第25話
それではアジフライの準備開始だ。
とりあえずアジを取ってこないとなと思ったが城の人がキショウ宅へ取りに行ってくれるとのこと。
城の調理場に案内されて必要な材料を言ってみたがすべてあった。
それらを使いやすい位置へ配置しアジが来るのを待つ。
綺麗な着物で揚げ物はなーと思い何かないかなと聞くと城で料理人がつかってる割烹着みたいみたいなのを新品でもらえた。
醤油、オイスターソース、マヨネーズなどはあったがタルタルソースは無かったのでアジを待つ間にソースづくりをする。
新しいソースレシピは大歓迎とばかりに料理人が手伝いも申し入れてくれたので頼むことにした。
割合などはいつも適当な男料理だったのでだいたいの分量を伝える。
ゆで卵をつくってる時にタマネギをみじん切りにする。
ゆで卵を潰す、あとはそこへタマネギのみじん切り、マヨネーズ、塩コショウ、お酢を少し入れてかき混ぜる。
味見してみたが酸味が若干きつめだがタルタルソースの味だ。
甘め様に半分づつにし砂糖を足したバージョンを作る。
マイルドな味付けになったしこれなら子供でもいけるだろう。
そうこうしてるとアジを取りに行った人が戻ってきたようだ。
『おまたせしました、こちらでよろしかったでしょうか?』
と、俺が昨日捌いたアジを入れた箱を差し出してきた。
中身を確認しあってる事を確認しお礼をいい受け取る。
さてやっていきますかねと思ってると、なにやら騒がしい。
その音の方へ眼を向けると王妃様とビャクがやって来ていた。
『これから料理するのだな、私もやってみたいのだ』
と、ビャクが言ってきたのだが、姫様にやらしていいのか?と思い王妃様の方を見ると頷いて微笑んでいる。
どうやら前もって許しを得て来てたみたいだな。
『じゃあビャク、料理するの手伝ってもらえるか?』
『うん、やるのだ!』
満面の笑みだ、よほどたのしみにしてたんだなーとこちらも嬉しくなる。
この世界に魚料理はないが肉料理はあるのでトンカツとかもあるそうだ。
だから料理法はみんな熟知してるので手伝ってもらいながらやる事にした。
手順は塩コショウを振る、小麦粉をまとわす、溶き卵につける、パン粉をまぶすだ。
ビャクは最後のパン粉係をしている。
パン粉をつけて出来たアジをみてはムフ~と満足気なようだ。
大きなアジだったので残ってた20匹を三枚におろし、さらに三分割にしてたため120切れのアジがあったのだが本職さんの手伝いもあって30分ぐらいで準備が終わった。
揚げ作業はさすがに危ないと思いビャクは不参加だ。
凄くやりたそうだったがおいしいの作ってやるからと宥め我慢してもらった。
最初だけ俺がやり、肉ほど時間かけずに揚がりますよと説明したら料理人さんたちも参加し揚げ始めた。
パチパチといい音を鳴らし、狐色になったアジフライが出来上がる。
『さて、味見してみますか』
と、俺はとりあえず何もつけずにアジフライを食してみた。
サクッと良い音の後にふわふわなアジの触感がくる。
噛むと、アジの旨味がドっとでてくる。
『うん、これはウマいや』
俺の感想を聞いて料理人たちも食べてみるようだ。
好き嫌いがあるからどうかなと思ったが全員ウマいと感想を述べている。
『うー私も食べたいのだー』
と恨めしそうに見てくるビャク。
毒見はと思ったが俺や料理人が食べて何ともないのを見た王妃様がしょうがないわねと許しを出した。
『ほら、熱いから気を付けてな』
骨はとりのぞいてるが一応骨が少ない尻尾のほうの身をビャクに皿へ入れて渡す。
『やっとなのだー』
と齧り付いてアツッと言いながらもモグモグしている。
そして満面の笑みを浮かべて
『うまいのだー、アジフライうまいのだー』
と大喜びである。
たくさんあるから時間的に昼食として食べてもらうかと料理人さんへ話し、キャベツの千切りなどを用意してもらい大皿へ盛り付けて食堂へ運びお披露目をする準備を開始した。




