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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
139/304

タイに行きタイ

二泊三日の海水浴を終え、知香たちは地元に戻ってきた。


『まだ時間早いし、麗さんにお礼に行って来るね。』


駅で解散してそのまま家に帰らず、知香は麗の家に向かう。


『知香さん、私も行きます。』


この3日間仕事を休ませて貰ったこのみも同行する。


『知香さん、キャサリンさんの話の事なんですけど。』


麗の家に向かう道すがら、このみが聞いてきた。


『やっぱり手術って日本よりタイの方が良いんでしょうか?』


『うん、まだ日本じゃ手術出来る病院は少ないんだよね。こうちゃんも一度行った大学病院はやっているんだけど、保険が効かないんだよね。』


性同一性障害の保険は現状ホルモン治療をしていると適用されない。


性同一性障害の治療にはホルモン投与が欠かせないので矛盾しているのだ。


『それに向こうは毎日何人も手術を受けているし、日本からもたくさん受けに行っているからね。』


タイで性別適合手術を受けるにはアテンドと呼ばれる仲介業者を利用するのが一般的だ。


手術だけでなく往復の航空券や現地での宿泊などもまとめて手配する他、他に必要な手術もパッケージ化されて分かりやすい。


大抵日本語が分かる現地ガイドが案内してくれるので言葉の不安も少ないらしいが、これはアテンド会社によって差がある様だ。


『海外旅行なんてした事ないからタイってどんなところだか分からないけど大丈夫なんですか?』


『治安は比較的良いらしいよ。後ね、ニューハーフショーとかやっているんだって。』


ニューハーフショーは首都バンコクや郊外のパタヤなどで毎日行なわれている観光客向けのショーである。


性転換をした美しい元男性(一部例外もいるが)が踊って観客を盛り上げるのだ。


『へぇー、見てみたいですね。』


『スカウトされちゃうかもよ?』


『良いですね。楽しそう。』


そうこうしているうちに麗の家に到着した。


『いらっしゃいませ。』


『こんにちは、中野さ……いや、上西さん。』


頼子が出迎えたが、結婚したので今までの様に中野さんとは呼べない。


『上西さんじゃ紛らわしいから頼子で良いですよ。』


『私も頼子さんって呼んでます。』


『……すみません、頼子さん。』


今日はこのみも客なので二人ともリビングに通される。


庭では今まで練習をしていたのだろう、上西さんがボールを片付けていた。


『こんにちは、今麗さんはシャワーを浴びに行っているから少し待っていてくれないか?』


気温が30度を超す炎天下で上西さんも汗が止まらない。


こんな状況でも毎日練習しているのか?


暫くして車イスに乗って麗がやって来た。


さっきまで練習していたと思えない涼しい顔で、良い香りが漂う。


『いろいろありがとうございました。おかげさまで楽しく過ごせました。』


『今まで知香さんにはたくさん助けて戴きましたのでこれくらい当然ですわ。』


『キャサリンさんって海の家で働いている方の話を聞いてとても参考になりました。』


『キャサリンさんとお話したのですか?それは良かったですわ。』


麗もキャサリンの事は知っている様だ。


『タイで手術を受けた話も聞いて為になりましたし。』


『お二人はタイには行った事はありますの?』


『いえ、海外には行った事は無いです。』


このみだけでなく知香も海外は未経験だ。


『タイで手術をされるかは分かりませんが一度行かれると良いですわ。年末年始にみんなで行きましょうか?』


今海水浴から帰ってきたばかりなのに、もう年末年始の話で、しかも海外とは……。


『いえ、さすがに海外は無理ですよ。』


『大丈夫ですわ。上西さんたちも新婚旅行にも行かずずっと働いてくれていますし、このみさんも頑張っておりますから慰安旅行をしたいと考えていたのですわ。』


『私は部外者ですよ。』


『知香さんはワタクシの恩人ですから特別ですわ。』


とはいえ、由美子たちが部屋の高い飲み物を散々飲んだばかりだしそこまで甘えて良いのだろうか?


『是非甘えてくださいませ。パスポートだけは早めに作って下さいませね。』


強引に決められてしまった。


『それから、ワタクシのデビュー戦の事なのですが、来週の日曜日に日本代表の壮行試合に出られる様ですの。』


『日本代表!……ですか?』


所謂エキシビションなのだがこれからの若手を各チームから選抜した混合チームを作り、パラリンピックの日本代表にぶつける試合に抜擢されたのだ。


『綿貫コーチからの推薦ですの。』


麗によると綿貫コーチは麗を大変買っていて、デビュー戦は大きな試合でと考えていた様だ。


『凄いですね。見守り隊の子たちも連れて行きたいな。』


『見守り隊……ですか?』


麗は見守り隊の事は知らない。


『駅前商店街のお店で放課後の小学生を見てくれてるんですけど、夏休み中、その小学生たちと一緒に宿題や勉強をしているんです。』


『それなら上西さんに言ってマイクロバスを用意して戴きましょう。』


この家にはマイクロバスまであるのか?


『でも麗さんはどうするんですか?』


麗はいつも上西さんが運転するウェルキャブで移動している。


『ワタクシの車はリカルドが運転してくれますわ。当日はお父さまも観に来られますので。』


当日は大応援団になりそうだ。

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