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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
147/304

生徒会長決まる

木曜日、予定通り選挙の投票が行なわれた。


事故で入院をしている紀子をどうするか話し合われたが、本人の意思を確認出来る状態では無い為そのまま候補者として残される事になった。


万一紀子が当選したらその時点で考えようという雰囲気だったが、演説会の一件で知香の圧勝は間違いなかった。


『新会長さん、お気持ちはどうですか?』


投票を終えて生徒会室で仕事をしながら待っている知香にひな子が語り掛ける。


『逆に待っているだけの方が嫌ですよ。』


結果は分かっていると言われても正式に当選と言われなければ落ち着かない。


『これから病院に行くんでしょう?』


あれから毎日自分の用事を早く済ませて紀子の見舞いに行っている。


記憶喪失となった事は誰にも言っていないので知香以外面会謝絶とされている。


知香が毎日病院に行っている事自体一部の生徒にしか伝えていないのだ。


『はい、紀子さんが事故にあったのは私にも責任がありますから。』


『そんな事は無いと思うんだけど、知香さんの優しさが高野さんにも伝わると良いわね。』


知香は紀子の事を紀子さんと言っている事にひな子は気付いたが、余計な事は聞かなかった。


病院に行ってナースステーションで挨拶をする。


美久の母の配慮で、フリーパスとなっている。


紀子の意識は戻ったが、記憶障害があるため未だ個室に居る。


『こんにちは。』


『あ、知香お姉ちゃん!』


紀子は知香が来るのを待ちわびていた様だ。


『いつもすみません。』


勝子が立ち上がり、礼を言った。


『のりちゃん、良い子にしてた?』


『うん!』


本当に小さな子どもの様に、屈託の無い笑顔で紀子は答えた。


『今日は良いお天気だから屋上に行こうか?』


『やったー!行こ行こ!』


狭い病室は[小さな]紀子には苦痛である。


知香は骨折した左足に負担が掛からない様に紀子を車イスに乗せる。


『上手いですね。』


散々麗の世話をしてきたので車イスの扱いはお手のものだ。


屋上に出ると秋らしい爽やかな風が吹いていた。


『知香お姉ちゃん。』


『なぁに、のりちゃん?』


『私ね、足が治ったらお外でいっぱい遊ぶの!』


今入院しているのは足の怪我だけだと思っている。


知香は、紀子にどうして怪我をしたのか聞いてみようかと思ったが止めた。


もし聞く事でさらに精神的なダメージを受けるかもしれない。


今は自然に思い出すのを待つしか無い。


病室に帰るとテレビを付けて貰うが、最近は子ども向けの番組は教育テレビくらいしかない。


『日曜日になったら[少女戦隊セーラーファイブ]観るんだ!』


[美少女戦隊シリーズ]は昔から毎週日曜の朝にやっているが、紀子が言った番組はだいぶ昔の作品だ。


確か、知香も子どもの頃観たいと思っていたけれど男の子だった当時は親の目が気になって観られなかった。


『のりちゃん[セーラーファイブ]好きなんだ?』


『うん!知香お姉ちゃんも一緒に観よ!』


今やっているのは最新の作品だが知香にはタイトルすら分からない。


(ビデオとか売って無いかな?)


とりあえず調べてみる事にした。



金曜日、このみと一緒に登校すると掲示板に新生徒会役員の発表があった。


『白杉、おめでとう!』


『知香さん、当選した様ですね。』


知香を見つけた男子の声で生徒会長当選が分かった。


『新生徒会長!』


『おめでとう!』


直ぐに知香の回りに大きな輪が出来て掲示板を確認出来ない。


ようやく掲示板に到達すると、知香は全校生徒319人中294票と圧倒的な得票で会長に当選した。


副会長は吉村彰吾、書記は佐藤しおりといずれも生徒会の推薦を受けた候補が当選した。


『知香せんぱ~い!』


『あ、しおりちゃん、おめでとう!一緒にお仕事出来るね。』


『はい、宜しくお願いします。』


知香を尊敬するしおりは満面の笑みで答える。


『こうちゃんにもお礼しなきゃね。こんな可愛い後輩を推薦してくれて。好きなの?』


『いえ、友だちですから。』


このみは少し顔を赤らめた。


『なんだ、残念。こうちゃんは男の子が好きなんだ?』


少し意地悪してみる。


『ま、まだそんな事分かりません!しおりちゃんは好きだけど……。』


知香もしおりも笑ってこのみは益々顔が赤くなった。


『このみちゃん、可愛いでしょう?』


『はい、先輩。』


暫く弄られそうだ。



放課後、今日は美久と病院に行く。


美久の母・美子から知香の精神的負担を減らすため美久にだけは紀子の病状を話す事を提案されたのだ。


『美久、なんだか悪いね。』


『良いんだよ。私、高野さんと同じクラスになった事無いから実際どんな子か知らないし、知ってても守秘義務があるからね。』


さすが将来は母の様に看護師を目指す美久である。


ナースステーションに寄ると、


『あ、美久ちゃんも一緒なの?』


と、母の部下と思われる看護師から声を掛けられた。


『今日、大部屋に移動だって。』


『大部屋ですか?』


記憶が戻っていないのに大部屋に移動なんて大丈夫だろうか?


知香と美久は看護師から言われた部屋に行ってみた。

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