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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
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中間テストと誕生日

ゴールデンウィークが終わり、日常が戻ってきた。


『もう2週間しか無いね。』


5月後半には1学期の中間テストがある。


『萌絵は頑張らないとね。一緒に勉強しようか?』


単純に萌絵は勉強が苦手なので、一人だと試験勉強をやらないでだらだらしそうな気がする。


『……良いよ、一人でやるから……。』


この言葉は怪しい。


『分かった、じゃあ一つでも赤点取ったら期末まで土日会わないから。』


『やだよ。』


『じゃ、勉強しよ。』


萌絵はしぶしぶ了承した。


『相変わらず見せ付けてくれますね。』


『優里花も一緒に勉強する?数学分かんないところ教えて欲しいし。』


知香は文系は得意だが、理数系は優里花の方が成績は上である。


『良いの?邪魔じゃない?』


『なに言ってんの?試験勉強だよ。』


変に気を遣う優里花だったが、逆に二人だけだと勉強にならない可能性もあるので、知香は優里花も囲みたかった。


『で、どこでやろうか?』


3人とも自宅は離れている。


『日替わりにしようよ。今日はウチで良い?』


優里花の自宅は行った事が無い。


『分かった、じゃあ明日は私ん家ね。』


試験の日は翌週の月曜日からなのでまだ1週間先であるが、部活禁止期間に入っているので毎日ローテーションを組んで


放課後一度自宅に帰り、勉強に必要な物だけ鞄に詰めて自転車で優里花の自宅に向かった。


『あれ?ともち!』


途中、信号待ちをしていると下校途中だった雪菜に遭遇した。


『試験前なのにどこ行くのよ?』


『ゆりっぺの家で萌絵と3人で試験勉強だよ。』


『違うクラスになったら随分水くさいじゃない?私も加えてよ。』


あまり人数が増えると逆に勉強が捗らなくなりそうなのだが、親友の頼みには逆らえない。


『分かったよ、先に優里花の家に行ってるから。今日は数学と英語。』


放課後の試験勉強は4人でやる事になり、月曜日は優里花、火曜日は知香、水曜日は萌絵の家とローテーションでお互いの自宅に行って毎日2教科ずつ試験の範囲を復習している。


木曜日は雪菜の自宅に集まった。


『この調子ならみんな良い点取れるよ。』


一時間集中して一つの教科の勉強をして20分おやつタイムの後もう一つの教科に取り掛かる。


『ねぇ、明日金曜日だから合宿勉強しない?』


雪菜が提案した。


『どこでやるのよ?』


『ウチは三組なら客用の布団あるしさ、お母さんにみんなで試験勉強するって言ったらお店で夜ごはん用意するって言うから。』


頑張っているご褒美だという事だが、そうなると二日続きで雪奈の家でとなるが雪菜の家なら知香と優里花の自宅の間だからみんなが来るには好都合である。


部屋の広さは4人寝るには少々キツいが、他のみんなの部屋も大して変わらない。


『お母さんに聞いてみなきゃ分かんないけど私は大丈夫だと思う。』


3人共同じ答えだった。



翌金曜日は4教科分の教科書とノート、お泊まり道具を鞄に詰めて自転車に乗り込む。


4時に集合して、一時間ずつ国語、理科、数学と試験範囲の勉強をすると7時を過ぎて辺りも暗くなった。


『食事の準備出来てるから店に来てだって。』


雪菜が店に案内する。


雪菜の部屋から店に入るのは初めてだった。


『みんな毎日ご苦労さま。今日はちょっと豪華にしたからね。』


『すみません、ありがとうございます。』


雪菜の母・沙世の気遣いに感謝して4人は席に着くと、鉄板に載せられてじゅうじゅう音を立てている肉が一人一人に配られる。


『熱いから気を付けてね。』


出てきたのはハンバーグでは無くサーロインステーキだ。


『美味しそう!』


試験勉強の合間だという事は忘れ、みんな舌鼓を打った。


『今日は後社会か、……なんか勉強したくなくなるね。』


『お腹いっぱいで眠くなりそう。』


『デザートはまだ食べられるかしら?』


空いた皿を下げにきた沙世がまだデザートがあると言う。


『大丈夫です、別腹ですから。』


優里花はまだ充分食べられると言ったが、勉強の事は忘れていると思う。


沙世が空いたテーブルの中央に白いクリームに覆われたデコレーションケーキを置いた。


『わー、凄い!』


ケーキには14本のろうそくが火を灯していて、[happybirthday知香]という文字のあるチョコレートの板が載っている。


『おばさん、これって?』


『ウチ特製のスノーホワイトケーキよ。ともちゃんには雪菜がいつも世話になっているからね。お母さんにも言ってあるし。』


今日5月22日が知香の誕生日だという事は忘れる筈もないが、友だちが居なかった小学校の頃はみんなを呼ぶなんて無かったし、中学に入ってもちょうど試験期間前だから去年も何もしていない。


そういうものだと思っていた。


『早くろうそく消さないと溶けちゃうよ。』


happybirthdayの歌を歌い終わると、知香は一気に息を吹き掛けた。


『誕生日おめでとう!』


『なんか照れるな……。』


『それじゃあみんなで、はい!』


3人は知香に誕生日プレゼントを差し出した。


『え?』


『サプライズ成功!ともちが居ない時を見計らってみんなでプレゼントしようって話し合ったの。』


『……きな子……ゆりっぺ……萌絵……ありがと。』


その間に沙世がケーキを4等分に切り分ける。


『さ、食べ終わったらまた勉強でしょ?頑張ってね!』


『あ、忘れたてた!』


笑いに包まれて知香は初めて友だちからの誕生日祝いをしてもらった。

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