プロローグ
「こんな紋章見たことない…!」
「これは本当に紋章なのか…?それ以上のものに見えるぞ…?」
地下、暗闇、苔の匂い。石造りの地下牢に何人もの男が集まっている。
(ああ、クソ…一度は仁義の道に足を踏み入れたってのに何だこの醜態は…)
男は手足を拘束されたうえで上半身をひん剥かれ、寝台へとうつぶせに寝かされていた。周りの学者のような格好をした連中は男の背中を嘗め回すように観察している。
「ここまでハッキリと紋様をみれる紋章は前例がない…!いったい何の加護を受けているというのだ…!」
「聖レヴィン様の紋様に似ているか…?」
抵抗しようとしても口にも枷がつけられ言葉を発することができない。
(モンショーだか知らねえけどよ…俺の背中はそんなもんじゃねえよ…)
学者たちの関心の対象は男の背中…に描かれた模様。というよりもむしろ、絵画に近い。そう、学者たちが一心に調べているものその正体は。
(これは刺青なんだっての…!)
閑谷浩也、27歳。指定暴力団体黒田親忠会に所属していた彼は今、自らの刺青のために異世界で囚われていた…!
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