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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
高校一年生編
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初顔合わせ

シナノテレビに到着した知香たちは打ち合わせ室に案内された。


『お待ちしていました、坂井さん、白杉さん、松嶋さん。』


打ち合わせ室に入ると、ディレクターの萩原和巳が待ち受けていた。


『久し振りです。二人とも高校合格おめでとう。』


『田中さん!ありがとうございます。』


知香に声を掛けてくれたのは二度インタビューをした田中早苗である。


『私はプロデューサーの高田次晴と申します。どうぞ、あちらでお待ち下さい。』


高田はすでに知香たちと同じくらいの女子学生と父兄が座っている席で待つ様に指示をした。


『こんにちは。』


たぶん女子学生は、知香たちと同じく新しい番組に採用されたのだろう。


知香たちの直ぐ後に別の女子学生と父兄が入室し、女子学生は知香とはずみを含めると6人となった。


『みなさん、今日はお忙しいところありがとうございます。』


高田の一言で全員が注目する。


『4月2日から毎週土曜日、11時から15時の新番組[信州ほっとワイド]のスタッフ、出演者を紹介します。先ずは私、番組プロデューサーの高田次晴です。そしてディレクターの萩原和巳。』


萩原が立ち上ってお辞儀をする。


『次にMCの白杉知香さん、松嶋はずみさん。』


『白杉です。宜しくお願いします。』


『松嶋です。宜しくお願いします。』


二人も立ち上がって挨拶をした。


『二人をスタジオでサポートするアシスタントの田中早苗さん。』


『田中早苗です。今までは街角レポーターをずっとやって来てスタジオは初めてなので宜しくお願いします。』


田中は所謂局アナではなくフリーで契約している。


『次に地域リポーターのみなさんを紹介します。毎週それぞれの地域から情報を届ける大切な役目を担っています。』


長野県は全国第4位の広さで、大きく4つの地域に分けられる。


その4つの地域に一人づつリポーターを配置して毎週現地からスタジオに情報を届けるという事だ。


『北信担当、木島ゆかりさん。』


北信は長野市を始め、県北部に位置している。


『中野市に住んでいます木島です。宜しくお願いします、』


『東信担当、松原乙女さん。』


『佐久市から来ました、松原乙女です。』


乙女という名前にみんなが反応した。


『中信担当、中川雅世さん。』


『どうも、松本市の中川です。』


『南信の北原澄香さん。』


『飯田から来ました北原です。宜しくお願いします。』


『それから、フリーで毎週各地区を廻る坂井一郎さん。』


一郎は毎週各地区を回って現地のリポーターと共に中継する役目らしい。


『坂井一郎です。宜しくお願いします。』


愕然としたのははずみだった。


せっかく毎週一郎に会えると思ったのにすれ違いになってしまう。


『みなさんはこの春から高校一年生になる同級生です。学業優先なので学校行事や試験の時は代わりのリポーターを立てますが、一度に試験が重なったりすると番組が成り立たなくなるのでその際は録画等で対応します。日程が分かりましたら早めに連絡して下さい。』


この後番組進行などの説明があり、終了後にメンバーの親睦を兼ねて食事会をする事になった。


『知香さんとはずみさんは友だちなんですってね。』


番組でも苗字は使わず名前だけで呼び合うと言われている。


『中学校の時はお互いクラスが別々だったけど、小学校六年生では同じ班でね。知香って一時期不登校になっちゃったの。』




はずみはみんなに合わせて[チカ]ではなく[知香]と言った。


『その頃の知香って可愛い男の子だったけど誰とも喋らなくてね、苛められてばっかりだったけど、家にプリント届けに行ったら女の子の格好で出てきてもうびっくりしちゃって。』


ずいぶん昔の話に思えた。


『そんな事もあったかな?』


強烈な印象として覚えているはずみと違い、知香にとっては黒歴史の時代だったのでとぼけている。


『乙女って素敵な名前よね。どうしてそういう名前になったの?』


知香は強引に松原乙女の名前に話題を振った。


『近くに乙女湖っていう湖……というより池があってね。パパとママが初めてデートした場所なんだって。それで女の子が出来たら乙女って名前にしようって決めたんだったて。しかも同級生に同じ理由で乙女って名前の子が二人もいるんだから。』


生まれた時は良いと思っても、その名前で一生生きていく本人は大変である。


『雅世さんは松本に住んでいるの?』


『ええ、最初リポーターって楽しそうって思ったけど、なんで長野まで来ないといけないの?』


長野市と並ぶ都市である松本市は長野をライバル視しているらしい。


『まだ松本なんか近くて良いじゃない?飯田なんて泊まり掛けよ。』


澄香が住む飯田は交通の便も悪く、早朝に一本だけある快速に乗っても4時間以上掛かる。


『まあまあ、私だって中野だし一郎くんも高山村でしょ?長野市に住んでいる子はいないんだからケンカしないで仲良くしましょ。』


ゆかりが話をまとめたが、お互い下の名前で呼び合うと決めたにしても他人が一郎と呼んでいるのをはずみは面白くなさそうに聞いていた。


『私、父の実家が高山村だけど今まで年に2回くらいしか長野に来なかったのであまり分からないから番組を通じていろいろ教えて下さい。』


知香はそう言ったものの、その一瞬澄香がにやりとしたのを見て嫌な予感がした。


(はずみんは知らないだろうけど、あれやるのかな?嫌だな……。)


はずみより多少は長野の事を知っている知香は、恐怖に慄いた。


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