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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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おじいちゃんと従兄弟

萌絵との宿題は順調に進み、7月中に出来る課題は終わらせた。


これからは多少余裕をもって夏休みを楽しめる。


みんなで長野に行く前日、祖父の俊之と従兄弟の一郎がやって来た。


翌日の朝にみんなを乗せる為に今日は知香の家に泊まるのだ。


『とも、元気か?』


『うん。』


俊之は可愛い女の子になった孫に目を細めた。


『よう。』


一郎が知香の家に来るのは初めてだ。


相変わらず一郎は知香に似た可愛い顔付きであるが多少男っぽくなった気がする。


午後になってのぞみといずみの姉妹が遊びに来た。


『いずみちゃん、久しぶり!』


『チカねぇ、会いたかったよ。』


いずみは少し背が伸びた様だ。


『ちゃんと宿題やってる?』


『うん、本二冊読んだ。感想文も書いてるよ。』


この姉妹は本が好きだ。


『あれ?チカ……にぃ??』


一郎を見て知香と混同しているいずみ。


『チカが言ってた一郎くんね。ホントチカに似てるわぁ。』


のぞみも驚いている。


(そうだ!)


知香はスマホを出して、萌絵に連絡した。


いずみは直ぐに一郎に懐き、一緒に遊んでいた。


『チカ、何してんの?』


一人でスマホをいじっていた知香にのぞみが聞いてきたので耳打ちで答える。


『えー?楽しそう!』


のぞみは知香の悪巧みに乗った。



翌日は8時に麗の自宅に集合する事になっていた。


少し前に知香の自宅に近いのぞみ姉妹とはずみが知香の自宅に集まり、知香、一郎と共に俊之の車に乗り込んだ。


『一郎くんも中一なんだ〜。』


はずみも知香に似てる従兄弟に親近感が湧いた様だ。


『とも、ホントにここなのか?』


大きなお屋敷に驚く祖父・俊之に間違い無いと指示を出す知香。


お屋敷の前には麗と運転手の上西さん、お手伝いの中野さん、それに雪菜たちが待っていた。


『おはようございます。あら、あなたが一郎さんですわね。どうぞ宜しくお願い致します。』


麗が一郎に向かって挨拶をした。


『それにしても良く似ていらっしゃる事。中野さん、お願い出来ますか?』


『畏まりました、では知香さん、一郎さん、こちらへどうぞ。』


何も知らされていない一郎は不思議そうに知香の後を追って屋敷の中に入った。


『どうしたんだ?』


俊之も不思議がるが、雪菜たちはみな知っていてニヤニヤしている。


『そんな事出来るかよ!』


『ごめんね、いっちゃん。車2台になっちゃったから私の代わりになってよ。それに女の子ばっかりで男の子一人じゃ恥ずかしいでしょ?』


麗の車に乗る知香の代わりに一郎が女装して雪菜たちの相手になって欲しいと言うのだ。


『こっちの方が恥ずかしいだろ?』


『大丈夫だよ、いっちゃんなら。』


そもそも知香は[知之]の頃に女装して恥ずかしいと思った事が無いのだ。


半ば無理やり着ている服を脱がされ、萌絵が持って来た下着とロリータ服を着させられた。


夏らしい水色のワンピースである。


『キツくない?』


若干背が高い一郎だったが、サイズは問題無い様だ。


中野さんが軽くメイクを施し、ウィッグをかぶればもう一人の知香が再び現れた。


『あ、チカねぇが二人居る!』


知香と一郎が一緒に出て来て直ぐにいずみが声を上げた。


『やっぱり恥ずかしいよ……。』


玄関で待っていたみんなは大笑いだ。


『ごめんなさい、私麗さんの車に乗るから代わりとして宜しくお願いします。』


『改めておはようございます、ともゆ……知香の従兄弟の一郎です。』


『一郎じゃおかしいでしょ、知香の親戚だから一香にしよう。』


ありさが名前を付けてくれた。


『じゃあ[いちか]ちゃん、宜しくね!』


『なんだ、お前助手席に乗るのか?じいちゃんどきどきして運転出来ないぞ。』


俊之も二度目なので扱いは慣れている。


『じゃあ私前に乗ります。いっちゃんは真ん中ね。』


雪菜が助手席に座り、一郎は二列目ではずみの隣に座る事になった。


一方、麗の車には助手席にのぞみが座り、二列目の麗の隣は中野さん、後ろの席にはいずみを挟んで知香と萌絵が座る。


『この車にこんなにたくさん人が乗るのは初めてですわ。』


いつに無く麗がはしゃいでいる様に感じた。


萌絵といずみは撮影会の時に会ってるとはいえ萌絵から話す事は無く、知香が気を回さなければならない。


『いずみちゃん、前に写真撮った時、お姉ちゃんたちの洋服ってみんな萌絵お姉ちゃんのなんだよ。』


『うん、みんな可愛いかった!』


話題を振ってもなかなか萌絵は喋らない。


二人だけになるとあれだけ饒舌になるくせに。


『萌絵お姉ちゃん今学校でお洋服作っているんだよ。』


『えー、すごーい!私も作って欲しいな!』


『こら、いずみ!』


助手席からのぞみが怒るが席が離れているので効果が無い。


『……今度……いずみちゃんのも作るよ……。』


最初はいずみに嫉妬していた萌絵だったがその純真さに負けたみたいだ。


『良かったですわね。ワタクシのお洋服も作って戴けるかしら?』


麗も調子に乗ってさすがに萌絵も困っている。


その頃雪菜たちの車では女装した一郎がずっと弄られまくりだった。


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