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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
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おっぱい欲しい②

月曜日から、知香はブラジャーをして登校した。


『おはようございます、知香さん。土曜日はありがとうございました。』


『こうちゃん、おはよう。パーティーではお世話になりました。他の子より動きが良かったよ。やっぱり慣れてるって感じだね。』


『はい、頼子さんから指導されてますから。』


もう中野さんでなく上西頼子さんだ。


『それより……知香さん、胸が……。』


このみは知香の変化に直ぐ気付いた。


このみも1年後の知香を追って同じ道を行くつもりなので小さな変化も見逃さない。


『うん、偽乳だけど入れてみたの。もう二年生でブラジャーしていない女子居ないからね。』


『これでどれくらいなんですか?』


『Bカップだよ。突然CカップにしたらわざとらしいけどAだと目立たなさ過ぎかなと思って。』


既に母が用意していたという事は黙っておく。


『チカ、おはよう!』


声を掛けたのはのぞみである。


『おはよう、のぞみん。』


『あ、チカ、ブラしてる!』


薄い夏服なのでブラが透けて見える。


『どれどれ?前はどうなってる?』


のぞみが腕を伸ばして制服の上から知香の胸を触った。


『ちょ、のぞみん?』


『柔らか~い。これ本物?』


『本物な訳無いでしょ!シリコンで作ったおもちゃ。』


『なんか凄いね。このみちゃんも触ってみる?』


のぞみがこのみにも知香の胸を触る事を勧める。


『え、良いんですか?』


『良いわけ無いでしょ!のぞみん、こうちゃんに変な事言わないでよ。』


さすがに登校中に中学生がやる事では無い。


『こうちゃんには後で見せてあげるから。』


教室でも知香がブラジャーを着けたという話題で盛り上がった。


『他の女子もいつの間にブラしてるもんな。』


同じ班の岡田もしっかりチェックしているみたいだ。


『アンタ、女子のそういう所ばっか見てんの?スケベ。』


『わざとじゃねぇし。夏服になればイヤでも目に入るだろ?』


優里花から注意されても意に介せずといった感じだ。


『着け心地はどう?キツくない?』


『大丈夫。下着屋さんでちゃんと測って貰ったから。シリコンはちょっと重いかな?』


内蔵の自分の脂肪より外付けのシリコンの方がどうしても重く感じてしまう。


医療用の高い製品なら本物と同じくらいの重量らしいが、ホルモン治療が進めば必要無くなるので妥協している。


改めて他の女子の発育具合を見てみると、萌絵の様に背は低いのに大きい胸をしている生徒も居れば申し訳程度にしか育っていない生徒も居る。


知香の偽Bカップは他の生徒と比べると決して小さくは無い様だ。



1週間後の月曜日、授業が終わると知香とこのみは連れ立ってジェンダークリニックに向かった。


知香が一人で通っている頃から通院は毎月最初の月曜日ときめており、このみと一緒に通う様になってから半年が過ぎた。


『こうちゃんもだいぶ髪が伸びたね。』


通い始めた頃は坊主頭にされた直後だったが半年でようやく髪も女子っぽくなってきた。


知香はカウンセリングでブラジャーを付け始めた事を報告した。


『やっぱり胸は大きい方が望みかな?』


『はい、友だちを見ていて大きいと羨ましいです。』


知香は率直に院長の山田先生に答えた。


『この後何も問題が無い様だったら来年5月からホルモン治療を始められると思うが、人によっては豊胸手術をしないでもCカップくらいまでは成長する事もある。』


来年の5月は知香が15歳になり、ガイドラインでホルモン治療が出来るとされている年齢になる。


『Cカップ……ですか。』


『豊胸手術はホルモン治療を始めて直ぐはやれない。胸の成長が止まってから去勢と一緒にやる人が多いね。』


暫くはこの偽乳を使う事になりそうだ。



『知香さん、夏休みはどうするんですか?』


帰りの電車の中でこのみが聞いてきた。


『去年はみんなで長野に行ったけど、今年ははずみが部活で忙しいからいっちゃんがこっちに来るんだよね。』


今年は一郎と遠距離恋愛をしているはずみが行かれない様だから、他のメンバーだけで田舎に行くのはどうかと思う。


知香だけなら両親と一緒にお盆に行けば済む話である。


『こうちゃんは麗さんの家のお仕事はどうなの?』


『宿題もやらなきゃいけないし、休みは自分の都合で構わないそうです。麗さんも練習がありますし。』


麗は週一回車イスバスケのチーム練習に通っているが、普段自宅でも上西さんとマンツーマンで特訓しているらしい。


『良かったら、海水浴に行きませんか?』


このみから意外な提案が出た。


去年は萌絵が知香の水着も用意してくれたが、プールも海も行けなかった。


着替えや下半身の問題等があるから戸惑いがある。


『大丈夫なの?』


『旦那さまの会社の保養所が神奈川県にあって、毎年海の家も出しているそうなんです。着替えとかも手を回して大丈夫な様にするから行かないかって言われたんです。』


去年着た水着なら問題は無さそうだし、そこまで配慮してくれるなら大丈夫だと思う。


『麗さんは?車イスで海は無理だよね。』


『家で特訓しているから楽しんで来てだって言ってました。』


つまり、もう知香たちが海に行くのは決定事項である。


『私、5年生から学校のプールも出てないし、泳げないからなぁ。』


『なにを今さら。知香さんが行かないで誰が行くんですか?』


このみの押しが強くなった。


断られたらこういう風に言えと言われているのかもしれない。


『分かった、みんな誘って行こう。』


今年の夏は海に行く事に決まった。



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