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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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書記のお仕事

文化祭までの間、現執行部と新執行部で引き継ぎが行なわれる。


副会長になるひな子は現執行部で書記を務めていてずっと会長のしのぶや副会長の田村を見てきているし、知香は引き継ぎ期間が終わってもひな子は引退しないで傍に居てくれるから焦る必要は無い。


問題は会長になる児玉である。


ひな子が残るとは言っても基本的に会長の仕事を一から一週間で把握していかなければならない。


知香の席には専用のパソコンがあって毎月生徒会だよりの作成をしたり手書きした議事録をデータ化して残す役割が与えられた。


『知香さんはパソコン使えるから仕事覚えるのは早そうね。私はそれまでそんなに使った事が無かったから時間掛かったよ。』


ひな子が知香の席の隣で教えながら自分と比較する。


『ひなは私より覚えるの掛かったよね。』


しのぶも会長の前は書記だった様で、一年前に同じ様にひな子に教えたのである。


知香は不登校だった去年、自宅のパソコンでいろいろ調べたりしたのが役立った。


『会合の時の書類作成とかもしなければならないし会長や副会長より仕事多い時もあるから頑張ってね。』


書記の仕事はそんなに忙しく無いと高を括っていたふしがあったので気を引き締め直す。


(部活や保健室のお悩み相談室、どうしようかな?)


『幽霊部員でもうちは構わないよ。それに生徒会の広報の写真とか頼まれる事もあるから。』


写真部の村山部長はそう返事をした。


そう言えば体育祭で写真部の部員がカメラを持ってうろうろしていた様な気がする。


もともと写真部なので学校に私物のカメラを持ってくる許可は貰っているし、好都合な面もある。


『うちは今のところ開店休業中だから大丈夫よ。たまに生徒会室に居づらい時があったら避難場所にしてくれるだけで良いから。』


浅井先生もそう言ってくれたので気が楽になった。


相談室を作った最初の頃はいろいろ相談に来る生徒も居た様だが最近は落ち着いているみたいだ。


とりあえずこれで生徒会の仕事に専念出来そうだ。


(後は萌絵だよな……。)


今までは萌絵の部活が終わるまで知香が待っていたが、今後は萌絵より知香の方が帰る時間が遅くなる事が多くなりそうだ。


用も無いのに放課後遅くまで残っては居られない。


『八木はもう少し大人になれよ。私と一緒に帰ろう。』


萌絵は膨れ面だったが、奈々が取り持ってくれた。


最近はやぎっちから八木と呼び捨てになり、奈々と萌絵の仲も親密度が増している様だ。


『今週は文化祭の追い込みだからこっちも帰り遅いけど、文化祭が終わると反動でしばらくのんびりするからね。私が連れて帰るよ。』


『……うん……。』


多少萌絵の膨れ面が収まった。


奈々も萌絵の扱いに慣れてきた感じだ。


『ところであれから高野さん、どうしてる?』


知香は奈々と同じC組の高野紀子が気になって聞いてみた。


『どうもこうも無いよ。学級委員のくせに文化祭の準備しないで帰っちゃったりさ、こっちもクラスと部活の両方行ったり来たりで大変なのに。』


はずみの言った人が変わったというのはそういう事か?


『最初から高望みしないで書記に立候補すれば良かったんだよ。そしたら私も立候補しないで今まで通りだったのに。』


『でもそれで喜ぶのはここに居る八木くらいなもんだよ。C組の人だって高野の裏の顔見てから副会長落ちて良かったって言ってるし。』


そこまで酷いのかと知香は驚いた。


それでも一年C組の学級委員は降りた訳じゃないからこれからも学級委員会等で生徒会の面々とは顔を合わせる機会が多い。


(何事も起こらなきゃ良いけど……。)


不安の種は燻ったままである。



一年A組の文化祭の準備はそう時間が掛からないから問題は無いが、知香は出し物の発案者なので、生徒会の引き継ぎの合間を縫って教室に顔を出す。


『大丈夫だよ、私と高木で上手くやっているから。』


『お前はしっかり生徒会の仕事しな。』


A組の学級委員は体育祭以降しっかり機能しているので心配は全く無い。


ただ、自分の発案なのに携われないのもちょっと残念な気がした。



最初の[生徒会だより]は選挙の結果と新旧執行部の面々のコメントを掲載する号外を文化祭前に発行しなければならない。


これは、書記の仕事を引き継ぐ為の試験でもある。


レイアウトはテンプレートに沿って作れば良いから一度覚えてしまえば難しくは無いが、何しろ時間が限られているのが大変だ。


『今日中に仕上げようね。明日配らなければならないから。』


ひな子は口調は緩やかだが、結構厳しい。


知香がある程度パソコンに慣れているせいもあるが、ほとんど手伝ってくれない。


『誤字脱字には気を付けてね。先生に見せる時は完璧でないと二度手間になるからね。』


『分かりました。』


心の中で涙する知香だった。


考えてみれば一見おとなしそうでお人好しな感じのひな子が何故生徒会の役員なのだろう?


勉強が出来て、他の生徒から一目置かれる存在で無ければなかなかなれるものではない役職だとすると、ひな子はかなりやり手なのかもしれない。


知香も気付かなかったがもしかしたら紀子もそんなひな子に騙されたのかもしれない一人だと思った。


知香はひな子の鬼指導でなんとか最初の生徒会だよりを作り終えた。

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