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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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一郎とはずみのクリスマス

辺りが暗くなってきてから知香たちが帰ってきた。


今の時期は日が短い。


『ただいま。いっちゃん来てたんだ。』


一郎は佐知子が出した古着で既に女装をしていた。


『なんで?』


『いや、俺が来たら八木さんが怖がっちゃって、このみちゃんが八木さん男の人苦手だから女装しろって……。』


はずみに一郎が弁明する。


『すみません、萌絵さん部屋に逃げようとしちゃって変な空気になったから仕方無く……。』


『そんな事言って、このみちゃんいっちゃんの女装見たかったんじゃないの?』


『はい、それもあります……。』


このみが暴露して一郎は騙されたと思った。


『折角だから今日はこのまま女の子でいようよ。』


はずみは不満そうだったが、萌絵たちに留守番をさせたから一郎が女装する羽目になったのだと反省する。


『今日はクリスマスだから鶏とケーキ用意したからね。』


佐知子がわざわざ丸鶏を焼いてくれるらしい。


『じゃおばあちゃん、私着替えたら手伝うね。いっちゃんはお客さんの相手していて。』


『はずみさんはずみさん、いっちゃんさんって本当に知香さんそっくりですね!知香さんの話いろいろ聞いて面白かったです。』


たぶん知香が居ると話せない様な内容なんだろう。


はずみはこのみの無邪気さに負けて女装姿の一郎を許す事にした。


『決して俺はそっちの方に行かないから。』


一郎ははずみに言い訳をする。


『別にどっちでも良いよ。一郎くん最初に会った時もそうだったし。それよりやぎっち!少しくらい男の子に慣れなさい。こんな奴怖くないから。』


八つ当たりをされて萌絵は俯いた。


『ずいぶんな言い方だよな。』


『いっちゃん、窯の方手伝って!』


鶏は庭に設置された窯で炭火焼きにされていて、呼ばれた一郎が外に出る。


一旦知香とはずみを降ろし、再び出掛けた俊之がケーキを買って戻り、一郎の両親の高志と瑞希もやって来た。


『あら一郎、あなたもまた女の子になったの?』


はずみは一郎の母・瑞希のまたという一言に不安になった。



知香たちの歓迎会及びクリスマスパーティーが始まる。


『かんぱ~い!』


各自鶏を取り分けて大人はビール、子どもたちはジュースで乾杯した。


『夏の時と違って人数も少ないしここに居るのが長くなるからとも、みんなを紹介してくれないか?』


俊之が言ったので、知香が紹介する事になった。


『では、奥から松嶋はずみさん。陸上部に入っていて足が速いの。』


『一郎とはどこまでの仲なんだ?』


俊之は一郎とはずみの仲が気になって仕方がない。


『一郎、そうなのか?』


一郎の父・高志が驚いて口を挟む。


『いや、そんな、メールくらいだけど……。』


一郎が弁明するがはずみは優柔不断な一郎の態度に我慢出来ない。


『そうなの?もしかして、男の子の方が好きなんだ?』


『そんなんじゃなくて、メールじゃなくちゃんとした形で言わなきゃって思ったから……。』


周りの大人たちから驚きと冷やかしが混じった祝福が上がる。


『……後で着替えて言ってよ。なんかチカに言われているみたいだしみんなの前じゃ……。』


大人たちはニヤニヤしていた。


『その隣、小学六年生の上田康太くん。私みたいに女の子になりたいって言って来たんですけど女の子で出掛けるのは今日が初めてなの。女の子の名前はこのみちゃんです。』


『宜しくお願いします。』


『このみちゃんも可愛いね。最近はともちゃんみたいな子多いのかな?』


高志が女装の一郎を気にしながら言う。


『おとうさん、俺は違うから!』


『はいはい、あなたははずみちゃん命だからね。』


母親の瑞希にまでからかわれる始末だ。


『で、私の隣は八木萌絵ちゃん。服飾部に入っていて自分で洋服を作ったり出来ます。』


『後、チカとはただならぬ仲なんです。』


はずみが反撃に出た。


『なんで?はずみんには言って無いけど……。』


『一緒に居れば分かるよ。まぁ、奈々からも聞いたけど。』


今度は一郎やこのみも大人たちと一緒に目を丸くして驚いた。


『二人は一応女の子同士って訳だろう?どうなっているんだ?』


『一緒に居るうちにそんな流れになっちゃって…。おとうさんたちには言わないで!』


両親の博之と由美子は年末にやって来る。


比較的寛容な両親だが、面倒な事態は避けたい。


クリスマスパーティーは大暴露大会と化してしまった。



パーティーが終わり、自分の服に着替えた一郎ははずみを呼び出す。


知香や大人たちは気付いていたが気付かぬ振りをした。


雪が舞う庭に出ると、二体の雪だるまが寄り添う様に並んでいた。


『さっき、作ったんだ。』


はずみは雪だるまを見た。


『これが答えとして受け取って良いの?』


『……うん……。』


田舎育ちの一郎は言葉は少ないが雪だるまに託した自分の気持ちを伝える事が出来た。


『ありがとう。』


降る雪が二人を祝福している様な気がした。


二人にとっては最高のクリスマスの一日になった。


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