第13話
アジに浮かぶ窓枠を見てつぶやく。
『これ、この魚のデータだよな・・・』
『ん、魚をじーっと見てどうしたんだい?』
キショウが俺が魚をマジマジと見てるから聞いてくる。
『キショウ、この魚の上らへんに浮いてる窓枠みたいなものってなんだかわかる?』
『えーっと何も見えないけど・・・』
キショウは困り顔で返答してくれた。
こんなにはっきりと見えるのに見えない?
これは俺にしか見えてないって事なのか・・・?
キショウに今起きている現象を説明すると
『あーひょっとしたら・・・開祖も同じ・・』
何やら思い当たることがあるのかブツブツいいながら考え込んでいる。
少しの間待つと、真剣な顔をしつつ
『あのね、これは詳しく伝わってないから話してなかったんだけど、開祖も何か不思議な力?があったらしいんだ』
俺は頷いて続きを聞く。
『農業と畜産発展させるのに問題が出るたびに開祖が的確な指示を出して解決したらしいんだけど、開祖自身も自分の知識じゃないって言ってたらしいんだ』
『はじめのその魚の情報ってのが開祖は農業や畜産の情報とかだったってかんがえられるのかなー?と今の話きいて思っちゃった』
『なるほど五郎さんにも不思議な能力があったんだな』
五郎さんには生きていくために必要な能力だったろうし、俺には魚釣り&食文化を広めるのにめちゃくちゃ重要な能力だ。
これなら食べるために命をかけたギャンブルをしなくて済む。
これで今日から魚を食べていけるぞ!
俺がニヤニヤしつつ昼食を開始すると
『なんか、はじめにいちゃんめっちゃ嬉しそうだな?』
ビャクが聞いてくるので
『ああ、そうなんだ。すごく助かる能力があることが分かってな、これで海産物を食べやすくなれたと思うと嬉しくてな』
『あれをたべるのかー?おいしいの?』
『おいしいと思うぞ。種類は違うけど昨日一緒に食べた物も魚を使ったものだぞ』
『おーじゃあわたしも食べてみたいのだ!あれはすごくうまかったのだ!』
期待のまなざしで訴えかけてくる。
『えっ・・・ビャクちゃん魚食べたの?』
『うん、白丸も食べたのだー、おいしかったぞー』
ビャクはなんでもないように言ってるが、いけなかったかと思い
『日本でも有名で安全なな物だから何も考えずに一緒にたべてしまったんだが・・・まずかったかな』
『まあ、安全が確保されてる物なら大丈夫・・・・って事にしとこう』
最後の方にボソっと何か言ってたが大丈夫とのことだ。
昼食を終え、片づけも済まし帰宅することとした。
帰り道で
『なあ、はじめにいちゃん、それは今日食べれるの?』
ビャクが訪ねてきた。
この顔は期待マックスで食べる気満々だな。
だけどここはちゃんと言っておかないとなと思い
『ビャク、確かにこれを俺は今日食べてみるつもりだ、だけど今日は俺だけしか食べない』
ビャクはえっと驚いた顔の後にちょっと泣きそうになってる。
まあ楽しみを奪われたようなもんだからな・・・
『ビャク、何も俺はイジワルで言ってるんじゃないぞ、この魚は安全だとは思うが過去には魚を食べて苦しんだ人や死んだ人がいるんだ。そういうのを防ぐ為に安全確認を先にしておきたいんだ』
『それは・・・はじめにいちゃんは大丈夫なのか?』
どうやら心配してくれてるようだ。
『はは、ビャクー、俺はここに来るまで毎日のように魚食べてたんだぞー、任せておけ!』
何の根拠もないけど言い切る事でビャクを安心させようとした。
『わかったのだ・・・大丈夫になるまで我慢するのだ』
『ああ、大丈夫ってわかったら一緒にたべような』
『うん!』
笑顔にもどってくれたようだ。
これだけ良い型なら刺身とかウマいんだろうが、安全面を考えてまずは塩焼きあたりから行ってみるかね~とアジの食し方を考えつつ町に戻って行くのだった。




