第29話
一番最初に落ち着いた?のはビャクだった。
こちらへ白丸とともに駆けてくる。
『はじめにーちゃん、おそろいなのだー!』
と嬉しそうに右手を挙げて見せてくる、白丸も胸を張り気味だ。
ビャクの手首には細い腕輪があり、白丸の足にも似たようなものがある。
お揃い?って事でまだ子フェンリルを抱えたままの自分の腕を見ると腕輪があり、子フェンリルにも付いていた。
えーと、これ何?と思ってると
『はじめにーちゃんはその子にパートナーとして選ばれたのだ、私のパートナーは白丸なのだ!』
よくわからんがそういうものらしい。
五郎丸が五郎さんの相棒とか言ってたのはそういう事なのかな?
五郎丸の方を見るとやはり同じようなものが足についていた。
『うそだろ・・・ワシ選んでもらえなかったのに・・・』
『いいなーいいなー』
とやっと復活した王様と王妃がブツブツいっている。
続いて復活したキシさんが説明をしてくれた。
『フェンリルは生涯に一度だけ自分が認めたパートナーと契約すると言われています。絶対と言えないのはそういったデータがないからです。五郎丸は五郎さまと別れてから誰もパートナーに選んでないのでたぶん合ってるとは思いますが』
目を細めキャウキャウ嬉しそうに鳴いてる子フェンリル。
過去にペットロスでかなり落ち込んだこともあり、それ以降ペットを飼えなかったので内心困惑している。
何がいいのか知らないがこの子は俺を選んでくれたのだ、その気持ちには答えてやりたいと思う。
しかしどうすればいいのだろう?
俺と一緒に生活していくって事でいいんだろうか?
と質問すると
『もちろんだ、大事にしてやってくれ』
と王様が答えてくれる。
おれは頷き了承した。
後は一応家族にも聞いてみる。
『俺と生活ってなると離れ離れになるがいいのか?』
と目の前にいる白丸に問いかけてみた。
すると白丸のほうへ五郎丸ともう一匹の子フェンリルがやってきて並び
『ウォン』『ワフ』『キャン』
と一鳴きし頭を下げてきた、これは宜しくって事でいいんだよな?
俺はふーと息を吐き
『よし、それじゃあよろしくな』
子フェンリルをモシャモシャしてやる。
『キャンキャン』
と鳴き尻尾が大回転している。
『あ、そーいえばこの子の名前は?』
『あなたが名を付けてあげて、フェンリルは自分が選んだパートナーからしか名前を受け取らないの、だからおチビちゃんたちにはまだ名前はないのよ』
王妃様が羨ましそうに言ってくる。
名前かー参ったなこういうのは苦手だ。
フェンリルって地球神話だと狼の化け物とかなんだよなー・・・んー安易にポチとかじゃだめだよなー・・・。
『よし決めた、お前の名前はワタツミだ』
日本の海神の綿津見三神様から名を頂くことにした。
俺の周りをキャンキャン言いつつ走り回っている。
どうやら問題なさそうだなと安堵する。
その後フェンリルの特性や飼育方法などを聞き、大事にしてやってくれと王様が支度金をくれた。
図鑑道具とワタツミ用に色々買うために城をあとにする事にした。
ちょっとづつブックマークが増えてきて、また評価も頂けました。
ありがとうございます。
もう少ししたらまた釣り話へ行けるはず・・・。




