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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
小学六年生編
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知香親衛隊

知香のクラス復帰の朝。


[知香親衛隊]が一緒に付いて行くという事で、早めに朝食を済ませるとはずみと萌絵が迎えに来た。


『チカ、おはよう。』


『はずみん、やぎっち、おはよう。』


萌絵はみんなからやぎっちと呼ばれる様になり知香も同じ様に呼んだ。


『やぎっち、家反対の方でしょ?大丈夫?』


『……うん、チカちゃんと一緒に行きたいから。』


萌絵が寄り添って可愛く思えた。まるで妹の様だ。


途中でのぞみの家に立ち寄る。


こちらは本物、のぞみの妹のいずみも一緒だった。


『あっ、オトコのお姉ちゃんだ!』


『こら、知香お姉ちゃんでしょ?!』


『うん、チカねぇだね。一緒に行こ!』


のぞみの妹・いずみは本当に人懐っこい。


『風邪、治ったの?』


『うん、熱39度まで上がった。』


一気に妹が増えた気分になった。


学校に近い美久の家に向かう途中で知香たちを発見した菊池奈々が走って来た。


『ちょっと、何よアンタたち!私も仲間に入れてよ!』


背は小さいが声は大きい。


美久も加わり、学校に着いた時は七人の団体となっていた。


『おはようございます。』


『おはよう、いっぱい居るわね。』


朝校門に居るのは普通当番の先生二人だが、今日は香奈子も出迎えてくれた。


知香は胸を張って校内に向かった。


教室に直接行かず、職員室で担任の佐藤先生に挨拶をする為だ。


職員室へは同じ班のはずみのみ同行し、ほかの四人は黒川たちの邪魔が無い様先に教室に向かった。


職員室を出て、教室に向かう知香と美はずみ。


『いよいよだね。』


『うん、今までありがとう。』


『何言ってんの、これからこれから!』


はずみは五人の中ではいつも一番冷静なので頼りがいがある。


教室の扉を開ける。


『おはよう!』


クラス全体がざわついた。


以前の知之は教室に入る時挨拶などしないで黙って自分の席に向かっていった。


前日の演説を聞いたクラスメイトたちは知香の外観だけでなく堂々とした立ち居振る舞いに驚いていたが、ここでもその変貌ぶりにみんな戸惑った。


『おはよう…』


と何人かの女子が返事をするが、男子はひそひそ話をするだけであった。


もっとも、からかいたくても[知香親衛隊]が周りを囲んでいるから近寄る事も出来ない。


『なんで私に黙ってたの~?』


知香を囲んだ輪の中で菊池奈々が美久に吠える。


『だぁって、奈々に言ったらすぐ広まっちゃうんだもん。』


美久と奈々は親友だったので余計に隠していた美久を許せない。


『まあまあ。成り行きだから仕方ないよ。』


はずみが宥めて、のぞみが頷く。


萌絵は黙ってみんなのやり取りを聞いていた。


そんな個性豊かなメンバーを一人一人を観察して面白いと思いながら話題の中心である知香は奈々に言った。


『菊池さん、ごめんね。私が苛められてた時いつも助けてくれたのに今までありがとうの一つも言えなくて菊池さんには感謝してます。』


『何よ、菊池さんて?みんなと違うじゃない!』


なんかめんどくさい。


『ごめん、奈々さん……』


『さんいらない!』


『分かった、奈々。』


みんなが苦笑した。


『これだから奈々は。』


一番奈々の事が分かっている美久が嘆いた。


『何よ、美久!』


[親衛隊]というのはちょっと窮屈だったが、これなら男子から余計なちょっかいも受けないし、卒業まで何とかやっていけるだろうと知香も思った。



[親衛隊]に見守られて下校した知香は一日を振り返る。


奈々が加わってちょっと賑やかで面倒くさい気分もあったがみんなが自分を支えてくれるという事には感謝していた。


それを無料通話アプリで雪菜に伝えると


『良かったね。』


と意外に素っ気ない返事が返ってきた。


(怒ってる?)


雪菜と長い付き合いの知香は雪菜の細かい変化におかしいと感じていたが、それがどういう理由かまでは分からなかった。



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