第43話
帰りの馬車は若干入れ替えを行い俺は王妃様と一緒に乗っている。
『せっかくですのでみんなを招いて食事をしたいんですがどこか良い場所ないでしょうか?』
『それなら町の集会所があるのでそこを使えば良いわ、道具などはこちらで準備しておくから』
おーそれは助かるな。
夕方に迎えを寄越してくれるそうなのでそれまでゆっくりしておこう。
家へ着き、旦那さんや他に家の人がいるなら一緒に来てくださいと伝え別れる。
おいしい料理つくるからなと言ってやると子供たちは楽しみだと言ってくれた。
俺はみなから預かったアサリやマテ貝の砂抜きをしていく。
といってもアサリにぬるま湯の海水をつけるぐらいだ。
マテ貝はどうなんだろ?あまり聞いたことないしいつも海水につけてるだけで砂抜きできるからな。
それを終えたら料理に使いたい野菜をササっと買ってきて、汗をかき、海水で髪もガサガサなのでお風呂を頂き夕方まで横になった。
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トントン
ドアのノック音でめを覚ます。
ボヘーっとしてると
『おーい、お迎え来てるよー』
と、キショウが言ってくる。
あーもうお迎えの時間来てるのか・・・起きないとな。
サっと準備して出ていくと馬車とジンさんがいた。
料理する時間などがある為俺だけ先に迎えに来てもらったのだ。
あとからみんなと向かうねーと言うキショウと別れ集会所へ連れて行ってもらう。
大きな建物へ着き中へはいるとギョっとしてしまう。
そこへあったのはとても綺麗に準備されたテーブルやイスなどがあり30人ほどが食事できそうに準備されている。
先日城で食事した時にいたメイドさんたちもスタンバっている。
料理処はどこの大型料理店ですか?とききたくなるぐらい充実した設備が準備されており、こちらも先日いた料理人がスタンバっていた。
色んな食材も準備されておりこれは貝だけもってくれば良かったなと思ってしまう。
まあいつまではボーっとしてるわけにはいかない。
料理のお手伝いをしてもらう為手順の説明をしていく。
アサリ飯は先日と違い、先に湯がき身をとり、その湯がいて出汁がでた水を使い米を炊き上げる。
次はかき揚げだ。
アサリを湯がき身をとってもらう。
それにタマネギ、ニンジン、ゴボウを細切りし小麦、卵、塩をまぜた天ぷら衣と混ぜまずは俺が揚げていく。
揚げあがり味見したが良い感じだったのであとは料理人へ任す。
味噌汁は具にアサリを使うだけなのでこれといって説明することはないので初めからお任せだ。
あとはアサリとマテ貝をさきほど身を取る為に使った煮汁に酒とバターを入れて蒸せば終わりだ。
こちらは人が集まってから作るのでサラダやデザートなどを料理人に頼むこととする。
今回はほとんど料理人がやってくれたので楽だな~とノホホンとしてると招いたお客さんたちが到着したようだ。
キショウとワタツミを抱えたタエさん、旦那さんにお爺ちゃんお祖母ちゃん?を加えた家族が入ってきた。
『甘えて大勢できちゃったけど大丈夫かしら』
代表して一人のお母さんが言ってきたので見ての通り大勢でも大丈夫ですよと言っておいた。
昼に王妃様と打ち解けてた事もありそんなに場に緊張してないようだが、男性陣は若干緊張しているみたいだ。
『うちのが世話になったみたいだな、あとこんな立派な食事へ招いてくれてありがとうな』
『ご招待ありがとうね』
と男性陣やお爺ちゃんやお祖母ちゃんがやってきた。
『いえいえ、みんなと一緒で楽しかったですよ、それにみんなで採った食材ですから』
挨拶を済ませ談笑してると、ガラと音を立てドアが開くとビャクが駆けこんできた。
子供たちを見つけると嬉しそうにその輪へ入って行く。
どうやら今日一日でかなり仲良くなったんだなと微笑ましく見る。
次いでフェンリル一家が入ってきた。
少ししてキシさん、キシュウさん夫婦が入って来て最後に王様と王妃様が入ってくる。
これにはさすがに一般家庭のみなさんは緊張し固まってしまう。
何故か王様が俺を若干睨んでいるような・・・はて?
『そんなに固くならずに、一緒に貝掘りをした仲じゃないですか』
と王妃様が笑いかけてくれたのでお母さん連中は緊張がとけたようだ。
男性陣はまだ緊張しまくりだ。
『ウム、さあ皆でおいしい食事をいただこうではないか』
王様の音頭でみんなが席へついて行く。
メイドさんが食事を運び準備をしていてくれてるので俺は酒蒸しをサっと作り今日は俺も一緒に頂こうと席へ着いたのだった。




