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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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書記は大忙し

生徒会にとって、文化祭二日目の午後が一番忙しくなる。


まず、分担して各階に設置した投票箱を回収する。


知香はひな子と共に一階の投票箱が置いてある廊下に向かう。


『まだアンケートの投票がお済みで無い方、午後一時が締め切りです!お早めにお願いします!』


大きな声でアンケート用紙を出す様呼びかけると幾人が投票してくれた。


午後一時ちょうどになった。


『只今を持ちまして投票は終了です。ありがとうございました!』


3つの投票箱を生徒会室に持ち運んでアンケート用紙を拡げる。


『かなり今年は多いわね。』


知香は初めてなので分からないけれど去年よりも回収したアンケートはだいぶ多い様だ。


一枚づつ項目別に読み上げたものを知香がホワイトボードに書いていき、集計をしていく。


ここまででほぼ一時間掛かった。


集計した結果をパソコンに入力してプリントアウトし、さらに各賞の表彰状を作成していくがそれは全て知香の仕事だ。


知香が印刷関係の処理をしている間に他の役員は体育館に行って文化祭実行委員と共に閉会式の準備に取り掛かる。


2時45分、集計した表と表彰状の全てが出来上がり、一人残っていた知香も生徒会室の鍵を掛けて体育館に向かった。


(こんなにハードな仕事だとは思わなかったよ。)


知香が体育館に到着すると全校生徒のほとんどが集まっている状態だった。


『お疲れさま。知香さんさすがね。』


息を切らして来た知香をひな子が労った。


『去年の今頃、私はまだパソコン不慣れだったとは言えしのぶさんと二人掛かりでやった仕事を一人でやっちゃうなんて。』


知香は書記が一人でやるものとばかり思っていたので力が抜けてしまった。


ひな子は知香に対してはドSの様だ。


『みなさん、大変お疲れさまでした。これから文化祭の閉会式を行ないます。始めに今日、この場を持ちまして生徒会の現執行部は解散して新執行部に引き継ぎます。』


現会長の矢沢しのぶが新会長の児玉清和にマイクを渡す。


『新しい執行部会長の児玉です。只今より新年度執行部を発足致します。宜しくお願いします。』


『副会長の樋田です。宜しくお願いします。』


ひな子からマイクを渡され知香も挨拶をする。


『書記の白杉です。宜しくお願いします。』


前会長のしのぶと副会長の田村和夫が舞台から降り、知香は正式に生徒会の書記となった。


『それでは、表彰式を行ないます。企画賞、一年A組!』


ひな子が発表すると一年A組の生徒が歓喜した。


一年A組の着せ替え変身館は知香の発案した企画だったが、知香は集計の時点で企画賞となったのは知っている。、


ただありさが暴走したおかげで最初の自分の意図とは多少変わってしまったのが不満である。


高木が壇上に上がり、児玉から表彰状を受け取る。


高木は児玉の隣で表彰状を渡す役目の知香に向かって親指を立てたが知香は苦笑いで返すのが精一杯だった。


高木が降りるとひな子が賞の発表を続ける。


『準大賞、一年C組!』


近隣地域の郷土かるたを深堀りして集めたり分かりやすく解説していたのが評価された様だ。


学級委員の紀子が壇に上がる。


(自分は準備はやっていないのにいいとこ取りだよな。)


知香がそう思って紀子を見ていると賞状を受け取った瞬間、紀子は知香に不敵な笑みを見せた。


(ホント、面倒くさい人だ。)


紀子が壇から降りると、いよいよ大賞の発表である。


『今年度の文化祭大賞、三年A組!』


ひな子が発表すると三年A組の生徒が大きな声で喜んだ。


放送委員長の千夏はその場には居なかったが、車イスの麗に抱きつく女子生徒の姿も壇上から見える。


(麗さん、良かった。)


障害者の実体験をして貰い介護福祉を取り上げるテーマが高く評価された。


壇には三年A組の学級委員が上がり、表彰状を受け取る。


学級委員は壇から降りるとそのまま麗の所に行き表彰状を手渡すと、全生徒から大きな拍手が沸き起こった。



『お疲れさま!』


生徒会室に戻った面々はお互いの労をねぎらう。


『知香さん、一年間やって行けそう?』


しのぶから声を掛けられる。


『はい、鬼の副会長が居るので頑張ります。』


ひな子が驚いて顔が真っ赤になっている。


ひな子にとって知香が初めての後輩なので先輩のしのぶ達はひな子がそんな性格である事は初めて知った様だ。


『ひな、一年生をあんまり苛めちゃダメだよ。』


『知香はちょっと付け上がっている様だから良いんです。』


『そうだね、ちょっとくらい痛い目に合わせなきゃダメかな?』


これからだいぶ弄られそうな予感である。


『そんなぁ~。』


三年生は引退するが、知香も生徒会の雰囲気には完全に慣れた様である。


『頼むな、知香。』


児玉からも下の名前を呼び捨てられた。


『はい、宜しくお願いします。』


知香の生徒会活動が本格的にスタートした。




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