第31話
少しして夕食の準備が出来たと呼ばれたので食堂へ向かう。
部屋へ入ると複数のおいしそうな料理があり良い匂いがしてくる。
ワタツミもそれを嗅ぎ楽しみなのか尻尾が大きく振れている。
では頂こうと席へ着き挨拶をすませるとタエさんはすばやく席を離れワタツミの世話をかいがいしく始める。
料理をとりわけワタツミへ与えているタエさんは夢見心地だしおいしい料理をたべるワタツミも嬉しそうだ。
それを俺とキショウは苦笑いしつつ料理を食べ進めていく。
食事を終え、お風呂を先に頂き就寝準備に入る。
明日のイカ釣りは朝マズメ狙いたいなーと思うが自然に起きれる自信はない。
あんな高性能なカメラがあるんだから目覚ましもあるんじゃ?と思いキショウに聞くとあると言う。
しまったなーホームセンターで買って来れば良かったと言うと家に数個あるから使いなよと渡される。
時間をセットし布団に入るとワタツミも布団に入ってくる。
『んーいきなり家族と離れて暮らすようになったし寂しいのか?』
ヒャンと小さく鳴いた後、丸まって寝る体勢になる。
まあいいかーと・・・・おやすみなさい・・・。
ピピピ・ピピピ・ピピピ
目覚まし音で目を覚ます。
ワタツミを音と俺が動いたことで目を覚ましたようだ。
『さて、ワタツミ、俺は出かけるんだがどうする?待ってるなら寝ててもいいんだぞ?』
と問いかけるとヒャンとないて俺の足元にお座りをする。
これはついてくるって事で良いんだよな?
釣り道具を持ち出かけようとすると玄関にお弁当が準備されていた。
ワタツミちゃんとどうぞと手紙がそえてある。
『タエさんが準備してくれてたみたいだな、後で食べような』
『ヒャン』
釣り場へ向か途中で門にナギさんがいたので挨拶をする。
『何もないとは思いますがお気をつけて』
と送り出してくれた。
昨日釣りに行った場所へ到着する。
いきなり頂いたエギをロストするのはアレなので自前のエギをセットする。
イカエギング釣りは、投げ込む、エギが着底するまで待つ、着底すると釣り糸のたわみを取り糸を張る、2~3回しゃくってエギを躍らす、着底まで待つ。
基本こんな感じを繰り返すだけだ。
さーてやってみますか。
一投目投入、丁寧に探るもアタリはなし。
若干角度を変えて二投目投入、こちらもアタリなし。
三投目は岩場が見える方へ投入。
しゃくりを入れエギが着底するのを待っていた時だった。
竿先からエギに何かがアタックしてきたと思われる振動を感じた。
竿をしゃくり合わせをいれるとガツンと重みを感じる。
『よし、きたぞ』
イカ特融の引きを感じる。
イカは漏斗という器官から海水を一気に吐くことで推進力を得る、それを繰り返すのでギュー、ギューと何度も力強い単調な引きを感じるのだ。
引き寄せてる途中で海面へ浮いてきた。
見せたシルエットは丸いイカの甲イカ、別名スミイカだ。
他のイカも墨を吐くがこのスミイカはイカの中でも厄介な奴なのだ、刺激をうけると墨をとにかく吐きまくる。
近年日本でエギング釣り人口が増え、墨を掃除せずに汚しまくる釣り人が増え釣り禁止になるところが増えている残念な問題があるぐらいだ。
引き寄せ網をいれすくう。
その状態であえて揺すり刺激をあたえ海水で墨を吐かせる。
こうすると何かあっても海水だけ吐いて墨を吐きにくくなるのだ。
網をあげ地面に置いてイカを凝視する。
【名:甲イカ 毒なし 食用可】
と浮かんでくる。
おーやっぱり甲イカだ、大きさは15cmくらいで普通サイズだった。
帰る時に締めようと思い、いけす網で生かしておこうと用意してる時だった。
プシュ、プシュと空気を吐く?イカが気になったワタツミがイカにネコパンチならぬフェンリルパンチを打ち込んだ。
するとイカからブシャーと少しの墨をふくんだ海水をワタツミが喰らってしまった。
あーあ、ちょっと銀色がはいった綺麗な白い毛が黒へ染まってしまったよ。
ワタツミは最初はビックリしたみたいだが、楽しかったのかイカへまた特攻しているのを俺は笑ってみるのだった。
最初釣り用語満載で書いてて読み直したらこれはアカンてことで、どうにか釣り素人にもわかるよう書いてみたつもりです。




