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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
142/304

生徒会選挙始まる

嫌がらせ問題は犯人が名乗りをあげないまま時は過ぎた。


(そういや、ラブレターも来なくなったな。あれも結局同じ人だったのかな?)


これで平穏な毎日には戻らないのが知香である。


麗と一緒にパラリンピックの試合を観に行き、体育祭では去年同様1500メートル走を走った。


体育祭が終わると、いよいよ生徒会の選挙戦となる。


生徒会室に知香ら役員と各クラスの学級委員が集まり定例会が行なわれている。


『無事、体育祭が終わりました。この後は文化祭を以て今の生徒会執行部は解散致しますが、次の生徒会長選挙には1年間書記として頑張ってくれた白杉さんを推薦したいと思います。異論はありますか?』


知香が立候補をする前に会長の児玉が生徒会として推薦した。


『はい。』


『高野さん、どうぞ。』


やっぱり紀子が反論する。


『白杉さんが頑張ったのは認めますが、だから生徒会の総意だというのは納得出来ません。書記と会長の仕事は全然違いますし。』


『分かりました。では白杉さんはどう思いますか?』


児玉は自分で推薦しながら知香に意見を求めた。


『私は立候補致します。1年間児玉会長と樋田副会長の仕事を傍で見てきたのは私だけですし。』


知香は堂々立候補すると表明した。


『去年同様、私も別に立候補しても構いませんよね。私も会長に立候補しますから。』


紀子は知香に対して宣戦布告した。


副会長候補になったのは2年C組の吉村彰吾という生徒で、知香とは小学校時代に同じクラスになった事がある。


書記候補に立候補したのはこのみと同じ1年A組の佐藤しおりだ。


『上田さんがいつも白杉さんの話してくれるし、私も学級委員として白杉さんのお仕事見て、一緒にやりたいなって思いました。』


しおりはにこにこして知香に言った。


『俺、白杉が男の時のイメージってほとんど無いんだよな。』


たぶん吉村でなくてもそう思っている生徒は多いだろう。


『それでは、これからの流れを説明しますね。』


ひな子から立候補予定者に説明を始める。


『10月5日が告示となりますので、その日に所定の用紙に記入して選挙管理委員に提出します。用紙には動機や公約を書いて下さい。』


立候補は誰でも出来るが、公約が難しい。


『9日に体育館で演説会をして15日が投票日ね。いつもなら金曜日が投票になるんだけど今年は体育の日が無いから1日繰り上がって木曜日が投票日です。』


今年はオリンピックの関係で例年と休みが違う。


定例会が終わり、帰路に付くと後ろからしおりが追いかけてきた。


『白杉せんぱ~い!』


『知香で良いよ。』


『じゃ知香先輩、一緒に帰りませんか?』


麗の事を最初は先輩と呼んでいた知香だったが自分が先輩と呼ばれるのは初めてだったので恥ずかしく思った。


『しおりちゃんはなんで書記をやりたいって思ったの?』


『さっきも言いましたが、知香先輩と一緒にお仕事したいんです。』


しおりの身長は奈々が一年生の時くらいの小ささであり、まだ小学生と言っても通用しそうな可愛い女の子だ。


『でも私の事は知ってるでしょ?男の子だった事。』


なんか騙しているみたいな気分だ。


『はい、私このみちゃんが入学した時まだ髪が長くなかったし男の子のくせに女の子の制服着ておかしいなって思ったんです。でも、このみちゃん凄く真面目で、話を聞いたらお父さんが認めてくれないからお母さんの為にバイトしているって聞いて、応援したくなっちゃって。』


入学した頃のこのみはまだ父親に刈られた髪が伸びていなかった。


『そのこのみちゃんが知香先輩の事凄く尊敬しているっていつも言ってるし、私も学級委員になって先輩と会ったら良い人だなって…。だから頑張って生徒会に入ろうって思ったんです。』


『でも立候補の用紙に私が動機とか書いちゃダメだよ。』


『えー、いけませんか?』


どこまで本気か分からない不思議な女の子だ。


『じゃあ私と一緒に動機や公約考えよっか?』


『はい!』


また可愛い後輩が出来たものだ。



知香はしおりを自宅に招いて一緒に公約を考える事にした。


書記の時とは違って生徒会長の公約だからそう簡単には書けないが、立候補する事は半年も前から決めていた事なのになにも考えていなかったのは反省すべきだ。


『大体学校生活に満足しているから、変えようって思う事無いんだよね。』


『先輩は学校大好きなんですね。』


嫌がらせの一件はあったが、それ以外学校に対して不満は全く無い。


『無理に変えようって考えない方が良いんじゃないかと思います。』


逆にしおりからアドバイスを受けた。


(そうか、自分は不満が無いから変える必要は無い訳だ。でも不満を持っている人はどうする?)


『目安箱……。』


『え?』


知香のつぶやきを一瞬しおりは聞き逃した。


『日本史で徳川の将軍が目安箱を設置して庶民の声を聞いたってあったよね。今も生徒会室の前にあるけど、場所が悪いからかあんまり投書来ないんだよね。あれをもっと分かりやすい場所に複数置けば良いと思う。』


8代将軍吉宗の事だ。


『確かに、私もよく生徒会室に来るけど気にもとめてなかったです。』


『自分じゃなく変えて欲しいって言う人の意見を集めれば良いんだ。』


『さすがです、先輩。』


しおりから誉められちょっと恥ずかしい知香だった。

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