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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
小学六年生編
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卒業パーティー③

あらかた食事が終わり、テーブルにデザートのアイスクリームが配られている。


知香と萌絵は食事をする間も無く頑張っていた。


『おかあさんがお弁当にしておいたから。アイスも冷凍庫に入れてあるから終わったら食べなって。』


雪菜のクラスのパーティーで司会をした男子生徒もお弁当にしてもらい帰ったそうだ。


知香は萌絵を見ながら


『良かったね、後で一緒に食べよ。もう少しだから頑張ろうね。』


と励ましながら笑う。


『うん。』


萌絵もだいぶ熟れてきた様だ。


『さ、次は萌絵ちゃんの出番だよ。』


とさっきの様に萌絵にプリントを渡した。


台本というか、カンペである。


『これをそのまま読んでいけば良いからね。』


知香が萌絵にマイクを渡す。


『……いよいよお待ちかねのプレゼント交換会を始めます。』


棒読みだった。


『……まずこの箱の中から私がカードを出します。そのカードに書いてある名前の人に私からプレゼントをお渡しします。プレゼントを貰った人はカードを引いて次の人に渡してください。』


萌絵は一生懸命に読んだ。


『最後に残った人のプレゼントは私が戴きます。……先に白杉さんのカードも入れますね。』


さっきの質問の時は司会の知香と萌絵の分は入れていなかったので新たに知香の分だけカードを入れてシャッフルをする。


本当はシャッフルなどしないで知香にプレゼントを渡したかったが如何にもわざとらしいので諦めた。


『……では、………大森のぞみさん!』


知香には渡せなかったが、友だちののぞみに渡せたのでホッとした。


何人かがプレゼントを渡し終わり、知香も呼ばれた。


知香は山田という男子からプレゼントを貰い、次にカードを引いた。


『小川正人くん!』


同じ班の小川だった。


知香はプレゼントを用意する暇が無かったので、F市の有名なゆるキャラ・Fかちゃんのストラップを買ってプレゼントとした。


相手が男子か女子か分からないので無難なところだが小さい包装なのでもう少し大きい方が良かったかなと思った。


『ありがとう。』


小川は嬉しそうに受け取った。


最後に萌絵が終わり、プレゼント交換が終わった。


『デザートも食べ終わった様なので、最後の挨拶をカードを引いて決めたいと思います。』


会場からは『またかよ』という声もあったが最初がくじ引きだったのだから最後もくじ引きでと言い張って知香はブレなかった。


再び知香のカード以外のカードを箱に入れ、萌絵に引かせる。


『原田美久さん、お願いします!』


会計をしてくれているとは言え、何時に無く今ひとつ元気の無かった美久が挨拶をする事になった。


『美久、お願いね。』


知香が美久にマイクを渡す。


『みなさん、今日はたくさん集まってくれてありがとうございました。』


締めに相応しくはっきり堂々と話し始めた。


『青葉台小学校で六年間みんなと一緒に勉強したり遊ぶ事が出来て本当に良かったと思います。中学に行っても宜しくお願いします。』


一気に言い切った。


『最後に……』


一旦息を飲んだ。


『今日、司会をしてくれた白杉さん、八木さん、お疲れ様でした。』


(振らなくていいよぅ〜)と知香は思いながら美久の話を聞いていた。


『二人の司会って聞いて、みんな心配したよね?』


会場全体が同意する。


『でも二人して可愛い格好して盛り上げるのも上手だからびっくりしちゃった。』


目を合わせて照れる知香と萌絵。


『私は最初白杉さん…知香が女の子になってびっくりしました。でももっとびっくりしたのはそれから凄く強くなった事です。今日もみんなの為にいっぱい頑張ってくれて、本当に知香と出会えて良かったです。』


美久が涙ぐんで訴える。


『三中に行っても頑張ろうね!』


『美久…』


大きな拍手の中でパーティーは終了した。



『萌絵ちゃん、今日はありがとう。』


ロリータ服を脱ぎ、私服に着替えながら知香は萌絵に言った。


『……私、何も出来なかったし……知香のおかげだよ。』


お店の制服を着ていた雪菜と優里花、ありさも私服に着替えるために更衣室に居て恥ずかしかったがが、雪菜が構わないからと言って一緒に着替える事になった。


『萌絵ちゃんもその服可愛かったし、司会良かったよ。』


初対面の優里花に言われ、顔を赤らめる萌絵。


『私もこういうの着てみたいなぁ。』


ありさが言った。


『……いっぱいあるから着て良いよ。』


『いっぱいって……どれだけ?』


驚くありさと優里花。


『じゃあ、このメンバーで撮影会でもしようよ。』


嫌いではないけれど萌絵を誘うために恥ずかしい思いをしてドレスを着た知香だったのでみんなに着て貰って少しでもその思いを解消したかった。


『どこでやんの?』


『今T神社の桜が綺麗だし、土日にさくら祭りがあるからどうかな?』


『えー?外は無理だよ。しかも祭りの日なんて人いっぱい居るし。』


T神社そばにある川の土手に咲く桜が市内随一の名所で毎年この時期にさくら祭りが行われている。


『祭りの日じゃなきゃ良いんじゃない?スゴく綺麗だよ。』


『私はダメだよ、そういうの。写真撮る方ならやっても良いけど。』


雪菜自身は可愛い格好は苦手だ。


『そんな事言って。今日だってお店の制服似合ってたよ。……あ、今日の打ち上げと言う事ではずみんとのぞみんも呼んでみようか?』


『良いね。二人にもお世話になったし。入学前にお話したいな。』


ありさが同意した。


『じゃ、決定!はずみんたちには私が連絡しておくから。萌絵ちゃん、悪いけど人数分服用意出来る?』


『うん、大丈夫。』


『私は着ないからね!』


雪菜は最後まで抵抗した。

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