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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
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知香の職場体験①

11月の後半になり、知香たち二年生は地元の企業や店舗での3日間の職場体験に臨んだ。


生徒に人気なのは病院や鉄道駅で美久などは母・美子の勤務する病院に、萌絵も母・友子の勤めているスーパーへ行く事になった。


知香は希望した[あすなろ保育園]での職場体験を行なう事となり、やはり子ども好きなのぞみともうひとりA組の倉田陽子という生徒がいた。


月曜日の朝、知香の家にのぞみが迎えに来て一緒に保育園に行く。


『おはよう。3日間宜しくね。』


『おはよう。チカも一緒で良かったよ。チカが子ども好きなのは分かるけど、まさか保育士を目指してるなんて知らなかったなぁ。』


妹のいずみが知香に懐いている事を見ても知香の子ども好きはのぞみにも分かっていた。


『うん、紀子さんがね、保育士が合うって言ってくれたんだ。』


『紀子さんってあの高野さん?チカも変な子だね。』


違うクラスののぞみには知香と紀子の今の関係は知らない。


知香とのぞみはあすなろ保育園に到着すると、もうひとり、倉田陽子が門の前に立っていた。


『あの、倉田さん?おはよう。』


『あ。白杉さん、大森さん、おはようございます。』


陽子ものぞみと同じ様にメガネを掛けているが、生真面目を絵に描いた様な感じであった。


『緊張してる?』


『いえ、大丈夫です。』


言葉がきっちりしている。


『行きましょうか。』


3人はインターホンを押して、門の中に入った。


『おはようございます。今日から3日間、宜しくお願いします。』


『おはようございます。私はあすなろ保育園の園長の中里しのぶです。相手は小さい子どもたちですから元気良くお願いしますね。』


『はい!』


知香たちは学校のジャージの上からエプロンを付け、園長から渡されたひらがなで大きく自分の名前が入った名札を付ける。


『ではひとりづつ先生に付いて下さい。倉田さんは年長のうさぎ組で正田夏実先生、白杉さんは年中のりす組で本田尚子先生、大森さんは年少の高崎涼子先生が担当です。』


クラス順なのだろうか、知香は年中組が担当であった。


『おはようございます、本田です。宜しくお願いします。』


尚子先生は長い髪を後ろでひとつにまとめ、なおこと書いた名札を付けていた。


早い時間から母親が子どもたちを預けにやって来る。


『おはようございます。』


次から次に子どもたちがやって来るので、名前も顔も全然覚えられないが、とにかく子どもたちに負けないくらいの挨拶を心掛ける。


年中の児童は、大体の子どもが登園すると自分で所定の場所にカバンを入れて直ぐに園庭に飛び出して行く。


『ママたちから今日の子どもの様子をちゃんと聞いて下さい。後、園庭で遊んでいる子は常に気を付けて見ていてね。』


保育園の園庭も結構広くて子どもたちの動きを見ながら登園する子どもと保護者の相手をするのはかなり大変だ。


『おはようございます、駒田です。今日は朝ごはんあまり食べなくてちょっとだるそうなんです。』


『おはようございます、駒田ひかるくんですね。お熱はどうですか?』


『熱は無いみたいなんですけど。』


『分かりました、ちょっと様子を見ておきますね。お熱が高い様でしたら連絡致します。』


傍で見ていた尚子先生が感心する。


『知香先生、初日とは思えない落ち着きぶりですね。さすがは生徒会長さんだわ。』


先生なんて呼ばれたのは生まれて初めてなので少し擽ったい感じがした。


全園児の登園が終わり、園庭で遊んでいた園児たちを教室に入れる時間になる。


『は~い、みんな集まる時間だよ~。ちゃんとお手てを洗って~!』


みんな素直に集まって来た。


朝の会では園長先生が知香たちを紹介してくれる。


『今日から3日間、先生たちのお手伝いをしてくれるお姉さんたちです。みんな元気に挨拶しましょう。』


『おはようございます、知香です……。』


尚子先生が咳払いをした。


『あ、知香先生です、宜しくお願いします。』


子ども相手とはいえ自分の事を先生って呼ぶのは恥ずかしい。


『おはようございます、知香先生!』


なんかほっこりする。


朝の会の後、園児たちはお絵かきの時間だ。


みんな一生懸命にクレヨンで絵を描いている。


『たかしくんは何を描いているの?』


『ともかせんせー。』


よく分からないが、色使いは上手い様だ。


『上手だね~。』


『ともかせんせー、わたしも描いたよ!』


『かんなちゃんも?嬉しいな。』


園児たちは初めて会った知香を題材にしている様だ。


かんなの描いた知香はめが大きく、目の中が輝いている。


『可愛い絵だねぇ。先生そんなに可愛いかな?』


『うん、ともかせんせー可愛いよ。』


『かんなちゃん、ありがとう!』


知香の職場体験は上々のスタートだった。

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