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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
小学六年生編
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引き篭もり

不登校になって部屋に引き篭もる様になってから一週間経った。


両親共働きなので昼間は一人きりで過ごす。


自宅のパソコンで自分の様に女の子になりたいという人の事などを調べてみる。


[性同一性障害]


テレビのニュースなどでも聞いた言葉である。


知之は自分も性同一性障害であるのではないかといろいろ調べてみた。


[病院でカウンセリングを受け、ホルモン治療の後性別適合手術で女性化をする事で戸籍の変更が可能となる]


自分の様な男の子であっても女の子になれる。


具体的な事はよく分からないけれど、知之にとっては大きな希望だった。


そのためにはまず両親や学校に伝えて女の子として生活をしなければならない。


[カミングアウト] 


自分に出来るのだろうか?


でも、カミングアウトをしなければ小学生の身で病院に通う事も出来ない。


知識が足りず困り果てた知之は唯一、知之が女の子になりたいという願望を知っている幼なじみの志田雪菜にメールをしてみた。


雪菜は四年生までは知之の近くの家に住んでいた。


自宅はレストランを経営していて、以前は駅前の商店街にあったが、区画整理のため街道沿いに移転する事となって転校してしまった。


日中両親が忙しいので週に四日は雪菜の家に遊びに行っていたが小さい頃から女の子の服に憧れていた知之に雪菜は自分の服を着せて遊んだがある時、雪菜の母親にバレた事があって、転校を機に会う機会がほとんど無くなってしまったが、知之にとっては唯一の友だちであり、たまにではあるが近況報告をしていた。


[今度、家に来てくれない?]


一度バレてから雪菜の家は気不味いのと知之自身引き篭もって学校に行っていないので来てもらうしかない。


[久しぶり〜!なんかあった?]


[相談したいことがあるんだけど。]


[うん、行くよ。ともちに着せたい服いっぱいあるんだよ。おかあさん、私には似合わない服ばっかり買うんだもん。]


雪菜は知之の事をともちと呼んでいる。


雪菜の母は雪菜にいつも可愛い系の服を買って来る様だが、雪菜自身はあまり好きじゃないらしい。


[持って来てくれたら嬉しいな♡]


知之は雪菜相手だと女の子になれる。


自分を隠す必要の無い相手なのである。



雪菜が知之の自宅に来たのは二日後だった。


中に知之に着てもらう服をたくさん詰めた大きなバッグを抱えていた。


『これなんかどう?』

大きな襟のピンクのワンピースだった。小学六年生が着るにはちょっと恥ずかしいかもしれない。


雪菜はいつも自分は着たくないと言いながら知之に着せては喜ぶのだった。


『うん、やっぱともちに似合う!今度さ、これ着て外行ってみない?』


『無理だよ。今学校にも行ってないのに。』


『なにそれ?どうゆう事?』


知之は雪菜に引き篭もりになったきっかけの話をした。


『ふーん、黒川かぁ。そんなヤツ居たね。でも、ともち意外にモテるんじゃない?いっそ、そのカミン……』


『カミングアウト!!』


『そうそう、カミングアウト、してみて女の子になっちゃえば?』


『そう簡単に言わないでよ。真剣に悩んでいるのに。』


知之は雪菜の前、というか女の子になると饒舌になる。


『だって、ともちって男の子だと弱々しくて自分の言いたい事も言えないでしょ?女の子になった方が本当の自分が出せるんじゃないかな?』


『本当の自分……。』


知之は深く考える。


たしかに、今の自分は嫌だ。


でも女の子になりたいって言ってそう簡単になれる物ではない。


『とにかく、おかあさんに言ってみたら?一人で不安だったら私も一緒に居てあげるから。』


『ちょっと考えてみる。』


知之にとってかなり勇気が必要なカミングアウトなだけにすぐに答えを出す事は出来なかった。



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