第11話
先日俺が流さ着いたのは砂浜地帯。
サビキ釣りをするとなるとある程度の深さが欲しいので桟橋や防波堤場所が好ましい。
そのことを話すと
『それならあっち側だね』
キショウが答え先導してくれる。
ビャクが
『はじめにいちゃんが見つかった所の反対側なのだ』
と答える。
そして歩くこと10分ぐらいだろうか。
とても大きな港が見えてきた。
大きな船が数隻泊まっている。
あれは貿易関連なのだろうかと考えていると
『こっちだよー』
と、先導されたのは湾の中にある桟橋だ。
『ここでどうかな?』
『うん、ここでいいな、深さも周りを見た感じ5mぐらいでちょうど良さそうだ』
『ついに始めれるのだな!』
ビャクはやる気まんまんだ。
まずは撒き餌を作ろうと折り畳みバケツを出し
『ビャク、それじゃあこれに米糠をいれて混ぜるのを手伝ってくれるか』
『わかったのだ』
貰ってきてた米糠を入れ、練りオキアミパックの半分ぐらいを投入。
かき混ぜ用につかってるへらをビャクに渡しかき混ぜ担当を任す。
俺は海水を組んで混ぜているところへ丁度いい硬さになるよう足し入れていく係だ。
初めてやる事なので興味を持ちつつ楽しんでくれている。
まあ簡単なことなので1~2分で出来上がりだ。
『ビャクもういいぞ』
へらを受け取り洗ってしまう。
今度は撒き餌を蒔くためのスプーンを渡し、蒔く動作を見せつつやり方を説明しスプーンを渡す。
ビャクが真剣な子をしつつ撒き餌をすくい、海へ向けてまいていく。
『やーーー』
気合十分な蒔き方だ。
それを4~5回した所でストップをかけ海を観察しつつ仕掛けの準備をして行く。
延べ竿の先に糸を括り付け、伸ばしていく。
2m50ぐらいの長さで延べ竿としては短めかな。
サビキ仕掛けが1m近くある為、糸の長さは2mぐらいでカットし仕掛けと連結していく。
サビキカゴもあるがそこに入れるためのオキアミエサが無い為軽めの重りをつけて完成だ。
『ビャクー、ほらこれを持ってごらん』
『うん!』
喜び受け取るが、使い方を知らないので中央部分を握っている。
『ビャク、そこでなくて手前の太い方をこういう感じで持つんだ』
動作をしつつ説明。
『これでいいのか?』
と握る位置えを変え聞いてくる。
『ああ、それで大丈夫だ、じゃあ釣りをやってみよう』
『うん』
再び撒き餌を蒔くと底の方で何かが泳いでいるのがわかる。
これなら楽しめるかな?
ビャクの後ろから腕を持つ感じでやり方を説明していく。
『まずは、この仕掛けをゆっくり海へ沈めていくんだ』
『沈めるのは竿先付近までな』
『わかったのだ・・・・・沈めたのだ』
『そこからまたゆっくりを竿を糸と仕掛けを結んでる金具が出てくるまで上げるんだ』
ビャクは言われたとうりの動作をして振り返って顔を見てくる。
『そうだ、この釣りは基本その動作を繰り返すんだ』
『わかったのだ、やってみるのだ!』
ビャクから離れ、撒き餌を打ちつつキショウ用の準備をしようとしてた時だった。
『うおーうおー』
ビャクが焦ったかのようにいきなり雄たけびを上げ始めた。
『どうした』
と見れば竿先がひん曲がり海面に引っ張られている。
『きたか!』
とすぐビャクの後ろへ行き腕をもって補助してやる。
『うおー、なんかすごい引っ張られるのだ』
『魚が釣られまいと抵抗してるんだよ、魚との闘いだぞビャク』
『負けられないのだ!』
気合十分だ。
『ビャクちゃん、がんばれー』
キショウの応援がとんでくる。
『ぐぬぬ・・・ふぬぬ・・・』
ビャクは必死だ。
補助をしてて思うがどんだけ大きなのが掛かってるんだって言うぐらい引きが強烈だ。
それでもそこまで深く無い為2分ぐらいの格闘で魚を海面にあげる所まできた。
どう見てもアジだがこんな浅瀬で簡単にくるサイズじゃない。
3匹かかっており、2匹は尺越えという30cmオーバー、もう一匹はギガサイズと言われる40cmオーバーはあろうかと言うサイズだ。
ついに桟橋手前まで寄せあとは引き上げるまでだ。
ここまで大物数匹だと糸を手でもって引き上げた方が安全だ
安物竿がもつかなーと心配したがやっぱり初物はそのまま釣り上げたいよなーと思い
『ビャク、一緒にタイミングあわせて揚げるぞ』
『わかったのだ』
アジの抵抗をいなしつつ大人しくなったところで
『いまだ!』
『やーー』
一緒に竿を釣り上げることに成功した。
『うおーーやったのだ、釣ったのだー』
『やったなービャクー』
生まれて初めての釣り&この世界ではじめての釣りという二つの喜びを互いにかみしめるのであった。




