第24話
まさかの本気泣きである。
これには俺もキショウも大慌て。
どうにか宥めようとするも一度高ぶったビャクは延々と泣き続ける。
王様と王妃様は若干震えているな、ますいなアレはめっちゃ怒ってるのか?
とその時だった。
バーンと俺達が入ってきた門が開き
『大きな泣き声が聞こえました、何事ですかーー!』
とキシさんが慌てて入ってきた。
どうやら再起動してこちらへ向かってるとビャクの泣き声が聞こえたみたいだ。
『ビャク様・・・これはいったい?』
俺とキショウが宥めてる様子を見てキシさんも困惑顔だ。
張り詰める雰囲気の最中に
『プっ』
と噴き出す音が聞こえる。
その方へ眼をむけると王妃様がプルプルしながら下を向いている。
しかし何かが決壊したようだ。
『ふふ・・あーはっはっは』
『あははは・・・もうダメ・・・限界・・・あはは』
まさかの王様&王妃大爆笑である。
『もう、開祖様と同じ渡り人の前だからせっかく威厳に満ちた感じでやろうって思ってたのに・・・ビャクちゃんおもしろすぎー、ぷふふ』
『こやつに言われて私もかっこつけていたが、あっはっはっは、やめだやめ、似合わんわ』
いきなり王様&王妃様がはっちゃけはじめた。
俺、キショウ、キシさんはポカーンとなってるが、キシュウさんはあちゃーと手で顔を覆っている。
どうやら王様、王妃、キシュウさんで企んだことなのかな?でもそうなると宰相っていったい・・・。
『もうーせっかく国の姫として荘厳に紹介しようと思ったのにー、ビャクちゃんたらあの登場はないわー』
と、ふくれっ面になる王妃様。
ほら、おいでとビャクを呼び、だっこしてあやし始める。
『いやーすまんな、はじめ殿、せっかく渡り人を迎えるとあってうちのが面白がってな』
『だってーご先祖様と同じ日本人よ、こう立派な所をみせたいじゃない?』
俺は思わず
『あの、みなさんは五郎さんの子孫になるんですか?』
と尋ねると
『んーとね、先代は女王様だったの、王のお母さまね。で、文官で働いてた五郎さまの子孫に恋しちゃってね、猛烈にアタックして婿に迎え入れたのよ~』
とキャッキャしながら王妃様が説明してくれる。
なるほど、確かに遠いが同じ日本人の血がながれているな。
そういった話をしてるうちにどうやらビャクも落ち着いたようで泣き止んでいる。
『グス・・・もうお話は終わったの?』
『とりあえず挨拶は終わりましたよ』
するとビャクは抱っこから離れてこちらへスススと近寄ってきて
『はじめにいちゃん、今日こそ魚食べるのだ!』
俺の手を握り絶対の意思を伝えてくる。
これを断ると先ほどみたく泣き始めてしまうだろう。
俺は昨日わかった自分の能力のことを話す。
五郎さんにあった能力のようなものが自分にもある事。
それは魚を鑑定できる事。
『とりあえず鑑定して安全と思える魚を調理してみます。自分がまずは食べますが、もし毒見な人がいるなら試してもらって安全とわかればビャクに食べてもらうのはどうでしょうか?』
これでダメならビャクには悪いが諦めてもらうしかない。
『いいじゃない!私も食べたいわ!』
速攻でお許しを出す王妃様。
王様は唖然とした顔をしてるがいいのかな・・・?
とりあえず準備を始めないとな・・・今日はアジフライだ!




