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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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夏のセーラー服

小田は知香の家に向かう道すがら、知香の女の子になりたいと思ってから今に至るまでを聞きながら歩いた。


『母は帰り少し遅いですけど大丈夫ですか?』


『迷惑かもしれないけど早めにやる事やらなきゃいけないからね。それにしても知香さん、大した演技力だわ。』


小田は先生の前で初めて会った振りをした知香に感心した。


『お話を聞けば聞くほど変わった子ね。ますます興味出て来た。』


知香は萌絵との関係以外出来る限り小田に話した。


『その車イスのお嬢さまにも会ってみたいわね。良いキャラだと思うし、絵になるからね。』



母の指導で知香はだいぶ家事を覚えてきた。


帰宅してすぐ干してある洗濯ものを物干しから取り込み、それを畳んだ。


それから、米を研いで炊飯器のタイマーを入れ、冷蔵庫に貼り付けてある母のメモを確認した。


今日は母が帰りに夕食の買い物をして来るらしい。


由美子はなるべく出来る事は知香にやらせていたので、カレーなど簡単な料理は知香が作っている。


『女子力高いね。』


知香は苦笑いした。


その後、自分の部屋に戻り小田の為にお茶を淹れ、断りを入れて宿題に取り掛かる。


『お構い出来なくてすみません。』


『私の方から押しかけているんだから気にしないで。それにしても真面目よね。』


『試験近いですし、学級委員やっていると宿題忘れとか目立つから大変なんです。』


知香は話しながらシャーペンを走らせる。


『ただいま〜。』


由美子が帰ってきた。


『あら、どなたか来ているの?』


見知らぬ靴が玄関にあり由美子が部屋の知香に聞いてみる。


『おじゃましています。ああ!』


小田が挨拶途中で声を上げる。


『知香さんのお姉さん……!』


テレビで姉妹と言い放った由美子に皮肉った小田。


『申し訳ございません、お母さま。私、小田と申します。』


『昨日知香から話を聞きました。母の由美子です。』


小田は由美子が動画の様子からもっと突き抜けた雰囲気かと思っていたが、意外に普通で優しそうな感じに驚いた。


『今日は知香さんの学校でお話をして来ました。改めて知香さんを題材に作品を制作したいのですが。』 


『知香が大丈夫なら……。』


あくまでも知香の意思次第と由美子は言う。


『私は大丈夫、小田さん良い人だし。』


由美子は知香の目を見た。


(やらせてあげよう。)


『分かりました、宜しくお願い致します。』


由美子が快諾した。


『こちらこそ、ご迷惑をお掛けしますが宜しくお願いします。』


由美子は差し出された承諾書にサインをした。


『そう言えば、こちらはご覧になりました?』


小田がDVDのディスクを見せて聞いた。


『それって、もしかしてテレビの……?』


小田が頷く。


『こちらはテレビ局の方にお願いして資料という事で焼いたものです。違法ダウンロードでは無いしこの場で見るだけなら大丈夫でしょう。』


ディスクを再生して三人で観賞する。


『こうして見るとともちゃんやっぱり可愛いわ〜。』


『おかあさんも綺麗ですね。』


お世辞かどうか小田が由美子を褒めるが、由美子は満更でもなさそうだ。


『そうですか〜、恥ずかしい!』


『おかあさん!まったくもう。』


由美子の方が舞い上がって、知香は冷静であった。



翌朝、知香は登校の時にみんなに話した。


『ワタクシもテレビに出られるのですか?』


麗が最初に喰い付いた。


『先輩には是非参加して欲しいみたいですよ。』


『それは光栄ですわ。』


『おかあさん、なんて言うかな?』


雪菜が心配するが、雪菜の母なら大丈夫だろう。


『……私……だめ……かな。』


萌絵が悩み抜いて答える。


『無理しなくて良いから。大丈夫だよ。』


萌絵は出てもインタビューとかは無理かもしれない。


とりあえず全員に声を掛け、本人と親の承諾がある人だけ出演出来る旨を話して概要の書いてある用紙を持ち帰ってもらった。



六月になり、制服も衣替えとなった。


みな薄い生地のセーラー服になり、背の高い美久などはブラジャーが透けて見える。


(ブラジャー、してみたいな。)


知香の場合、ほんの少し胸が膨らんだとはいっても本格的にホルモン治療は高校に上がってからと言われているのでそれ以上の上乗せは期待出来ない。


個人差はあるだろうが今は殆ど変わらない奈々たちもこれからどんどん大きくなっていずれブラジャーをする様になるだろう。


やはり他の女の子と同じ様にというのは無理なのだろうか?


放課後保健室で浅井先生に相談する事にした。


『そうねぇ、一年生はまだ大丈夫だと思うけれど二年生くらいになると殆どの子がブラしているわね。』


来年までに考えれば良いという事か?


『乳がんで乳房を失った女性の為に[人工乳房]というのがあるんだけど。』


シリコンで型取った乳房を胸に入れるそうだ。


『値段はまちまち。医療用のは20万円くらいのものもあるけれど女装する人のおもちゃみたいなものは2千円で手に入るみたい。白杉さんは少しだけど膨らんでは来ている訳だからそこまで高いのは必要ないでしょうけど。』


シリコンと言えば、胸の中にパックにしたものを埋める手術があるとは調べていたが、外付けという方法もあるのか?



『白杉さんは最初からホルモン治療で豊胸する訳だから、ちゃんと発育するまで豊胸手術はしないほうがいいと思うよ。あと、普通の女の子でもパッドで盛る子も居るし。』


(やはり、みんな胸は大きく見せたいんだな。)


一つ勉強した知香だった。

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