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第61話 「やったかな?」

 

 燃える宿屋に海面が輝き、魔法使いが落ちた水面にはボコボコと泡が立っている。

 案外あっけなく魔法使いを倒してしまった。

 グレンと共に海面を眺めていると、オレンジ色の結界が消える。



「熱い!」



 結界によって遮られていた熱が一気に押し寄せた。



「リッカ、鎧を頼むよ……」


「あっはい。ごめんなさい」



 炎に熱しられてアツアツの鎧を魔法庫にしまう。

 そういえば、魔法庫がどういう仕組みなのかわからない。

 アツアツの鎧で他の物が発火したりするのかな?



「……リッカ」



 グレンが何かに気づき、指を指す。

 その方向は先ほど魔法使いが落ちたところ。

 魔法使いがベッドと共に浮き上がってきていた。



「わ!浮いてる!」


「怖い」



 魔法使いの構えた杖の先端が光りだす。

 また、魔法陣を描く間にいろんな物を投げつけてやろうと考えていると

 杖から直接火球が飛んできた。

 先ほどまで飛んできた業火の塊よりもずっと小さい。

 当たれば無傷では済まないだろう。

 だが、飛んできた火球をグレンが軽々と剣で弾く。



「リッカ、あの距離じゃ僕の剣が届かない。

 攻撃魔法とか使えるかい?」


「お、おぼえてないですー!」


「じゃあ逃げよう!

 ちょっとごめんね!」



 飛んできた火球をもう一度弾くと、グレンは私のことを抱えて宿屋の三階から飛び降りた。



「ひゃぁあ」



 先に言ってほしかった。

 久々に浮遊感を味わって情けない声が出る。



「ぐえぇ」



 グレンの左手がお腹に食い込む。

 苦しい!


 そのままグレンがすごい勢いで走り始める。

 一歩一歩踏みしめる度に、身体が振り回されて痛い。

 しばらく走り回り、いくつかの路地を通り抜けた時に限界を迎えた。



「ちょ、まって!降ろしてください!」



 やっとグレンが立ち止まって降ろしてくれる。

 吐きそう。



「ごめんリッカ、苦しかったかい?」


「えげつなかったです」


「本当にごめん」



 まぁ、そのおかげで遠くまで逃げられたんだ。

 もう追ってはこないだろう。

 燃える宿屋の明かりは、だいぶ遠くに見える。

 今晩、これからどうなるんだろうなぁ……。


 宿屋の炎に照らされ、何かがチラッと見えた。

 ベッドだ。

 空飛ぶベッド。

 ついでに人も乗っている。



「グレンさん追って来てます!」


「逃げよう」



 グレンが剣をしまい、私に両手を出してくる。



「もう苦しくしないよ」


「走るんで大丈夫です」



 早く走る為には、単純に屈強な足があれば良い。

『想像』で足を強化するのは見た目が気持ち悪いのでかなり不本意だ。

 だが、この際仕方がない。暗いのがせめてもの救いだ。

 グレンと共に、夜の街を駆けだした。


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