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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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激動の二学期

8月が終わり、二学期が始まった。


二学期は早々に体育祭があり、その後には生徒会役員選挙、さらに文化祭と授業以外も忙しくなる。


これらが終わると三年生は本格的な受験モードになるためイベントは二学期前半に集中するのだ。


『まず、体育祭の個人の参加種目を決めていきます。』


三中は各学年3クラスづつあるので縦割りのクラス対抗で各種目を競う事になる。


1年の団体種目は二人三脚で全校合同は代表リレーである。


代表リレーは主に運動部に所属している生徒が選ばれるから関係無いが、学級委員と体育委員で構成される実行委員会でそれぞれ応援団を作ってリレーの時に応援対決もやらなければならないのだ。


個人種目は運動の得意な生徒が先に手を挙げるのでどうしても運動が苦手な生徒は残った誰もやりたがらない種目になってしまう。


普通の女子と比べてもあまり運動が得意と言えない知香は最後まで残った1500メートル走に必然的に決まった。


(ただでさえ走るの遅いのに長い距離走れないよ。)


でも学級委員の立場上文句は言えない。


『次に文化祭の出し物なんですが。』


一度に体育祭も文化祭も話し合わなければならないので忙しい。


『何か案はありますか?』


『メイド喫茶やりたいです。チカがやったら人気出るよ。』


真っ先にのぞみが手を挙げて言った。


『個人的な事は関係無いし。他には?』


『占いとかどうですか?』


『お化け屋敷!』


まあ大体考え付く事は一緒だ。


『あの~。』


『どうしました?白杉さん。』


知香が壇上から手を挙げて後ろで聞いていた木田先生に許可を求めた。


『私も一つ案出して良いでしょうか?』


『司会が何出しゃばっているんだよ?』


高木が遮るが


『良いんじゃないですか?どんな案ですか?』


木田先生が発言を許してくれた。


『私、今保健室で浅井先生から性の悩み相談室の相談相手になって欲しいって言われて参加しているんですけど、私みたいに本気で女の子になりたいって言うんじゃなくてちょっとスカートを穿いてみたいって言う男子とか詰襟りを着たいって言う女子も居るみたいなんです。』


教室を見渡すとなんとなく頷いている生徒が居るような気がする。


『で、変身体験のコーナーを作りたいと思うんです。』


『お前みたいな変態はそう居ねぇよ。』


高木が突っ込む。


『でも、体育祭の応援合戦、高木くんボンボン持ってチアやるんだよね?』


クラス中が沸いた。


応援合戦では女子が詰襟を来て三々七拍子をやり、男子がテニススカートを穿いてボンボンを持ってチアガールをやる事になっているのだ。


『バ、バカ、ばらすんじゃねぇ!』


高木が顔を赤くした。


『別に男子と女子の入れ替えだけじゃなくて小学生に制服体験をして貰うとか、普段着る事の無い洋服を用意して写真を撮って記念に持ち帰ってもらうとか如何でしょうか?』


翌年中学校に入学する小学6年も文化祭に多数来るので一足先に制服を来て貰おうという考えだ。


『面白そうだけど普段着れない服って用意出来るの?』


先生が尋ねる。


『ロリータ服たくさん持っている子が居るんです。他に、運動部のユニフォームとか借りるのも良いかもしれません。』


『私、野球部のユニフォーム着てみたい。』


女子が言った。


『汗臭いかもよ?』


かなり盛り上がってきた。


『先生も持って来ようかな……。』


『先生どんな服持っているんですか?』


『メイドやナース服は定番でいくつもあるし巫女さんとか和物もあるわよ。あと……。』


言いかけてた途中でクラス中の冷たい視線に気付いて止めた。


どうも木田先生は学生時代かなり弾けまくった人の様だ。


『では、多数決を取ります。』


副委員のありさが黒板にそれぞれの案に手を挙げた人の数を正の字で書いていく。


結果はメイド喫茶と僅差で知香の案が通った。


みんなの意見ではメイド喫茶やお化け屋敷に比べて格段に準備が楽だからみたいだ。


『教室の後ろに男女別の更衣室を仕切って、前の方に撮影スペースと脇にプリンタを置いて終わりだからね。後作るのは装飾と看板だけだからすぐ設営出来ちゃうよ。』


人数もそんなに大勢常駐する必要が無いのでみんなは喜んだ。


面白くないのは高木だ。


ホームルームが終わり木田先生が職員室に戻ると知香に詰め寄った。


『おい変態!好き勝手に出し物決めやがって何様だてめぇ?』


『何様って……変態かな?』


知香は引き下がらず敢えて高木に歯向かった。


『キモいくせにくそ生意気なんだよ!』


『ちょっと止めなよ、高木!』


ありさたちが止めに入る。


『まぁそうかもね。でも私は私だから、ごめんね。』


『その言い方が生意気って言うんだよ!』


高木の平手が知香の頬を叩いた。


『ともち!』


『高木、アンタ女の子に手を上げるなんてサイテー!』


女子たちが知香を庇う。


『コイツが女子?笑わせるな!俺は認めねぇって言った筈だ!』


知香は腫れた頬を押さえていたが黙っているつもりは無い。


『こんな事で気が済むんなら何度でも引っ叩けば良いよ。でも学級委員のくせにクラスの和を乱すのは許せないからね。』


『そうだよ。高木は自分で立候補して学級委員になったんだから自分の思い通りにならなくても責任持たないとダメだよ。』


ありさも副委員の立場もあるのかやんわりと説得する様に言った。


高木は黙って教室の外に飛び出した。


『大丈夫?ともち。』


『うん、平手で良かったよ。ゲンコだったら後残るかもしれないし。』


それでも口の中を切っていた。


『ともち、保健室行こう。』


保健委員でもある雪菜が知香の手を取って教室を出た。

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