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第93話 「お給料いっぱい貰ってそう」

 夕食を終えて部屋で一息吐いていると、扉がノックされる。



「どーぞー」



 グレンが扉を開けて入ってきて椅子に座る。



「さて……。

 天空人の専門家についての話なんだけど……」


「はい」


「実を言うと、僕はその人と一緒に仕事をしていて、僕の目的は彼の元に天空人を送り届けることなんだ」


「わ! 何も厄介なことを聞かないと思ったら、そういうことだったんですか」


「騙すようなことをして申し訳ない」


「別に大丈夫ですよ。

 ここまで連れてきてくれてありがたいくらいです」



 私も天空人だと騙しているようなものだし……。



「私はその人の元であれやこれやされちゃうんですか?」


「いや、その心配はないよ。

 彼と僕は……いわゆる外交官さ」



 外交官。確か、国と国を結ぶ仕事をする人たちのことだ。



「あれ? でも国は一つに統一されちゃったんですよね」


「そう。僕たちが相手にしているのは国じゃなくて天空人さ。

 この世界唯一の王は、魔王討伐の為に天空人の力が必要不可欠だと考えたらしい」


「グレンさんたちが天空人の協力を取り付けて、魔王を討伐すると……」


「そういうこと」



 天空人は私と同じように、魔法に優れた種族のはずだ。

 現に、パームは魔法陣を見ただけでその効果を言い当てた。

 確かに戦闘に協力してくれるなら、心強い味方になってくれるはずだ。

 だが、そもそも魔王討伐する為に、天空人よりも味方につけるべき存在が居るはず。

 それを送りつけるのが私の仕事だったからだ。



「グレンさん、『勇者』は居ないんですか?」



『魔王』という存在に対抗して送り込まれるのが『勇者』。

 この世界に『魔王』が存在するのならば、『勇者』が居るはずなのだ。

 運がよければオマケで『賢者』とか『剣聖』だとかもついてくる。



「『勇者』と呼ばれる者は十年ほど前に居た」


「居たってことは……」


「魔王討伐に行ったきり帰ってこない。たぶん殺されているんだろう

 記録にある限り、勇者が魔王討伐に向かったのは5回目で、どれも失敗している」


「あいやー」



 これは天界側の失態だな。

 勇者にしか魔王を討伐できないと思っている女神がほとんどなのだろう。

『魔王討伐で表彰』なんてよく言ったものだ。

 表彰式の数が少ないと思ったら、そもそも勇者が魔王を討伐できていない。



「勇者を頼ることが出来なくなったから、天空人を頼るってことですね」


「そういうことだね」



 さて、天空人は役に立つのだろうか……。

 正直な話、魔力は私のほうが多いだろう。

 けれど、戦闘経験が未熟な私は、そこらのチンケな魔物と渡り合えるか怪しい。

 天空人がどれだけ戦闘経験を積んでいるかがミソだ。

 話を聞いた限り、戦闘を好まないらしいし、お肉も食べてなくてガリガリかもしれない。

 一体何を根拠にして天空人と協力すれば魔王を討伐できると考えたんだろう……。



「……明日、その専門家に会うならば、是非これから僕たちと協力してほしいんだ。

 具体的に言うと、人間と天空人の仲介をしてほしい」


「わかりました。協力します!」



 どうせ天空人たちとは会うつもりだ。

 私にとっても悪い話ではない。



「ありがとうリッカ!よろしく頼むよ」



 ただ一つ問題があるとすれば。

 天空人ではない私が本当に仲介役をこなせるかどうかだ。

 きっと、たぶん、大丈夫。

 なんとかなるさ。


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