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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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二人だけのお泊り会②

居間に入ると水着姿の萌絵が驚いて立ち上がった。


『……な、なんで……?』


『あら、そういう事でしたの?相変わらず仲のヨロシイ事。』


ほほほと麗が笑う。


『モエサンモカワイイデス。』


リカルドは誰にでも褒める。


(イタリア人男性ってみんなそうなのかな?)


『お楽しみのところ申し訳ございません。折角ですのでお邪魔させて戴くわ。』


『ごめんね、萌絵が勉強道具持って来なかった罰だよ。』


知香が萌絵に耳打ちをして謝った。


そもそも萌絵がちゃんと道具を持って来ていれば今頃は普通の恰好で勉強していた筈だ。


『いま、お茶を淹れますね。麗さんのお家みたいに美味しい紅茶じゃなく普通のティーバッグですけど。』


『お構いなくってよ。今日は原宿のロールケーキを戴きましたので切って下さるかしら?』


お構いなくと言いながら人使いの荒いお嬢さまだ。


『原宿のロールケーキですか?』


突然萌絵が叫んだ。


『あら?そんなに美味しいのでしょうか?』


原宿には一度行ってみたいと思っている萌絵はこういうお店もチェックしている様だ。


『どうぞ。』


知香は戸棚から出来るだけ高そうな皿を出して切ったケーキを並べて出した。


『甘くて美味しい!』


知香は舌鼓を打った。


『今日はどうされたんですか?』


麗がわざわざ自宅に来るには理由がある筈だ。


『リカルドさんが正式にお父さまの秘書として採用されましたの。』


と言う事は麗のフィアンセとしても認められたのか?


『そちらはまだですけれど第一候補ですから可能性は高いですわ。』


麗がそうなって欲しいと言っている気がした。


『イマオボンヤスミナノデナガノニモドレマセンデシタ。ライシュウカラオシゴトガンバリマス。』


リカルドは知香の実家に荷物を預けているがそれをすべて引き上げて麗の家に住み込む事になる。


『ワタクシはお受験ですのでお話する事はほとんど無いですわよ。』


本当は寂しいと言っている様だ。


『……二人とも、頑張って下さい……。』


珍しく萌絵が他人にエールを送った。


『ありがとうございます、萌絵さんも頑張って下さいね。』


麗に何を頑張れと言われているのか分からず返答に困った萌絵だった。



その夜は知香がハンバーグを作って萌絵と共に食べた。


『美味しい…。知香お料理上手だよね。』


『おかあさんに教えて貰っているからね。裁縫とかはダメだけど。』


『そっちの方は私出来るから。』


萌絵も今日の服の出来栄えを見るとだいぶ上達しているのが分かる。


『ごちそうさま。お風呂沸いているから萌絵ちゃん先に入って。』


『一緒に入ろうよ。』


『ダメだよ。私まだ萌絵ちゃんと違う身体だから。』


知香の身体はまだ男だから萌絵に見せる訳にはいかない。


『知香だったら大丈夫……。』


男性恐怖症でもある萌絵が知香の裸を見て一気に熱が冷めてしまったとしたら……


それだけは避けるべきだと知香は思う。


先週みんなで長野に行った時だって知香は一人で入浴したのだ。


『だって、おち〇んちん付いているんだよ。』


この言葉は言いたくなかった。


小学校の時に黒川に苛められた時の事を思い出してしまう。


『知香は知香だよ。私が好きなのは男の子でも女の子でもなく、ここに居る知香なんだよ!』


萌絵が声を振り絞って言った。


『……分かった、一緒に入ろう。』


萌絵にそこまで言われては仕方ないと知香は諦めた。


着ているワンピースと下着を脱いだ。


上半身は若干丸みを帯びて胸も少し膨らみがあるので男子の身体には全く見えない。


しかし、下半身は小さいながらも男子のそれと分かるものが付いている。


萌絵に見えない様にタオルで隠すが一瞬の隙に萌絵はそのタオルを奪う。


『なっ!』


『大丈夫、二人は一緒だよ。』


萌絵も何も隠していない。


『あ。』


柔らかそうな胸の膨らみは小柄な身体に反比例して大きかった。


(あの違和感はこれだったのか。)


ワンピースを着た時に感じた萌絵との違いに気付いた。


萌絵は背こそ低いが女性としての発育は早かったのだった。


男としても女としても中途半端な身体の知香は萌絵に劣等感を持った。


『良いんだよ、今は。』


萌絵に慰められながら二人一緒に湯船に浸かり、胸を触ってみる。


『柔らかい……。』


知香は萌絵を後ろ向きにして背中から抱きしめた。


男性としての機能は無い知香だが本能の様なものは残っているみたいだ。


『今だけ、男に戻りたい……。』


無意識にそう呟いた。



夏の暑い夜なのに長湯して少しのぼせた様だ。


『アイス食べよ!』


下着姿で台所の冷凍庫にアイスを取りに行く知香。


『普段はこんな事したら怒られるけどね、今日は特別。』


『冷たくて美味しい。』


知香が持ってきたのは知香の住んでいる市内に本社があるあの有名なアイスキャンディーだ。


『夏は絶対これだよね~。』


『私、スイカ味が好き!』


汗も引いて、萌絵が持ってきたパジャマを着る。


『え?これ着るの?』


パジャマというよりネグリジェでありシースルーとまではいかないけれど生地が薄手でフリルがひらひらしている。


『可愛い。』


予定外だったが寝る前に一緒に写真を撮った。


二人で寝るには少し狭いけれど一緒にベッドに潜る。


(良い匂い…。)


お休みのキスをして電気を消したが、その晩知香は興奮してほとんど寝られなかった。





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