「兵隊さんの日常」
どっかからやって来た兵隊さん。
顔は真っ黒汚れてて、服もボロボロ破けてる。
少し曲がった鉄砲を杖に、命からがら逃げてきた。
なんにもない村人だから、屋根の下で休ませて手ぬぐい絞って顔を拭いた。
傷だらけのアチコチに、絆創膏とか包帯巻いた。
キレイな水をコップに入れて、パンとチーズも用意した。
目を覚ました兵隊さん、バンとチーズを交互に口へ、あっという間に食べほした。
コップの水で一息ついて、玉子のスープもどうぞと置いた。
なんだか泣いてる兵隊さん、スープはゆっくり飲み干した。
かたじけない、かたじけない。
兵隊さんが言うけれど、なんの事だがサッパリだ。
理由を聞こうなんて思わない。
兵隊さんが何を思うかは兵隊さん。
命を捨てても戦うべきだ、兵隊なんだからそれが絶対。
みんなのご飯を分けてもらって、命を捨ててみんなを守るはずだった、それが本当の兵隊さん。
逃げてきた、逃げてきた。
それでもご飯を貰った、生きる為。
命を大事に逃げてきたから、ここに敵がせめて来る。
かたじけない、かたじけない。
兵隊さんは言うけれど、やっぱり意味が分からない。
人を守るのは自分の為、自分を守るのは人の為。
兵隊さんは間違ってない。
兵隊さんが元気になって、嬉しい気分があるだけだ。
一緒に準備を整えて、さあ、みんなで逃げ出そう。
おしまい。