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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
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結婚パーティー前夜

上西さんと中野さんの結婚パーティーはは6月最後の土曜日、大安の日に麗の自宅で行なわれる事になった。


知香たちはその週の日曜日、最後の打ち合わせの為に麗の家に集まった。


『皆さま、お久し振りですわね。お元気そうでなりよりですわ。


『麗さんはなんか逞しくなったみたいですね。』


雪奈は麗の太くなった二の腕を見て言った。


『毎日大変ですわ。最近は長いパスも投げられる様になりましたの。』


自慢気に話す麗を見て、知香はこの人は本当にバスケットボールが好きなんだなと思った。


『皆さまの制服が出来ましたわ。』


知香やこのみに誂えたものと同じメイド服である。


『皆さまにお手伝いして戴くので、パーティーが終わったら記念にお持ち帰り下さい。』


『これ、凄く高そうだね。着るの勿体ない感じ。』


『汚せないね。』


みんなは喜んだ。


『当日は3つのグループに分かれます。まずはきな子、ありちゃん、ゆりっぺ。』


雪奈はたまに店の手伝いをしているのでリーダーである。


3人は坂東小出身で知香たちの卒業パーティーの時に給仕をしてくれた。


『次はこのみちゃん、美久、いっちゃん。』


学年は下だが、麗の家で家政婦をしているこのみがリーダーとなった。


『はずみん来ないのに一郎くん来るんだ?一郎くんもメイド服着るの?』


『それはいくらなんでも可哀想ですわ。一郎さんには男性用の給仕服を用意してありますの。』


はずみは部活の為に出られないので、さぞかし残念だろう。


『で、最後はのぞみんと萌絵、奈々。』


『あれ?ともちは?』


『知香さんにはワタクシの希望で司会をやって貰う事になりましたの。』


麗は前々から一度知香の仕切る姿を見てみたいと言っていたのである。


『それと後一人、協力をお願いしておりますの。』


『もう一人?』


他にも手伝いを頼んだとは知香も聞いていなかった。


『こんにちは。白杉さん、久し振りね。』


『山田さん!』


麗の元クラスメイトで放送委員長だった山田千夏が隣の部屋から現れた。


『知香さんを驚かせようと思ってずっと隠れてたの。』


『お久し振りです。千夏さんも一緒に司会されるんですか?』


千夏は放送委員長だったので、司会は適任だと思う。


『私は音響よ。私も白杉さんの司会楽しみだから。』


以前、千夏から才能を買われ放送委員に誘われた事がある。


『千夏さんの前で私一人でやるんですか?』


『あら、来賓のお客さまの中には市議会議長とかお偉い方も来られますわよ。』


偉いといっても知らない年寄りよりも知っている先輩の方が緊張する。


『嵌められた~っ。』


『知香さんなら大丈夫ですわ。期待してます。』



金曜日になり、夕方知香は部活が終わったはずみと共に駅で一郎を待っていた。


『せっかくいっちゃんも来るのに部活休めないの?』


『仕方無いよ。でも今日会わせてくれてありがと。』


一郎は学校が終わって直ぐに長野から向かい、今日は知香の家に泊まる事になっている。


『そろそろ電車来るよ。』


定刻通りに電車が駅に到着して、改札に一郎がやって来た。


『来た来た。』


手を振ってはずみは出迎える。


『や、やぁ。』


『ごめんね、明日私出られなくて。』


『部活休めないんだろ?そういう事もあるよ。』


はずみも今夜は知香の家で夕食を食べていく事になっているので歩いて知香の家に向かった。


『私、お母さんが帰って来る前に夕食の準備しているから二人で話でもしてて。』


居間に二人を残し、知香は台所に消える。


(良い雰囲気。)


食事の準備が大体済んだ頃、由美子が帰宅した。


『ただいま。あら、もうここまで……。悪いわね、じゃあこれ運んで良いかな?』


『ちょっと待って。』


出来上がった料理を居間に運ぼうとする由美子を制止する。


知香は居間に顔を出し、手招きで一郎を呼んだ。


『なんだ?』


はずみは居間に一人残された。


暫くして、扉が開くと黒のイートンコートに蝶ネクタイをしている一郎が料理を運んで来た。


『い!』


『どう?明日のいっちゃんの給仕服』


明日一郎の姿を見られないはずみの為に麗から借りてきたのだ。

『……格好良い……。』



『はずみんの服も作ってあるよ。』


はずみが部活で参加出来ないのは分かっていたが、麗の配慮ではずみのメイド服も用意してあったのだ。


『はずみちゃん、是非着てみて!』


由美子が叫んだ。


こういう所が親子なんだと思う。


蝶ネクタイ姿の一郎とメイド服を着たはずみが恥ずかしそうに並び、知香が写真を撮る。


『チカ、ありがとうね。』


明日のパーティーに参加出来ずに残念がっていたはずみだったが、このひとときだけで満足そうだった。



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