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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学三年生編
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知香のおっぱい

智美たちと別れ、京都に降り立った知香たちの学校はバスに乗り換え奈良に向かった。


初日は法隆寺や東大寺などを見学して奈良のホテルに宿泊する。


『ともち、お先に。』


奈良のホテルの部屋は広くないので1グループの4人一部屋である。


知香は全員の入浴の後に入浴時間が設定されていた。


『失礼致します。あら?みんなとお風呂に行かなかったんですか?』


若い女性の係が布団を敷きに来た。


『私、他の人と違うから一人だけ別にお風呂に入るんです。』


『生理とかじゃないのね。……他の人と違うって宇宙人?』


まさかの解答に知香は吹き出した。


『そうかもしれませんね。お姉さん、面白くて好きです。私も手伝います。』


そう言って知香は立ち上がり、君枝というその女性を手伝う事にした。


敷き布団を敷き、君枝と布団を挟んで両側に座り君枝が投げたシーツを受け取り拡げる。


その上に枕と掛け布団を敷いて完了だ。


『重労働だけど楽しいですね。』


『一人で敷く事が多いけど、ふたりだとコンビネーションで敷くくから楽よね。人数が多い学校の時は一人で50組くらいやらなきゃいけないから大変なの。』


せっかく布団をきれいに敷いてくれるのに枕投げで寝る前にぐしゃぐしゃにするのは失礼だと思った。


『……そうか。あなた、今流行りのトランスジェンダーなわけ?可愛くて分からなかった。』


ようやく気付いた様だが、だからって宇宙人は無い。


『流行を追っている訳じゃないですけど。』


『でも凄いね。おっぱいあるの?』


ホルモンの投与を始めて1ヶ月弱だが、少し張りを感じている。


『15歳にならないとホルモン治療が出来ないので先月始めたばかりです。』


『ちょっと見せて!』


まだ貧乳なので他人に見せたくはなかったが、君枝は強引にジャージのファスナーを下ろした。


さらにシャツを捲り上げたが、入浴前なのでブラジャーでよく見えない。


君枝は勢いでブラジャーを上げようとした所で雪菜たちがお風呂から戻って来た。


『ただいま……ってどうしたの?』


知香も君枝も何事もなかったかの様に立っている。


『し、失礼しました!』


君枝は急いで部屋から飛び出し、知香はその場にへたり込んだ。


『ともち、何があったの?』


『きな子~っ。』


知香は雪菜たちに一部始終を話した。


『たぶん、悪気はなくて成り行きだと思うんだけど。』


知香は君枝を擁護した。


『私も知香さんのおっぱい見てみたい。』


『ちょっと止めてよ、紀子さん。』


紀子としては知香にはもっと大事な部分を見せているのである。


『まあ、見てみたい気はあるね。結構みんなお風呂で見せ合っているし。』


美久も興味津々だ。


『そんな事言って、貧乳を笑うんでしょ?』


『いやいや、ともちが爆乳だなんて誰も思ってないから。』


(くそー、大人になったら偽物でも豊胸手術して驚かせてやる!)


『分かったよ、お風呂出てからね。後誰にも言わないでよね。』


『分かった、約束するよ。早くお風呂行って来て。』


知香は急かされる様に大浴場に向かった。



一人で大浴場に浸かりながら自分の胸を見てみると、まだホルモンを始めて1ヶ月に満たないのに胸が大きくなっているのが分かった。


(ずっとアンチアンドロゲンを使っていたからかな?)


アンチアンドロゲンを始めた頃、少しだけ胸が張り膨らみを感じたが、それからは変化がなかった。


もしかしたらアンチアンドロゲンで土壌が出来てホルモンの投与で一気に身体の変化が起きたのかもしれない。



部屋に帰るとさっそく品評会が始まった。


『Aカップはあるよね。』


『三年生でもこれくらいの子居たよ。』


『何?お風呂でみんなの見比べているの?』


まだ知香には未踏の領域である。


『少しお尻も丸くなったよね。』


確かに昼間の智美より曲線がはっきりしているとは思う。


『やだー、これ以上ともちが女の子っぽくなったら私なんかどうすんの?さっきだって間違えられたし。』


雪菜は新幹線で智美のクラスメイトから元・男と言われた事を気にしている。


『まあそれもきな子の魅力だと思うよ。きな子は誰か好きな人とかいるの?』


そのまま恋バナに突入する。


『好きな人ねぇ……?まだ居ないんだよ。』


『そんなぁ?隠さないでよ。』


『美久なんかはどうなの?』


『私も居ないよ。』


これでは恋バナは成立しない。


『看護師目指しているんなら高木くんなんかどうなの?お父さんに反発はしているって言ってもお医者さんになるんだろうし。』


『えー?ヤだよ、高木くん口が悪いし。』


美久の好みでは無い様だ。


『高木くん、知香さんの事……。』


高木が知香に片思いをしている事を知っている紀子がつい口を滑らせた。


『高木くんが私の事?それは無いと思うよ。一年の時あれだけ悪口言われたし。』


知香はまだ高木からよく思われていないと思っている。


あまり恋バナは盛り上がる事無く奈良の夜は更けた。


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