ。
もう少し魚の種類を増やす為何を狙うか部屋で考えていると
ダダダダ
タタッ
とどこかで聞いたような足音が部屋へ向かってくる。
『はじめにーちゃん、また釣りしたいのだ!』
『ワフ』
部屋へ飛び込んできたのはビャクと白丸だ。
またアジ釣りでもと思ったが、どうせなら新しい釣りをさせてやりたいとも思う。
んーと悩み
『ビャク、釣れるか分からないが新しい釣りをするか、前にやったアジ釣りなら確実に釣れるけどどっちがいいかな?』
『新しいの!』
まあこう聞けばそう言うよな。
『ビャクはミミズとか平気か?これぐらいの長さのミミズのようなエサを使う釣りなんだが?』
『大丈夫なのだ!』
とフンスと鼻息も荒めだ。
『よし、それなら、えーと・・・潮の時間が今日はもう無理だから、明日エサを掘って明後日に釣りだな』
『私も掘るのだ!』
エサ掘りもやるつもりか・・・まあやりたがってるし疲れたら休めばいいしな。
『わかった、じゃあ明日の昼11時あたりに集合していこうかね』
『わかったのだ!あっ・・・』
良い返事のあとになにやら思案している、用事でもあったかな?とおもってると
『あのな、この前のみんなも一緒にダメかなー?』
あー前一緒になった子供たちか、仲良くなってたもんなーまた一緒にやりたいってことか。
『ダメじゃないよ、これるかどうかは別にして俺が後で誘っておくな』
『うん、来れるといいな』
と満面の笑みだ。
ビャクはそれじゃあまた明日なのだーと元気よく帰って行ったので俺はお誘いへ向かう。
家も前に聞いてたがまずは公園へワタツミと出向いてみる。
公園へつくと俺とワタツミを見つけた子供たちが駆けよってくる。
こんにちわと挨拶した後に、明日と明後日また海で遊ぶ?んだがお前たちも来るかと聞くと
『いくー』『いきたいー』
と皆行く気満々だ。
なら今日家へかえったら両親に許可をちゃんと貰って明日の昼11時に集合と伝えると皆頷いた。
明日は前同様汚れてもいい恰好でなと伝えておく。
俺は一応持ってきていたフリスビーを渡してやると子供たちはワタツミと遊び始めた。
俺がやろうと思ってるのはエサ釣りの初歩でもある投げ釣りだ。
ただ、ロッドが3本しかないんだよなー・・・まあ喧嘩しないようローテーションするしかないな。
糸や針は何とかなるかもだが、釣り竿とリールをどうにか量産できるようにならないとなー、今度ブラウンさんへ相談してみようかなと思う。
それがブラウンさんの作製魂にまた火をつける事となるとはこの時思いもしなかった。




