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第492話 「特殊部隊ごっこ」

 

「時間を操るって…….

 ゆで卵が一瞬で完成したりとかですか?」


「よくわかったな.

 ゆで卵から生卵にも戻すことが出来る」


「わぁすごい!」



 エリックが機械端末を見ながらマーカスに近寄る.



「チェックポイントに到達」


「了解.

 ……そこの建物にする」



 恐らく民家であっただろう建物を指さすと,ウィルとエリックが入口の隣に立つ.

 マーカスが私を見ながら口元に人差し指を当てた.



「黙って後ろから付いてこい」


「りょ,了解です」



 マーカスが一人一人に目配せをしたのち,ウィルの肩を叩いた.

 扉がゆっくりと開かれ,静かにウィルが滑り込んだ.

 それにエリックとマーカスが続けて入る.


 今までも統率された動きは見てきたが,あまりにも洗礼された動きに戸惑っていた.

 後ろにシーラに肩を叩かれマーカスに「付いてこい」と言われたことを思い出した.

 見よう見まねで拳銃を構え,建物の中に入る.


 玄関に段差がない西洋の建物だ.靴を脱ぐ手間がなく助かる.

 ウィルとエリックは散開して一階を回っていた.

 リビングにいたマーカスが私を見て階段の上を指さす.

「上」「私」「見るの?」と一つ一つの動作をジェスチャーで伝えると,マーカスが頷いた.

 私は彼らの様に訓練をしていない.絶対に足手まといになる.

 口をパクパクしながら反論をしている最中に,シーラが私の肩を掴んで階段の方を向かせた.

 肩を優しく押されると自然と足が前に出てしまう.

 階段をゆっくり上り,角に来ると今度は肩を引かれた.

 その場に停止して壁に身を寄せる.

 まるでシーラに操縦されているようだ.


 視界の端にシーラの手が登場し,私の目を指さしてから角の先を示す.

 コクコクと頷いてから慎重に顔を覗かせた.

 灰色の光が差し込んだ廊下には側面と正面にドア.

 天井や床に視線を移してみるが,特に不審な点はない.

 シーラを見てサムズアップをすると,顎で前進するようにいわれる.

 用心深く拳銃を構えながら一つ目の扉にたどり着いた.

 向かい側に立ったシーラがドアノブに手をかけ,押し開く.

 同時に私が中に入り,そこら中に銃を向けた.


 かなり埃っぽい寝室だ.

 汚れて顔の見えない写真,ひっくり返った目覚まし時計,シーツの乱れたキングサイズのベッド.

 誰かが生活していた過去が散らばっている.

 それを汲み取る暇もなく,シーラに肩を引っ張られた.次の部屋に向かうようだ.

 もう一度,先ほどと同じように配置に付く.

 シーラがドアノブに手をかけてドアが開かれるのを待っていたが,いつまで経っても開かれない.

 ドアノブからゆっくりと手を離したシーラはドアの下部を指さした.

 首を傾げながらシーラの示した位置を見る.

 ドアの下部が5cmほど一直線に切り取られていた.


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