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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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見守り隊のクリスマス①

12月になった。


期末テストが終われば冬休みになる。


終業式はクリスマスイブの24日だが、知香は翌25日からはずみ、萌絵とこのみ(康太)を連れて長野の実家にスキーに行きそのまま年末年始を過ごす事になっている。


『クリスマスかぁ。私、いつもぼっちだったから今までパーティーとか参加した事無いんだ。』


去年は不登校で引き篭もり中だった。


見かねた雪菜が25日になってケーキを買って来てくれたので二人で食べたくらいである。


『……私もパーティー呼ばれた事無いよ。でも、おかあさんいつも鶏とケーキはお店で買ってきてくれるから食べてる。』


萌絵の母が勤めるスーパーでは毎年ケーキや鶏、おせち料理の販売ノルマがあるので必然的に夜はホームパーティーになる。


『そっか、それはそれで大変だね。』


『ウチなんかお店が忙しいから、ほったらかしだよ。』


雪菜の店のクリスマスは書き入れ時で[スノーホワイトクリスマススペシャルディナー]が毎年大人気だ。


昼も夜も予約でいっぱいの為、店が終わってからようやく残った鶏を焼いてもらえるが遅すぎて食べるのは翌朝になる。


美久も母の美子が看護師なので、仕事が休みにならなければホームパーティーは出来ない。


みんなそれぞれ大変なのだ。


『学校終わったらパーティーやりたいよね。』


『でもこれだけの人数いたら普通の家じゃ無理だよ。』


普通では無い家となると麗くらいしか居ないが、受験生にとって一番大事な時なのである。


『チカたち、次の日から長野に行くんだし、今年はパーティー止めよ。』


『今年もぼっちかぁ〜!』


知香は珍しく大声で悔しがった。



ところが翌日、思わぬ朗報が舞い込んできた。


『チカは[放課後見守り隊]、知ってるよね。』


のぞみが聞く。


駅前商店街の加盟店が放課後の小学生を預かってくれる地域サービスだ。


加盟店のさくらやで制服を作った時にのぞみの妹・いずみがそのサービスを利用していて預かってもらっていた。


『知ってるけど。』


『見守り隊で24日にクリスマスパーティーやるから手伝いがてら参加しないかって言われたんだけど。』


商店街の空き店舗を使ってパーティーをやるのだが商店街の店主たちは店がある上に高齢者が多いので準備がままならないそうだ。


ならば以前に見守り隊のサービスを利用していたのぞみたちに手伝ってもらい、一緒に楽しんでもらえば一石二鳥ではないかと提案されたと言う。


『空き店舗ってそんなに広いの?』


今見守り隊を利用しているのは10人くらいらしい。


一、ニ年生は学童クラブの利用が多く、五年生くらいになると直接帰宅する生徒が多くなるので大体三、四年生が中心である。


『放課後さくらやに行って聞いてみない?』


試験が近くなり、生徒会活動も落ち着いているので早速行ってみる事にした。



『こんにちは〜。』


『あ、チカねぇだ!』


のぞみと一緒にさくらやに伺うといずみと友だちの双葉が出迎えてくれた。


『あら、いらっしゃい。白杉さんの娘さんでしたよね。制服はどう?』


双葉の祖母でこの店の店主夫人である漆原節子が尋ねる。


『はい、とても着心地が良いです。』


『手直しが必要になったら言ってね。中学生は直ぐに大きくなるから。』


『はい、ありがとうございます。』


『クリスマスパーティーの事なんですが、チカが中心になって手伝ってくれるって言ってくれました。』


のぞみが話題を変えた。


『ちょっとのぞみん、何中心って?』


『だってこういうの得意じゃない?おばちゃん、この子卒業パーティーとか文化祭のクラスの企画とかいつもやってくれてるんだよ。』


『それは頼もしいね。今回も宜しくね。』


知香はまたかと言う顔でのぞみを見た。


『あくまで主役は小学生ですよね。あまり私たちが出しゃばるのもどうかと思うんですが。』


『大丈夫よ。折角なんだから楽しんだ方が勝ちよ。』


節子が笑う。


『会場、見せて戴けますか?』


節子の案内で知香たちは空いている店舗に向かった。


その店は居抜きになっていて、折りたたみのテーブルとイスが置かれている。


『普段は商店街の会議をしたりイベント会場にしている場所なんだけどね。25日から歳末のガラガラ抽選会やるけど24日のお昼はまだ空いているから自由に使って良いわよ。オードブルもケーキも商店街の経費から出すから大丈夫。』


『そんな、良いんですか?』


『子供たちは宝だからね。その為に[見守り隊]をやっている様なものだし、問題無いわよ。』


ここまでして貰うなんて逆に恐縮してしまう。


知香は少し考えた。


『いつも、抽選会はどんな感じでやっているんですか?』


『あそこのホワイトボードを真ん中に装飾をして、この辺にガラガラを置く感じかな?でもどうして?』


節子は知香が何を考えているか分からなかった。


『後で抽選会に使える様にクリスマスパーティーの装飾をするんです。そうすればみなさん多少楽になりませんか?』


最初から抽選会を意識してパーティーの装飾をするのである。


『そんな、悪いわね。でも助かるわ。』


話は決まった。


冬休み前の土日はパーティーの装飾である。

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