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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
小学六年生編
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百合友だち

バレンタインデーで知香の株は一気に上がった。


堂々とみんなの前で性同一性障害を告白したばかりか、さんざん知香をバカにしていた黒川を打ち負かした事でクラスの誰もが知香に一目置く様になった。


以前の知之と違って知香は誰とも普通に会話するようになっていた。


知香は貰ったチョコレートの相手全員に返事を送った。


男の子も女の子も平等にありがとうという感謝の言葉とこれからも応援して欲しいというメッセージを添えて。


もう[親衛隊]が無くても大丈夫…。


しかし、最初から知香を受け入れ、守ってくれた[親衛隊]のメンバーに対して知香は特に感謝して親友と呼んだ。


その中で一人……


知香は萌絵の事が気になって仕方がない。


学校を中心にすると萌絵と知香の自宅は反対側である。


なのにわざわざ毎日自宅を早く出て知香を迎えに来てバレンタインの時は自分だけに手作りチョコを手渡したのである。


[ひょっとして私に気がある?まさか?]


気があるかもというのでは奈々も同じではあるが、単に独占欲が強いだけと思える。


知香は萌絵にメールを送ってみた。


直接気があるのかと聞く訳にはいかないので日曜に会わない?と尋ねてみた。


するとすぐに萌絵から日曜なら自宅に来てほしいと返事が返ってきた。



日曜日になった。


自転車に乗って萌絵の自宅に向かう知香。


殆ど外に出ないので自転車に乗るのは知香になって初めてだった。


一番寒い二月半ばで今にも雪が降りそうな天気だったが知香は白い息を吐きながら萌絵の自宅に向かった。


(ユッキーの家に近いんだな。)


萌絵の自宅は雪菜の学区との境近くにあった。


萌絵の自宅に着き、インターフォンを鳴らして待っていた知香の前に現れた萌絵の姿に知香は驚いた。


大きなリボン型のカチューシャにフリルをふんだんに使ったボリュームのあるピンクのワンピース。


姫ロリとか甘ロリというのだろうか?


ロリータドレスという洋服を知香は初めて生で見た。


(可愛い!)


もともと知香は可愛い服に憧れていたが、ここまでのドレスは着たことが無い。


『可愛いよ!やぎっちスゴい!』


恥ずかしがり屋の萌絵は顔を赤らめた。


『……チカちゃんも着てみる?』


『えー?私はいいよ。』


とは言いつつ、本音は着てみたい。


『私よりチカちゃん絶対似合うから着てみてよ!』


今までの萌絵に無い積極さだ。


『着てみても……良いかな?』


知香は萌絵の押しに負けてロリータドレスを着る事になった。


『これも穿いてね。』


カボチャパンツ!


『ドロワーズって言うの。良いでしょ?』


変な気持ちが湧いてくる。


広がった袖がお姫様みたいで優雅だ。


鏡に映る自分の姿を見てくるっと回転してみる。


『チカちゃん、可愛い。』


萌絵がスマホのカメラで撮り始めたので調子に乗ってポーズを取る。


正直、こんな服を着たいと思っていた。


『ごめんね、チカちゃんになら言えるかなって思って。』


撮影を終え、用意したジュースを一口飲んだ後萌絵が言う。


『私、チカちゃんと病院であった時スゴいなぁって思って是非友だちになりたいって思ったの。』


初めて知香として萌絵と出会ったのは病院の待合室である。


『けどその後みんなの前で女の子になりたいって話を聞いて、私チカちゃんみたいになれたらいいなぁって思って。』


(私みたいってどういう事?)


『私、小さい頃から内気だったからおかあさんがこういうの着てみてって買ってくれたの。』


ロリータドレスを着れば内気が治るというのはいまいち理解が出来ないが羨ましいと思う知香。


『内気な性格は治ってないんだけど、チカちゃんの様に自分のやりたい事を堂々と言ってやれるんだもん。チカちゃんと友だちになれたらチカちゃんみたいになれるかも……そう思ったんだけど。』


確かに、萌絵がロリータ服で登校したらみんなの印象は変わるだろうけれどそれは違う気がする。


『ここから先、誰にも言って欲しくないんだけど言わないって約束してくれる?』


知香は息を飲んだ。


『私、女の子が好きなの。』


性同一性障害について調べているうちにLGBTの意味も学んだ知香ではあるがまだ人を好きになったことが無いので具体的には分からない。


でも、女の子が好きと言った事はそういう事だろう。


『これ見て。』と、萌絵はゴスロリと甘ロリの少女がキスをするスマホの画像を見せた。


『こういうのを見るとドキドキしちゃって自分もしたいって思っちゃうの。』


知香はまだ理解するまでには至らない。


自身が女の子になるというのが先決なので相手が男でも女でも恋をするという余裕も気持ちも無いのだ。


それでも知香は萌絵の気持ちに共感した。


『やぎっちの方がスゴいと思うし、私、応援するよ。』


知香は萌絵の手を握ると逆に抱きしめられた。


『ありがとう、チカちゃん!』


萌絵に抱き締められて初めてときめきを感じるのであった。


この後は二人一緒に写真を撮った。


唇が触れる様な事は無かったが、顔を近付けあったり少し際どい表情を作ったりもしてみた。



『また、明日ね。』


夢見心地で帰路に着く知香。暫くはバランスが取れずに自転車を押して歩いていた。


『ともち、こんな所でなにしてんの?』


聞き慣れた声。雪菜が目の前に居た。


そう言えばここは雪菜の家の近くだった。


『あ……別に……いや……八木さんてほら、クラスの子の家に来て。』


『あの女版ともちって子だっけ?それにしてもなんか慌ててない?変だよ、ともち。』


知香はかなり動揺している。


『なんでもないよ。急にユッキーが現れたから。』


『ふーん。最近学校で友だち増えたから私の事忘れたんじゃないの?』


雪菜に見透かされている様な気分である。


『そんな事無いし。……あ!』


雪菜にはまだチョコを渡していなかった。


『ほら!私もチョコ用意していたのにさ。今からウチ来なよ、渡すから。』


『ごめん、明日放課後持って来るから。』


夢の様な世界から通常営業に戻った知香だった。







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