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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学一年生編
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お悩み相談室

午後からはクラブ活動の紹介である。


課外部活動なので強制では無いけれど、ほぼ必修でほとんどの生徒が部に属している。


知香の場合、体育系の部活は出来ないので入るとしたら必然的に文化系になる。


(絵も音楽もあまり得意じゃないし、服飾部は女の子らしくて良いけどそもそも裁縫もした事ないから、調理部か写真部だなぁ。先日カメラを買ってもらったばかりだから写真部が良いかなって思うけど初心者でも良いのかな?)


体育館で各部長の説明を聞きながら、いろいろ考えてみて第一希望を写真部、第二希望を調理部と書いた。


(写真部だったら美久も入るか聞いてみよう。)


来週から体験入部があるらしいのでとりあえず参加するつもりだ。



放課後は木田先生に呼ばれて応接室で待たされた。


『白杉さんごめんね、もうすぐ先生たち来るから。』


木田先生と二人で待っている間、少し聞いてみた。


『先生、さっき話していた新宿の街の友だちって……』


『あ、ごめんね。お酒飲むところだから中学生に言うのはダメでした、反省してます。』


先生は明るく謝る。


『違うところで会えれば良いんだけど基本的にああいう友だちに会うのはその場所だけなの。』


中学生にとっては未知のゾーンである。


他の先生たちが入ってきた。


学年主任の黒木先生、保体の田口先生、保健室の浅井先生だ。


『白杉、学級委員になったって木田先生に聞いたけれど立候補したのか?』


黒木先生が聞いてきた。


田口先生も浅井先生も驚いていた。


『いえ、水尾さんが推薦してくれて、一人反対する人がいたんですけど多数決でなったんです。』


『反対した子がもう一人の学級委員の高木くんだからちょっと先行き不安なんですけど。』


困り顔で知香を補足する木田先生。


『高木か、確か私立受けて落ちたとか言うヤツだな。』


生徒たちの情報は一通り入っていて学年主任は学年全員のチェックをしている。


(なんかそれでひねくれてんのかな?)


知香は高木の弱点を聞いてにんまりした。


『じゃあ白杉さん、これからのお話をしますね。』


田口先生が本題を切り出した。


『前に校長先生から暫くは多目的トイレを使う様に言われたでしょ?』


『はい、今日使いました。』


汚したつもりは無いけれどクレームかな?と思った。


『上級生に障害がある子が居るって事も聞いたとは思うけれど、その子がちょっと我が儘で面倒な生徒なので出来るだけ注意して使う時間が一緒にならない様にして欲しいの。』


『はぁ。』


『一年生の頃はね、バスケ部でレギュラーだったんだけど、ケガで下半身が動かせなくなってから性格も変わってしまったみたいで…。いずれは強い高校から推薦があるとまで言われていたから本人の気持ちを考えると分かるんだけど。』


そりゃそうだろう。


でも高木といいその上級生といい挫折した人間ばかりなのかな?


『なるべく早く普通のトイレを使える様にするからちょっと辛抱してね。』


このあたりはデリケートな問題なので学校も慎重にならざるを得ない。


『次にだけど、中学生になると男の子も女の子も大人になる過程でいろいろ悩みが出てくるのは分かる?』


今度は浅井先生が話し始めた。


『まぁ、なんとなく。』


『白杉さんも悩んで女の子になろうとしているんでしょ?それって貴重な経験だと思うの。今度保健室に[性の悩み相談室]を作ってそういう話を聞いてみる場所にするんだけど。』


萌絵もそういう一人だと思う。


『でね、白杉さんには時々一緒にそのお話を聞いてもらいたいの。』


生徒の話を生徒が聞くの?


『全然無関係の悩みには呼ばないけど、白杉さんみたいな生徒がこれから多くなると思うの。それなのでちょっとだけ協力して欲しいんです。』


(学級委員に部活にお悩み相談か…中学に入って急に忙しくなってきたみたい。)


『私に出来る事なら手伝います。』


そんな安請け合いをして大丈夫だろうか?


『保健室は青小の時もそこで勉強していたから行くのは構いません。』


『青小は山本先生でしょう?一昨年新人研修の時に山本先生に教えてもらったから懐かしいの。』


山本先生ってそんな偉い人だったんだ?



30分程度話を進めて知香は解放された。


玄関で自分のげた箱を開け上履きを靴に履き替えようとしていると突然後ろから声を掛けられた。


『……ともか……ちゃん。』


一瞬びくっとしたが、声の主が萌絵だと分かり、振り向いた。


『どうしたの、こんな時間まで?先生に怒られるよ。』


『……だって知香と今日全然お話し出来なくて……。』


知香が先生たちと話している間ずっと待っていた様だ。


『バカね、スマホでお話し出来るのに。』


『ちゃんと会ってお話ししたいの!』


萌絵のこういうところが可愛くて好きだった。


『分かった、ごめんね。今度お昼休みはちゃんと会ってお話しよっ。』


二人は学校からの帰り道、お互いの今日の話をした。


学級委員になった事、一人イやなヤツが居た事、部活の事など一つ一つの話をするたびに萌絵は驚いたり怒ったり笑ったりした。


短いけれど萌絵と共有出来るこの時間が知香にとっては楽しかった。

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