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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学三年生編
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掛け合いインタビュー

『しっらすぎ!しっらすぎ!』


(なによ、これは?)


白杉コールは止まず、知香は仕方なくすごすごと壇の中央に歩みでると、大きな拍手が沸いた。


『では改めて、最優秀賞の三年A組、学級委員の高木さんと主演の白杉知香さんです。まず高木さん、おめでとうございます。』


早紀が高木にマイクを向けた。


『これは白杉のために作った作品だから、俺は良いよ。』


『高木さんの魔法使いも評判良かったですよ。』


『俺の女装なんて魔法使いの他に出来る役なかったから仕方なくやったんだよ。二度とやんねぇ。』


場内が爆笑する。


『三年A組は高木さんと高野さんが中心になって凄くまとまっていました。私たちも見習いたいです。』


早紀が高木を持ち上げる。


『そりゃどうも。』


『素っ気ない高木さんでした。ありがとうございます。』


早紀は高木を上げたり下げたりして場を盛り上げるのが上手みたいだ。


『では主演の白杉さん。いえ、生徒会の先輩として親しみを込めて知香先輩と呼ばせて下さい。』


『はい。』


早紀がなにを言ってくるのか、体育館中が注目している。


『知香先輩のシンデレラに私、惚れました!』


突然の告白に体育館中が大爆笑だったが、知香より隣の高木のリアクションの方が大きかった。


『いや、シンデレラは王子さまに惚れられたから無理です。』


知香は精一杯の対応で答える。


『私が王子さまって訳にいきませんか?』


『あ……足の臭い、嗅いでみる?』


これは劇を観た生徒だけにウケた。


『ダメです!告白は取り消します。』


なんだか掛け合い漫才みたいなインタビューになってしまった。


『改めて、インタビューします。シンデレラになった気分、如何でしたか?』


『私はシンデレラって柄じゃないけど……ドレスを着れたのは良かったです。』


『もし、目の前に王子さまが現れて、足の臭い……結婚してくれって言われたらどうしますか?』


『とりあえず足の臭いを嗅いでもらって、大丈夫ならOKするかもね。』


だいぶ早紀のペースに合ってきた。


『最後に、知香先輩の理想の男性ってどんな方ですか?』


高木がうずうずしているが、知香は気付いていない。


『まだ私も半分男の子だから、よく分かりません。』


『ありがとうございました。高木先輩も知香先輩も受験勉強、頑張って下さい。インタビューを終わります。』


早紀のインタビューは大いに盛り上がった。



閉会式が終わり、生徒会室では打ち上げが行なわれている。


テーブルにはお茶と来客用に準備したお菓子の残りが出された。


『早紀ちゃんには参りました。』


暴れ馬と言われた知香ですら脱帽するほどの頼もしい後輩である。


『せっかく面倒な先輩が引退すると思ったら面倒な後輩が出てきたな。』


村田が悪態を付いた。


『村田くん!』


『すみません、でもずっと白杉会長を見てきて勉強になりました。ありがとうございます。』


『私もです。1年間知香先輩と一緒にお仕事が出来て良かったです。』


村田に続いてしおりも知香に礼を言う。


『目安箱や苛め対策もそうですが、一番凄いなって思ったのは高野先輩への態度です。確かに、事故とかその後いろいろありましたが、あれだけ反発していた人を懐柔して苛め対策委員長に抜擢するとか普通は出来ないです。』


『紀子さんの事は私も誤解していたけど良い人なんだよ。ただ少し捻くれてただけでね。』


少しというレベルではなかったが、事故以来べたべたな紀子を見ているのでどうしても表現が弱くなる。


『そろそろどうぞ。』


パーティションの奥から紀子が出てきた。


『え?紀子さん!』


紀子はずっと隠れて話を聞いていたのだった。


『知香さん、1年間お疲れさまでした。』


紀子は大きな花束を知香に渡した。


『紀子さん……。』


『あなたは本当に強いし凄いわ。ハンデを背負っているのに、他の人よりいつも前向きだし人気者だし。私はそんな知香さんが大好き。』


『私、ハンデなんて思った事なんてないから。確かに病院に通わなきゃいけないとかちょっと大変だけど、こうやってたくさんの仲間に囲まれてるから前だけを見てやれるの。たまにやり過ぎちゃうけど……。』


『知香先輩の後始末、結構楽しかったです。』


しおりの目には涙が溜まっている。


『しおりちゃん、早いよ。まだ卒業するまで半年あるんだから。』


『もう先輩の後始末出来なくなるって思うと寂しくて……。ありがとうございました。』


溜まっていた涙が溢れ出した。


『俺にも言わせてくれないかなぁ?白杉のお陰で、俺一年間ずっと影が薄いままだったよ。』


知香と共に一年間副会長を務めた吉村が頭を掻きながら言った。


『そんな事ないよ。ありがとう。』


『吉村先輩も私と一緒に知香先輩の後始末で忙しかったから大変でしたよね。吉村先輩、ありがとうございました。』


しおりは吉村にも感謝の気持ちを伝える。


知香は吉村、紀子と一緒に生徒会室を出て、明日から三年生は受験勉強に挑むのである。

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