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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
小学六年生編
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インフルエンザ

知香が保健室通学を始めて二週間が過ぎた。


相変わらず昼休みになると美久、はずみ、のぞみの三人が知香の所にやって来る。


『最近さ、昼休みに何処に行ってるの?って聞かれない?』


『そうそう、毎日居なくなるのは変だって。』


『私は前からここに来る事多いから何も言われないけど。』


二人とは同調しない美久であった。


『でもさ、奈々が白杉くん全然学校に来ないって先週言ってたよ。』


そう言えば美久が前に菊池奈々が[知之]の事を好きかもしれないと言った事がある。


『菊池さん、よく助けてもらったけど話はした事無いんだよね。』


奈々はよく黒川たちに苛められていた時に助けに来てくれた小柄な子だと言う事は知香も覚えているがそれだけである。


もっとも、ここに居る三人以外の生徒とはほとんど話をした事が無かったので奈々は良い方だ。


『でも奈々がここに来たらうるさくて大変だよ。』


『騒いだら全員退場だからね。』


香奈子が目を光らせているので奈々は絶対呼べない。


『それはそうと、最近インフルエンザが流行っているからあなたたちもここの出入りはしない方が良いわね。』


みんなマスクはしているが連日インフルエンザで保健室に来る生徒が増えている。


『私は予防注射しているよ。』


母親が看護師である美久は毎年いち早く予防接種を受けている様だ。


『インフルエンザのウィルスって言うのは年々進化しているから予防注射しても掛かる事があるのよ。過信は絶対禁物。』


そう言って香奈子は三人を追い出した。


『知香さんもずっとここに居ると危ないわね。予防接種は受けているの?』


『受けようと思ったらクスリが無いって言われて受けられませんでした。』


ワクチンが追い付かないというのが現状である。



ついに、知香たちのクラス・六年一組にもインフルエンザの猛威はやってきた。


授業中にクラスの生徒を連れて美久が来た。


『やっほー。』


先生がその生徒を診ている隙に美久が知香の居るカーテンから顔を出す。


『こらっ。』


気付いた香奈子に怒られて顔を引っ込める美久。


次第に美久が他の生徒を連れて保健室にやって来る頻度が増えてきた。



知香の休み時間は他の生徒と重ならない様にズレていたがその休み時間、トイレから帰ると美久と鉢合わせになった。


『美久ちゃん。』


『シッ!』


小さい声で言ったつもりだが、美久が知香の存在を知られたくない相手を連れて来たのが分かった。


ベッドの方はカーテンが閉められて見えないものの、普段はうるさい男子が熱を出して苦しんでいると想像出来た。


香奈子も配慮してくれて知香の席に戻ったが、もしかしたらバレたかもしれない。


いずれクラスには戻るつもりではあるのでその時はその時と知香は開き直ってはいたが、美久は心配していた。


その男子が黒川だったから。


その情報は美久によって知香も知る事となり、黒川本人は翌日から学校を休んだので問題は起きなかったが、三日後、遂に知香に熱が出た。


『……学校休まないって約束したのに……』


自室のベッドで苦しみながら学校に行きたがる知香。


『何言ってんの!こんな熱出して約束なんか関係ないわよ。』


知香は母・由美子に連れられて近くの小児科に行った。


小児科の待合室はほとんどインフルエンザであろう、子供とその親で混雑していた。


『時間掛かりそうね。』


みんな大きなマスクをしているので顔はよく分からないが小学生の大半が知香たちの青葉台小の生徒だろう。


その中でクラスの女の子らしき生徒がしきりに知香を見ていた。


『クラスの子?』


由美子が知香に尋ねる。


『たぶん……』


そう返事をしたその時、看護師が呼んだ。


『白杉さ〜ん、白杉知之さ〜ん!』


由美子と知香はバツが悪そうに立ちあがった。


当然、クラスメイトらしき子だけでなく他の生徒やその親から注目される事となった。


同じバレるにしても、これは拙い。


ただでさえ熱があるのに恥ずかしさ一杯で顔を赤くして診察室に入る知香であった。


診察室では先生にも驚かれてしまい、由美子もこの場を逃げたくなってしまった。


診察が終わり、待合室に戻るとクラスメイトらしき生徒とその親が近付いて来た。


『白杉くん、私、八木萌絵です。』


隣で親同士挨拶を交わしていたが由美子は説明に戸惑っていた。


萌絵もクラスでは静かな子で知香も顔と名前位しか知らない。


『白杉くん、学校来ないの?』


知香が保健室登校をしている事を知っているのは美久、はずみ、のぞみの三人だけでその他の生徒はずっと不登校を続けていると思っていた。


『実は三学期から女の子として学校の保健室に行っているの。』


先程注目されたばかりなので周りに聞こえない様耳元で囁いた。


お互いに熱を出しているため、息が熱く感じる。


『……スゴいね。風邪治ったら学校で会いたい。』


『私も。アドレス、教えるね。』



六年一組は遂に学級閉鎖となった。


知香自身は熱が下がったが、学級閉鎖なので保健室登校も許されなかった。


休みの間は専ら無料通話アプリで友だちと連絡を取り合っていた。


[八木萌絵ちゃんてどんな子?病院でお話したんだけど。]


最初に返事が来たのは美久だった。


[あまりしゃべらない子だよ。女版白杉くんって感じ]


可愛いスタンプに笑われた。


他の二人はあまりよく知らないという感じだった。


のぞみはどうやら妹と一緒に熱を出してしまったらしく、ベッドの中からの返事だった。


その萌絵からもメールが来た。


あれから萌絵も回復して、学級閉鎖が明けたら学校に行くと書いてある。


知香は萌絵に、いつもは美久とはずみ、のぞみが昼休みに保健室に来ているので声を掛けて一緒に来ればと誘ってみた。


[白杉くんっておとなしいと思ってたけどそうじゃないんだね。私、人とお話するの苦手で友だちいないんです。]


美久が女版白杉と言うのが理解出来た。


まるで知之時代の自分を見ている様で親近感が湧いてきた。


知香は美久とはずみに学級閉鎖が明けたら萌絵を誘う様に連絡した。




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