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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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生徒会にようこそ

小学校と中学校の違いはいろいろあるが、その中の一つに中学校には生徒会活動というものがある。


大人になっていく過程で自主性を重んじ、出来る事は生徒たちで決めてやっていこうという意味がある。


学級委員となった知香は高木、それと副委員のありさと共に生徒会の主催する学級委員会に出席した。


『ありちゃん、なんか場違いなところに来ちゃったみたい。』


ありさに嘆き節を投げかける知香。


『私だってこんなところ、初めてだよ~。』


この時期、右も左も分からない新一年生にとっては上級生は雲の上の様な存在である。


『なんだ?お前ら、役に立たないなら帰れ!』


高木のこの高飛車な態度が許せない。


『ごめんね、高木くん。こういうの初めてだから緊張しちゃって…許してね。』


わざとらしく科を作って謝ってみる。


『……ったく、うぜぇんだよ!』


高木は腕を組んで席に着く。


『めんどくさいから相手にしないほうが良いよ。』


ありさは言ったが、一年間同じ学級委員として活動する以上無視する訳にはいかない。


テーブルを四角に囲んでホワイトボードを背にした席に生徒会の面々が座る。


真ん中に居るのが生徒会長だろうか?


『一年生の皆さん、初めまして。生徒会長の矢沢しのぶです。』


生徒会長は如何にも勉強が出来そうな女子だ。


続いて副会長の田村和夫、書記の樋田ひな子が紹介された。


じゃあ一年A組から一人づつ簡単に挨拶してください。


『1-Aの高木健介です。』


高木に続いて知香とありさがが挨拶する。


『白杉知香です。』


『水尾ありさです。』


『白杉知香さんの事は私たちも聞いています。今回、学級委員としてご一緒出来る事は嬉しいですし、選んだクラスの皆さんも素晴らしいと思っています。』


初めてのLGBT生徒として上級生にも知られている知香だけ名指しされた。


ここでも知香の事を受け入れてくれるのは助かった。


少なくても高木に対しては大きなアドバンテージとなる。


二・三年の委員全員も挨拶が終わると、田村が立ち上がった。


『生徒会が携わる年間行事をお伝えします。』


プリントを配り、内容を読み始める。


『9月14日・体育祭、10月21日・生徒会選挙、10月26日27日・文化祭……』


一学期は修学旅行もあり、一年生も慣れていないので行事は少ない。


その分二学期になると立て続けに行事がある。


その合間に中間試験などがあるので中学生は大変だ。


(体育祭か……私は参加出来ない種目が多い様だしイヤだな。)


その後、秋以降は近所の川の落ち葉拾い、スキー教室、マラソン大会などがある。


運動は全般的に苦手な知香ではあるが、父の田舎が長野だという事もあってスキーはそこそこ出来る。


問題は泊りがけの行事になった時の対応だが、まだ先の事なので良いだろう。


今の執行部は選挙の後文化祭までの任期で、その後は新執行部が引き継ぐ。


(いろいろ大変だね。)


まだ部活がユルいので助かるが、知香も他人事では無く忙しくなりそうだ。


『ろくに参加も出来ない役立たずのくせに体育祭の準備かよ。ホント迷惑なんだよ。』


教室に戻る時、高木がまた噛みついてきた。


『やめなよ、高木!』


ありさは高木と同じクラスだった事もあるらしい。


『ありちゃんいいよ、ホントの事だから。でも高木くん、私はやれる事は頑張るよ。』


『足手まといになるんじゃねぇぞ。』


高木は二人を置いて、足早に教室に向かう。


実際、やれる事って言ってもどこまで出来るかは分からない。


『ごめんね、気を遣わせて。』


『そんな、ともかが謝る事じゃないよ。高木も前はあんな偏屈じゃなかったのに。』


(そうだ、ありさなら知っているかもしれない。)


『そういえば高木くんてさ、私立落ちたって言う話聞いたんだけど。』


ありさに高木の事を聞いてみた。


『なんかね、わざと落ちたって言う噂なんだよね。』


(わざと?)ありさの言う噂の真偽はどうなんだろうか気になる。


『親に反発してるみたい。』


『俺は自分のレールは自分で引くんだよ!……とか?』


ありさの説明に高木の真似をして答える知香。


『まぁ、いろんなおうちあるからね。』


知香の場合、父は真面目で少し受け入れるのに時間が掛ったけれど母が寛容だったので問題は無い。


もし、高木の様な家に生まれてきたらどうしていただろう?と考えた。










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