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中学生から始める女の子生活  作者: Ichiko
中学二年生編
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恋のライバル出現?

新一年生の入学式も終わり、知香たちは二年生として本格的な授業が始まった。


一年から引き続いて教科を受け持つ先生が殆どだが転任で新たに赴任した先生も居る。


市内の別の中学校から来たのは数学の篠田先生だ。


前の学校には知香やこのみの様なLBGTの生徒は当然居なかったので、興味があるのかしきりに知香に当てたがる。


知香は数学は苦手では無いものの特別出来る訳でも無いのでいちいち答えるのが大変だった。


『これじゃあ胃が持たないよ。』


机を付けて給食を食べながら知香はぼやいた。


『ま、有名税だね。先生が他の子の名前全員覚えるまでの辛抱かな?』


優里花は他人事と思って平然としている。


『……知香のおかげで私当てられないから良かった……。』


数学だけでなく全般的に勉強が嫌いな萌絵はこのまま知香が集中砲火を受ける事を望んでいる様だ。


『もう、人の気も知らないで。』


『ま、次期生徒会長なら人より勉強が出来て当たり前だからね。』


優里花が冷やかすが、特別勉強が出来なければならないとはいかなくても常に他の生徒からも注目されるのである程度は勉強が出来なければというのは知香も感じている。


ただでさえ知香は誰よりも目立つ存在なのだ。


『八木さんは男子が苦手って言ってたけど、なんで?』


既に給食を食べ終わった同じ班の岡田が当然話に割り込んできた。


『……なんでって……。』


突然の振りに萌絵は返答に困っていた。


まさか、百合系女子だからとは言えない。


『岡田くんみたいにしつこいのが嫌みたいだよ。』


『なんだよ、そのくせ白杉とは仲良いよな?』


知香は萌絵を援護するが、岡田は知香だってもともと男のくせにという口振りだ。


『どういう意味よ?』


岡田のセクハラ的発言に優里花が噛みついた。


優里花は知香と萌絵が深い関係とまでは分かっていない。


『白杉さんと八木さんってデキてんじゃねぇかなって言ってるんだけど。一年の時だってよく昼休みとか二人だけで居たの見てたし。』


図星を付かれた……と言うよりずっと見られていたのかと思うとぞっとした。


(よく見てたってストーカー?岡田って一年の頃から萌絵を狙っていたのかな?)


『私たちが仲良くしてちゃ悪いのかな?もしかして、やきもち妬いてんの?』


『ば、ばか。そんなんじゃねぇし。』


岡田は赤い顔をして否定するが、萌絵を好きだと言っている様なものだ。


『じゃあ岡田くんも女の子になってみる?』


これが普通の人と知香の違うところだ。


周りの男子を女装させるのは知香の趣味みたいなものだが、男子が女装をする事で女の子の気持ちが分かるのではないかと常に知香は考えている。


『いや~、いくら何でも岡田は無理あるよ。』


優里花がダメ出しをしたが知香は残念がった。


岡田の顔はちょっといかつい感じなので女装向きな感じでは無いけれど、そういう男子にこそ女の子の気持ちを知って欲しいと思う。


『男の子でも萌絵は岡田みたいなタイプ好きじゃないみたいよ。』


優里花が勝手に代弁する。


『八木さん、そうなの?』


『……ごめんなさい……。』


岡田の問いに小さく頷き、答えた。


岡田は敢えなく撃沈した。



金曜日の放課後、知香とこのみは保健室で二人だけの身体測定を受けた。


『白杉さん、少し胸が大きくなってない?』


胸囲を測ってくれた浅井先生が聞いた。


『はい、私もなんとなくそう思います。後、少し痛いです。』


知香が投与しているのは男性ホルモンを抑える薬だけで女性ホルモンは摂っていないが、一年前から少しずつ胸の成長が進んでいる。


『もう来年は女性ホルモンの投与も始まるしブラジャーをしても良いんじゃないかな?』


一年生の時はまだ女子でもブラジャーをしていない生徒が多かったが、二年生になると殆どの生徒が着用している。


『明日休みだからお母さんとしま〇ら行ってきます。』


『へぇ~、凄いなぁ。おっぱい大きくなるんだ。』


このみは家庭や本人の精神的な問題があった為まだカウンセリングのみであったが、来月からは抗男性ホルモンの投与を受けられる見込みである。


ただ、抗男性ホルモンは声変わりなどの二次的性徴を抑える効果はあるが基本的に胸が大きくなるものでは無い。


『身長も少し伸びたね。』


『全然美久には追い付かないけど。』


知香も一年生から5センチ伸びて149センチになったが、小六の時点で160センチあった美久には到底及ばない。


このみは147センチなので知香より少し低いくらいだ。


『男の子だったらもっと大きい方が良かったけど、あんまり大きくならなくても良いかな?』


知香もそうだがこのみも理想の女子像がある様であまり背が高くない方が良い様だ。


『白杉さんも上田さんも素敵な女性になれると思うわ。』


『はい、頑張ります。』


素敵な女性という言葉の響きに知香とこのみは酔いしれた。





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