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第420話 「運全振り」

 

「ぴっぽっぱ……」



 トコが適当にパスコードを入力すると、小さな液晶にバッテンの文字が浮かぶ。



「まぁ無理だよね。

 リッカちゃん、扉は破れそう?」


「ふっふー!

 任せてください!」



 あのよくわからない合成獣キメラでも鉄の扉を破れたんだ。

 少し頑丈だとしても、私の拳を使えば突破できるはずだ。

 扉の前に立ち、浅く息を吐く。

 簡単な『想像』だ。ただ、扉を突き破ればいい。

 手を握りしめ、全身に身体強化を施した。



「ちぇすとー!」



 私の拳が扉にめり込み、金属の悲鳴が上がる。

 扉は吹き飛び、先へ進む道が開けるはずだった。



「……あれ?」



 扉は大きく歪んでいたが、僅かな隙間も開けることなく締まり切っていた。



「リッカぁ」



 トコが薄目で私を見てくる。

 この勢いで扉が開かないだなんて何かがおかしい。



「え、えいっ!」



 もう一度、拳を叩き込んでみたが結果は変わらなかった。



「おじさん、リッカに見せたげてよ!」


「い、いや、俺は無理だ」



 単純な力なら、ヴァルトよりも私の方が上のはずだ。

 あと扉を開けられるとしたら……。



「借りるんよ」



 ネイリスが私の鞘から短剣を引き抜く。

『想像』で創った切れ味抜群の短剣を鉄の扉にゆっくりと差し込む。

 すると、ある一定の深さで短剣が進まなくなってしまった。



「おっ? 中がガッチガチなのか!」


「いやそれよりもさ、それ兵舎にある短剣だよね!?

 なんでそんなに切れ味良いんだい!?」


「あ、すっごい研いだんです」



 ネイリスが短剣を返す時、僅かに輝いた眼を私に見せた後に顎で扉を示す。

 眼を使えということらしい。

 死神の眼で見てみると、扉の内部が光り輝いているのが分かった。

 どうやら内部が魔法によって強化されているらしい。

 鉄で覆われているのなら、魔法陣を壊すのも難しいだろう。

 この扉は開けられない。



「うーん、この扉は諦めましょう。

 幸い、魔王……じゃなくて進む方向……?

 わ、私の勘はこっちじゃないって言ってます!」


「まぁこの扉一つに執着するより、探索した方が懸命だよね」



 踵を返し、元の廊下へ歩き始める。

 扉に手を加えられるほど重要な部屋であるのは確かだが、開けられないのには意味がない。

 とにかく、本来の目的である魔王を討伐できれば……。



「でもさ、目から鱗なんだけどさ。

 ……お父さんがこの先にいるかもしれないじゃん!」


「トコ、その可能性もあるが今は探索が先だ」


「ぎー! やだー気になるー!

 ねーリッカもピッピしてみてよぉ!」



 トコが私の袖を引っ張り、扉の前に立たせる。



「じゃ、じゃあ三回だけだよ……」



 とりあえずトコをなだめる為にパスコードを入力しよう。

 頭を撫でながら適当に数字を入力する。



「ねーリッカちゃんと数字を選んでよ!」



 ごめんと口を開きかけた時、扉からビープ音が鳴り響いた。



「おっ?」


「凄いリッカ開けた!」



 液晶をみると、緑色の丸印が現れていた。


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