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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
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紀子と一騎討ち

生徒会選挙の告示の日となり、知香は現生徒会長の児玉、副会長のひな子を推薦人として生徒会長に立候補した。


『確かに書類を受け取りました。2年B組の白杉知香さんを正式に生徒会長候補者として認めます。』


選挙管理委員会で立候補が承認され、部屋を出ようとすると入れ違いに紀子が立候補の届け出を提出に入って来た。


『あら白杉さん、立候補の手続きは終わったんですね。』


紀子と一緒に来た推薦人はC組の畑みのりともう一人、知香と同じ班の岡田だった。


よりによって同じ班の岡田が推薦人とは驚きだが、岡田はそんな奴だからどうでも良い。


岡田自身は知香と目を合わせず、下を向いていた。


今のB組で他に推薦人になってくれる生徒は居なかったのだろう。


もっとも、同じクラスからふたりの会長候補者が出るとなればどちらかに偏るのは難しい。


『白杉さんと戦う事になって残念ですが、お互いフェアプレイで頑張りましょうね。』


『高野さんも頑張って下さい。』


ふたりの目から火花が散った……様な気がした。



翌朝から候補者が揃ってタスキを掛けて登校する生徒に挨拶をする。


しおりは恥ずかしそうにタスキを掛け、知香と並んだ。


『こうちゃんが推薦人になったんだって?』


同一人物が複数の推薦人にはなれないのでクラスの学級委員が推薦人になる事が多いが、このみは自らしおりの推薦人になったのだ。


(二人の関係ってどういうんだろう?)


知香と萌絵の関係の様なものを勘ぐってしまう。


『このみちゃんの事こうちゃんって言うんですね。』


『元々の名前が康太だからこうちゃんって呼んでいてそれでこのみって名前になったの。今こうちゃんって呼ぶの私だけかもしれないね。』


『私もこうちゃんって呼んでみようかな?』


噂をしているとくしゃみをしながらこのみが登校してきた。


『おはようございます、知香さん、しおりちゃん。』


『おはよう、こうちゃん。』


このみは突然しおりがこうちゃんと言って来たので顔を赤くして戸惑った。


二人ともなんか可愛い。



昼休みは恒例の校内放送出演だ。


昨年、一番最後の出演だった知香が今年は一番最初の出演となる。


『ご機嫌如何ですか?[ランチタイムウェイブ]です。お昼休みのひと時、素敵な音楽とトークでお寛ぎ下さい。今週、来週と生徒会選挙の為私森田潤がお送り致します。白杉さんは去年から三度目の出演ですね、前回は本当に申し訳ございませんでした。』


二度目のゲストの時放送事故寸前になった時のMC森田が今年の放送委員長だ。


『白杉さんはどのような公約を掲げているんでしょうか?』


『正直言いますと、私自身は学校に不満とか無いので公約には悩みました。』


改革をする理由が見当たらない。


『でも、それは個人的なものなので他の生徒さんの中にはこれをこうして欲しいとかたくさんあると思うんです。今、生徒会室の前に目安箱が置いてあるんですが…。』


『吉宗が大岡越前に言って設置したあの目安箱ですね。』


どうやら森田は歴史好きな様だ。


普段、レギュラー放送の時に森田が歴史について語るコーナーがあるが知香は聴いていない。


『あれって殆どの人知らないんじゃないかと思うんです。もっとみんなの声を積極的に集めて改善する点を探していきたいのでまずは各階の分かる場所に目安箱を置こうと思います。』


『なるほど。で、どんな内容でも良いんでしょうか?』


『基本的には個人的な悩みでもなんでも良いです。例えば、思春期特有の悩みなんかもありますよね。そういうものは保健室の浅井先生に見てもらいます。保健室でもそういう悩みの相談室を開設しているんですけど中々相談しづらいみたいだし。』


『そう言えば白杉さんは浅井先生と一緒に思春期の悩み相談に乗っているんですよね?』


『最近は相談も殆ど来ないし、私も忙しくてたまにしか保健室に行ってないんですが……。』


目安箱もそうだが、常に呼び続けていかないと忘れられてしまうものなのだ。


『目安箱の相談については先生の方に上げたり、生徒会定例会で取り上げたり、生徒会だよりに載せたりしていきたいと思っています。』


『頑張って下さい。』


今回は特に問題も無く放送が終了した。


ホッとしたのは知香ではなく森田の方だった様だが。


しかし、明日は同じ会長候補の紀子がゲストだし、選挙期間中はずっと森田が候補者の聞き手に回るのである。


『お疲れさまでした、明日からも頑張って下さいね。』


知香は余裕で[明日]を強調して森田に言った。


『お疲れさま、貫禄だね、ともち。』


教室に戻ると優里花に労われる。


同じクラスに会長候補が居るせいかどうもクラス内の空気が微妙である。


『どうかしたの?』


知香は優里花に尋ねた。


『いやね、高野さん、あれは私が知香さんに進言したとか言っててさ。』


まあクラスの生徒ならそれが本当かウソかくらい分かるだろう。


異常とも言えるくらい紀子が会長に固執する理由が知香は知りたかった。




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