第15話
さてと捌いていきますか。
といってもアジの捌き方は簡単だ。
腹に切れ目を入れていき内臓を取って水洗いする。
尾びれから腹あたりに伸びてる固い線のような鱗?を削ぎ取る。
これで終わりだ。
これだけでもわかった事がある。
包丁につく脂がハンパないのだ。
これ、刺身で食ったらウマいんだろうな~・・・・いや、我慢だ。
とりあえず今日は五匹を焼いてみよう。
あまれば酢とかあれば酢漬けとかにしてもいいしな。
残りの20匹は後日フライとかにしてみたいから三枚卸にしておこう。
1時間ほど黙々と捌き終えたころに
『ただいまー』
どうやらキショウが戻ったようだ。
トタトタと足音が台所に近づいてきて
『お、やってるね』
『おかえり、ああとりあえず下準備を終えたところだよ、ビャクのほうは大丈夫だったか?』
『お父さんが心配してたからまあ説教はくらうだろうね』
とキショウがわらいながら答えてくる。
『そうか・・・今度あったら俺からも謝っておかないとな』
『今度会って話したいって言ってたからすぐその機会もあるとおもうよ』
とニヤけ顔。
んーやっぱなんかたくらんでそうだな。
『ところで、魚の処理で出たいらない部分なんだがどう処理すればいいかな?こちらでそういったものの処理とかどうしてる?』
『そういったものはスライムにやればいいよ』
と普通にキショウは答えるが
『スライム・・・・?』
俺がキョトンとしてると
『あーそうかそっちにはそういう生き物いないんだったね、スライムっていう軟体魔物が悪食でね、なんでも食べるからそういう処理につかってるんだよ』
『ま、魔物か・・・それは大丈夫なのか?』
どうしても心配してしまい尋ねると
『昔からのものだからね、これはエルフが大人しかったスライムと意思疎通させて出来たシステムなんだよ、スライムもいっぱい食べられるって事で承諾したらしいよ』
まさにwin-winだな。
俺が感心してると
『そういえばタエさんは?』
とキショウが訪ねてくる。
『今は洗濯してると思うよ』
と、俺がこたえると
『そっか、じゃあそのスライム処理場の案内ついでにはじめの服とか買いに行こうか』
『すまんが頼めるか』
『まあせておきなよ、じゃあ行こうか』
包丁などを洗い片づけキショウと買い物へ出発した。
『はじめはさー何か服にこだわりとかある?』
『いや、この甚平のような服で何も問題ない』
キショウはじゃああそこでいいかなと言い進んでいく。
目的場所は近くにあったようで5分歩いたぐらいで到着したようだ。
大きな店ではないが、ガラス張りの窓から見える店内には綺麗に陳列されてる衣服が見える。
『ウメさーん、お客様だよー』
キショウが店へ入り声をかけると
『はいはい、いらっしゃい』
と、声をかけ出てきたのは小さめの女性だった。
『キショウちゃん、いらっしゃい、そちらは今話題の人かい?』
『ははは、そうだよ、ウチで預かることになった開祖と同じところから来た人だよ』
『そうかい、ではご挨拶を。私はドワーフ族のウメと言います、どうぞよろしく』
ん、町で見た男性ドワーフはヒゲモジャでガッチリしてたが、女性は小さめってだけで普通の女性なんだな。
おっとこちらも挨拶をしないと失礼だな。
『はじめまして、開祖の五郎さんと同じ日本という所から来ました、よろしくです』
挨拶を終え、目的を伝えると
『服などはこちら、肌着はあっちだね、何か拘りがあるかい?』
『いえ何も、こちらの事もまだ良くわかってないですし服の方はキショウにまかせようかなと』
『じゃあ服のほうはキショウちゃんが選んでやりな』
『うん、まかせなよ!』
服選択はキショウにまかせ肌着を見に行くことにした。




