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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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こうちゃんの女装②

一年B組はじゃんけん喫茶をやっている。


ウェイター、ウェイトレスと来客者がじゃんけんをして来客者が勝つとお菓子が貰えるというサービスだ。


もっとも負けた場合もあめ玉が貰えるので小学生には人気がある。


『お、生徒会さま。今日は可愛いお供を二人も連れて来たな。』


美久が出迎える。


『みくねぇ、こんにちは!』


『こんにちは、いずみちゃん。で、あなたは……?』


『六年生の上田さん、こうちゃんです。』


知香が代わりに答えた。


『ん〜……、男の子……だよね?』


にわか女装なので美久でも目を凝らせば分かってしまう。


『来年中学か、良い妹分が出来たね。』


早速いずみがじゃんけんで勝ってお菓子を貰っている。


康太は負けたのであめ玉だけだった。


『なかなか良い企画だね。』


『ホントはみんなメイド喫茶やりたいって言ったんだけど二年生に負けたから別の企画通すしかなかったんだ。』


B組がメイド喫茶をやっていたら萌絵が大活躍していたかもと思うと少し残念だ。


さて、次は紀子の居るC組だ。


文化祭の前日の見回りの時も早々に帰ってしまい、会う事は無かったが、どんな様子だろうか?


一年C組の出し物は郷土かるた研究で、各地の郷土かるたで実際に対戦もしている。


『知香さん、遅くなったけど書記当選おめでとうございます。』


高野紀子が知香を見て普通に近寄って挨拶をした。


『紀子さんは残念でしたね。』


あまり余計な事を言えば嫌みったらしくなるので一言だけ返した。


『去年、総合体育館で21世紀郷土かるた大会やったでしょ?それに隣の群馬県は上毛かるたを知らない県民は居ないって言うし、この近くの郷土かるたを調べたら結構たくさんあるから調べたんです。』


(なるほど、母方の祖父母の家に行くとよく[鶴舞う形の…]とか[繭と生糸は…]なんておじいちゃんが教えてくれたっけ。)


説明を聞いているとまるで紀子が調べたみたいに聞こえるがクラス全員で取り組んだのは知香も分かっている。


それより、準備の時は学級委員でありながらさっさと帰っていたくせに当日になると責任者ですってどうなんだろう?


『そちらの小学生の方も是非遊んで下さい。』


紀子の案内で康太といずみがかるた勝負に興じる。


『一緒に仕事を出来れば良かったんだけど叶いませんでした。』


紀子は自分が副会長になれば書記の知香と共に一年生コンビで生徒会を牛耳れると目論んでいた様だ。


『来年は一緒にやれたら嬉しいですね。』


今や学校では知らない生徒は誰も居ない人気者の知香を敵視するより味方に付ける方が得策と考えているのか、ちょっと不気味な言葉の言い回しである。


『来年の事なんて考えられないですよ。今は仕事を覚えるのが精一杯ですから。』


知香は出来れば紀子と近付きたくない。


『あら、今の執行部で一年生は知香さんだけなんですから来年も是非やるべきでしょ?私も一人では大変です。』


自分が会長になるから副会長は知香になって欲しいと遠回しに言っている様だがそう上手くいくとは限らない。


『その時になったら考えます。』


ここは逃げるが勝ちだ。


『チカねぇ、8枚獲ったよ。』


いずみが中学生を相手にしたかるた勝負の結果を伝えた。


『ぼ……私12枚。』


康太も六年生の意地でいずみを上回った。


『他の所を見なければならないから紀子さん、またね。』


(今から一年後が思いやられる……。)


知香は二人を連れて逃げる様に教室を後にした。


『知香さんは全部見なければならないんですか?』


『そう。全部チェックするの。これで各学年のクラスは終わったからあとは部活ね。』


最初は萌絵と奈々が居る服飾部だ。


二人とも教室よりこちらの方が居心地が良いみたいに思える。


『二人とも上手いねぇ。』


二人が縫製した服が並んでいる。


『後で両方チカが着てどっちが良いか判定してもらうから。贔屓は無しだからね。』


奈々もかなり自信を持って言うが、二人とも甲乙付けがたい。


『楽しみだよ。』


次に知香が所属する写真部に行く。


『これ、私が撮ったヤツ。』


いくつかの写真で一番目立つ位置に恵美が弘樹に対して壁ドンをしている写真が飾られていた。


『凄い。』


『あ、ちなみにこの男の子は女子生徒で女の子は男子生徒だから。』


康太はさらに驚いた。


『私写真の腕はまだまだだけどこうちゃんもこんな写真撮ってあげるよ。』


康太がこれからどの様な選択をするか分からないが、恵美や弘樹の話も聞かせたい。



『ご迷惑を掛けてすみません。ありがとうございました。』


生徒会室に戻ると康太の母にお礼を言われた。


『私の方こそ連れ回してすみませんでした。』


『康太が知香さんみたいになりたいと言う気持ちが本当なら私も真剣に康太と向き合って考えます。』


母の立場としては複雑なのだろう。


『知香さん、これからも宜しくお願いします。』


『焦らないでね。いつでも相談に乗るから。』


知香にとって本当に妹分と思える存在が出来た。



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